「いちばんすきな花」フジテレビ(全11話)
登場人物は主演が4人!!誰か1人の主演に他3人が関わるというより、それぞれが主となった話に他の3人がしっかり関わっていくパターン
昨年話題となったらしい(私は全く知らないし、興味もなく、本作の紹介に必ず付いて回るのでその名を知った)「silent」というドラマのプロデューサー&脚本家の新作だそうだ。全く興味も無いので今更そのドラマを見る気もなく(苦手な女優が出てるのを知ったから、尚更…)、ある意味先入観なく見始めた。
主演の1人に松下洸平くん。
優しく穏やかで、かなりのこだわり屋さん春木椿を演じた。「春木椿」って凄い名前じゃん(笑)
名前に「春」と「木」しかないよ(笑)
ドラマで慣れ親しんじゃったから今なら何も思わないけど、自分の小学校時代にこんな名前の同級生がいたら、どうする?ってマジで思った…いじめとまではいかなくてもからかったりしちゃうよね…私も名前はちょっといろいろ言われて育ったので、ふとそんな事を考えた。
社会という全体の中で上手く立ち回れない4人がひょんな事で出会う。そして「友情」を紡いでいく。大きな事件も無いし、4人の中で大恋愛も起きない。それでも、全話見通して「良かった」と思えるドラマって珍しい。
4人それぞれが世間と上手く馴染めないことを自覚してるんだけど、彼らを取り巻く他者はそれほど4人を馴染めない人と認識してないように思う。まぁ、大人だから、その辺は上手くやり過ごしてるのかもしれないかど、それはそれで本人にしたらかなりツラい状況なのだ。
特に椿くんはなかなか大変な人。人生を大きく左右する「結婚」に関しても、相手のことを好きだとか尊敬できるとかの自分なりの尺度ではなく、年齢的にちょうど良いとか自分もそろそろだとか世間の尺度でたまたまちょうど良かった女性と、彼女のペースで決めてしまった…
もちろん、決まった後で彼なり「違和感」を覚えていたようだけれど、それを敢えて表明するわけでもなく、ただ流れに任せていた。そんな時、その後、宝となる友人と出会う。そして、初めて自らの言葉で一生を共にしようとして人に別れを告げる。
自分にコンプレックスがあり、それを克服する勇気もない椿には結婚を自ら止めるなんてあり得なかったんだろうけど、3人と出会ったことで、彼は「自分」を取り戻す。
そうした日常の少しずつの変化をただ追っていくドラマ。そして、4人がなぜ椿の赤い屋根の家で出会うのか、それはもう出来過ぎくらいの運命だったことが分かる後半に事件ではなく、自分たちの深い絆を自覚していく流れはなんとも暖かい。
そうなのね、日常の変化は少ないけど、4人の繋がりは「大事件」!!
「こんな事あるか〜」「出来過ぎ〜」という言葉がピッタリ(笑)の展開なんだけど、それもありだなと思わせる作劇の上手さにあっぱれ!!
そして、最終回はあまり見ない手法で「花」を演出する。主題歌を歌う藤井風くんがドラマのワンシーンとして、ピアノを弾きながら歌い上げる。
企画力で勝負に出たドラマだと思った。もちろん藤井風くんが登場することもだけど、4人が主演というのも、そして、恋愛でもコメディでもなくて、20代、30代の若者の生き方として1つの方途を示すものとして…
松下洸平くん、彼にはまさにハマり役であったと思う。どんな役もハマり役にしてしまう彼の今後がさらに楽しみ…
取り敢えず、年明けから春まではライブだね!!