今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

一週間 by 井上ひさし


タイトルは「一週間」なのに…読むのに二週間!!


先日、お亡くなりになった井上ひさし先生。。。


私には「ムサシ」の戯曲家としての認識しかなく。。。(^_^;)


戯曲ではない著作を手にするのはおそらく初めてじゃないだろ〜か。。。


「一週間」井上ひさし(新潮社)


以下、感想…























まず、本の表紙…


まず、ほとんどの人が間違いなくお話の舞台はシベリアの収容所だな…と感じるであろう表紙。


たまたまなんだけど、図書館に予約して…


たまたまなんだけど、この8月の時期に手元に届いた…


そして、これまたたまたまなんだけど、私が登録してる2つの区の図書館から、まるで打ち合わせでもしたかのように順番に届いた。。。


最初に届いた時は、バタバタしてて、半分しか読めなかった(;_;)


泣く泣く返却したら、その日のうちにもう1つの区の図書館から届いた…


これは、絶対に読めということだよなぁ〜っと。。。


お話は表紙にある通り、捕虜として、シベリアの収容所送りになった日本人「小松修吉」が主人公…


小松は、ソビエトに縁ある人物で、かつて戦前の日本ではソビエトの国体を理想郷と考える「赤旗」を扱う地下活動家だった。。。


しかし、日本政府のスパイに騙され、投獄・拷問され、転向する。。。


転向するきっかけとなったスパイ「M」の消息を追って、戦争の気運高まる満州へとやってくる…


なんだか、ちょっとしたスパイ映画っぽい滑り出し…


へぇ〜、井上ひさし先生ってあの風貌からは想像も出ないスリル溢れる作品を書かれるんだぁ〜と思ったのも束の間…(^_^;)


小松修吉の「一週間」が始まると、やっぱり、井上先生の風貌がチラつくような、なんだか一風変わった収容所生活が動き出す!!


小松自身は、地下活動の成果なのか、彼自身の優秀さなのか、ソビエトの連中も舌を巻くロシア語の達人で、頭脳明晰!!


だからこそと白羽の矢が…


彼は知らぬ間に、ソビエトの精神的支柱であり、革命の「神」であるレーニンが若き頃、友人に認めた「手紙」探しの渦に巻き込まれていく…


その「手紙」はレーニンが「神」ではないと、ソビエトの革命を裏切った証拠になる重要なもので…


ソビエトの連中はそれを処分し、無かったことにしたい。。。小松は、その手紙を盾に日本に帰りたい。。。


「手紙」を巡る一週間の闘いが描かれた作品…


今一つ、私には「手紙」の重要度が分からない^_^;


大の大人が必死になって、その在りかと命をやり取りするのが、なんともバカらしい…


また、登場人物が主人公の小松を筆頭に「あり得ない」滑稽な人ばかり…


風刺小説といえるんじゃない?


芝居にしたら、本当に面白いと思った(^-^)v


みんなが必死になって探した「手紙」はあり得ないくらいあっさりと皆の目の前で、消えて行く。。。


「一週間」の大喧騒の果てが、あんまり情けなくて、面白すぎる。。。(~o~)


あり得ないとは思いつつ、こんな感じだったらと思わせるお話だった。。。


小松を巡る一週間は確かに面白かったけど…


小松に勇気を与えた哲学者・大橋吾郎氏は、収容所内へも旧態依然とした関東軍の序列を持ち込んだバカ上官になぶり殺され、そいつ等はきちんとした戦時国際法を学ぶこともなく、兵卒を従来通りにこき使う。。。


ちょっと緊張感の薄い「小松を巡る一週間」の一方で、戦時の収容所の悲惨をも訴えている。


今まで、井上先生の著作を読んでこなかったのをもったいなかったなぁ〜って思った…


是非、是非、読んでみてっと薦めたい1冊となりました(*^^*)