今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

十角館の殺人


十角館の殺人(新装改訂版)」綾辻行人(講談社文庫)


お初の綾辻行人作品。つい先ごろ「映像化不可能と言われた作品が映画化へ」という良く聞く謳い文句で紹介された本作。続く解説には1986年だか、その辺りに発表され、大ヒットを飛ばしながら今まで1度として映像化されなかったとあった。


それは読んでみなきゃ…ということで手に取った。


以下、感想。。。


















う〜ん。王道の推理小説だ!!


途中から、結構トリック的には泥臭いけど、コイツが犯人だなぁ〜というのは分かっちゃうんだけど、やっぱり小説は文字で表現するってとこが良いよね。


「文字」によって、その人物の名も顔も人柄も表現されるので、一目瞭然が無いってことが、いわゆるドンデン返しを生み、華麗なる伏線回収が可能になる。


時代が時代なので、登場人物たちがやたらとタバコを手にする。今から30年前、タバコは場面転換や登場人物の様子の変化に上手く利用される小道具だった。


今の時代は映像に喫煙シーンはアウトになるらしく、登場人物のイラつきをタバコを吸わせることで簡単に表現してきた製作者たちは新しい手法を採用しなければならないね。


最近、話題作が映像化されると聞くと松下洸平くんは出演するかしら?と楽しみになる。


しかし、本作については登場人物の年代や性別も一切知らないので、読んでみるしかなく、おとなしく王道の推理小説を読み切った。


まずは面白い。ただ、ちょっとストーリ的に入り組んでるかなぁとは思った。映像化が不可能だったのは何も舞台装置の難しさではなく、限られた時間でこれだけの入り組んだ人物関係を華麗に回すのは無理ということではないかしら。


しかも、文字上の表現だから、その正体が最後まで暴かれなかった「犯人」が映像になるとすぐさま判明し、最後まで引っ張るのは難しい。


1度物語の展開を再構築しないとこのままでは難しいだろう。


はたして、どんなふうに映像化するのだろう。ストーリー展開や登場人物よりそっちの方が興味あるなぁ。


作中、年代的に松下洸平くんが演じられそうなのは、事件には直接関係もないのに、かなりポイントな人物で何やらミステリー好きなお寺の三男坊・島田潔くらい…


本作に関わることはおそらくないだろうなぁ…それよりも「硝子の塔の殺人」の映画化があったら、そっちに出てほしいなぁ〜。


横道にそれてしまった(汗)


で、本作については…最後の犯人のネタバレ1人語りは、まぁ、心情として理解できなくはないけど、その「告白」はあまり愉快なものでなく、むしろ情けなくゾッとする類のもので…後味はとても悪い。