今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

アントニーとクレオパトラ


図書館で予約していた書籍が続けざまに届き、さらに今年のNHK大河ドラマ「光る君へ」に出演が告知された松下洸平くんが演じるオリジナル・キャラクター(北宋の見習い医師・周明)のモデルと噂される人物が描かれている「紫式部物語(上・下)」が手元にあり、とても2週間では読み切れないと全てを諦め、返却してしまった。


あまり本を読む気にもなれず、そのままにしていた。そんな時、ふと考えた。松岡和子さんの翻訳シリーズ「シェイクスピア全集」はいったいどうなったのだろうと…


彩の国シェイクスピア・シリーズとして上演されてきた松岡和子さんの翻訳シリーズ。蜷川さんがお亡くなりになって、その後は吉田鋼太郎さんの演出で続いているとは聞いていたが…


確認すると全集20までは手元にあり、さらに全集は32巻で完了していることを知った。そこで、21巻から再びチャレンジしようと思い立った。


アントニークレオパトラシェイクスピア 著/松岡和子 訳(ちくま文庫シェイクスピア全集21)


以下、感想。。。

















かつて、面白く読み続けていたシェイクスピア全集だが、翻訳戯曲を読むのは本当に久方ぶりで、読み方を思い出しながら読んでいたので、まぁ時間がかかった。


読み方…というとちょっと意味不明かな。


戯曲のセリフを読みながら、それぞれが語っているかのように抑揚をつけながら読み進める。まるで目の前で上演されてるかの如く。そうやって、このシェイクスピア全集を読んできたのだ。


全体の2/3ほどを読んだ頃、そのテンポが自分に戻ってきた。そうなると俄然面白さが増していった。


そこに行き着くまでは、あまり面白くなく、テンポも悪く、なんだか失敗しちゃったような気持ちだった。


なにしろ、アントニーとシーザーとの戦いなのに、戦うシーンはほぼ描かれず、人物を取り巻く愛憎劇が主で、しかも誰かの策略というより、戦乱の中で互いを見失っていくお話だった。ある意味、ちょっとした行き違いに端を発した「誤解」が元で、国が滅ぶほどの大問題に発展する。ちゃんと向き合い、語り合えば解決する話に命を賭ける。


潔いというのか、名誉に生きるというのか…現代の人間には今一つピンとこない。


シェイクスピアの作品は、そうした人間の悲喜こもごもな生き様をお芝居に昇華したものなのだろう…


久しぶりに触れた世界、また少しずつ楽しんでいこう。