今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

慈雨


4/17㈪、柚月裕子さん原作「合理的にあり得ない 上水流涼子の解明」がドラマ放送開始。「上水流涼子」は読み終わったけど、映画などの印象から他の作品はちょっとハードな作品と思い込み、全然手を付けてない。


とある読者レビューで本作が1番味わい深く良い物語だと評してるレビュアーがいて、ちょっと手にとってみた。


「慈雨」柚月裕子 著(集英社文庫)


以下、感想。。。


















読みながら、主人公の元刑事の部下、緒方を演じる松下洸平くんを見てみたいと強く、強く思った。探してみたけど、まだ映像化はされてないみたい。


警察小説というジャンルに振り分けるのはちょっと違うようにも思う本作。


幼女殺害事件にまつわる元刑事の葛藤と悔恨。引退後、自らの心を鎮める旅にお遍路を選び、長年黙ってついてきた妻を伴い四国を巡礼する。刑事である夫の側で自分の立場をわきまえて振る舞う妻のありがたみ、愛おしさを2ヶ月渡る旅の中で身に沁みて感じる主人公は、それでも、旅の終わりに妻との別れを覚悟していた。


前半部分はその辺りがよく見えてこないので、ちょっとじれったいし、ページも進まない。そこで本を置いてしまったら、きっと「緒方を演じる松下洸平くんを見たい」とは思わなかったろうなぁ。


主人公、神場(じんば)の娘、幸知(さち)と神場夫婦の繋がりを知った中盤からは、並行して進む幼女殺害事件の件と合わせて、一気に面白くなっていく。


そして、タイトル通り、人を慈しむことの大切さに思い至り涙が…


ハードな書き手かと思ったら、そうでもなくて、自分の葛藤と向き合うための旅の途中で出会う様々な出来事が主人公を今の事件に向き合わせていく流れは、ハードボイルドというより人生物語かな。


自分の思いをしっかり引き継ぎ、さらに立ち向かおうとする後輩と出会った幸せは主人公を強くする。


登場は少ないけど、緒方の存在は大きく物語を牽引する。こういう役どころを演じる松下洸平くんは絶対に輝くと思うんだが…