今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

逃亡者は北へ向かう


天海祐希✕松下洸平でドラマ化された「合理的にありえない」の原作者である柚月裕子さんの最新作…なのかしら?


長い予約待機を越え、やっと読めました!


「逃亡者は北へ向かう」柚月裕子 著(新潮社)


以下、感想。。。


















久しぶりに単行本を1日で読み切りました!テンポよく、面白かった…


いや、話の内容を考えれば、「面白かった」という感想は不謹慎か…


物語の背景にあの東日本大震災がある。あの震災の最中、人を殺めてしまった青年が唯一の縁となる顔も知らぬ父親を求めて、北へ逃亡する顛末を追う物語…


半グレの男と警官をそれぞれ揉み合ううちに死なせてしまった真柴亮。その直前、彼は育ててくれた祖父から悪い印象を植え付けられていた、顔も知らぬ生き別れの父親から最初で最後の手紙を受け取っていた。どうしようもなく、人生の悪循環に足を取られる自分に、その自分の生き方に区切りをつけるために父親の元へ行こうと決めていた。


会いたいとか、捨てられた恨みを晴らすとか、そんな具体的な思いがあったわけではない。ただ、自分の存在の意味を知りたかったのだと思う。なぜ生まれてきたのか、なぜ生きるのか、誰からも愛を感じることなく成長した亮にとって、これからの自分に向き合う区切りとしての父親の出現だった。だから、人を殺めてしまった事への自覚や悔恨はあっても、余命僅かと語る父親の元へと急いだ


瓦礫に埋もれた街…震災で日常を失った人…


亮は、なぜ父親のいる北へ向かうのか、もう自身の気持ちもつかめなくなっていく


読んでいて、哀しくて仕方なかった…不幸だとかそんな言葉で片付けられない。様々な物事が亮の行く手を阻み、様々な物事が複雑に絡み合いながら、絡め取られていく人生…


巡りの悪さ…運命などと簡単に片付けられない亮の来し方


真摯に向き合ってくれる刑事、陣内に出会ったことが救いになっただろうか…


それぞれの出来事の細かな背景の描写を描かないことで、読み取る側の読者の思いに託したように感じる本作


柚月裕子さん、素敵な作家だと思った


この作品、映像化されるのを観たいなぁ…


あっ!!


でも、柚月裕子作品はどこか都合の良い展開があり、それが物語の進展に大きな役割を果たす。それがちょっと気になるかな…本作もそうだった。限りあるページ数の中で結論を導き出すためには、多少のご都合は必要なのだろうが、どこか強引な力業を発揮される箇所が散見される…


それを考えると、映像化と言っても、映画ではなく、丁寧に製作側の意図も盛り込める連続ドラマが良いのかもしれない…


ご都合主義と言われかねない展開にもちゃんと意味を持たせるられる丁寧な作りを期待出来るのは数話のドラマが良いと思う…


        

C線上のアリア


あの衝撃的な「人間標本」…映像化されたのだが、有料配信チャンネルだったせいか、西島秀俊さんが出演したにもかかわらず、評判を耳にしないのはなぜだろう…


かなり長いこと待たされて手元に届いた私にとっての次回作


「C線上のアリア」湊かなえ 著(朝日新聞出版)


以下、感想。。。





















「C線」というのは弦楽器の中でも1番低い音を発する弦を言うそうだ。そして、「アリア」はオペラにおける主人公の独唱。


このタイトルの意味するところは、人の心の奥底に隠された独白…ということか…


湊かなえさんの著作ということで、読み進めながら、きっと何かあると不穏な空気を感じながら読み進めたけれど、結局、何も起こらなかった…


今はもう既に鬼籍に入った人たちとそのすぐ近くにいた人…認知症を発症し、もう1人では暮らすことが出来ない人たちの秘められた(いや、秘めたというより、きちんと向き合ってこなかった)過去の「現実」を探る旅…だった


湊かなえさんは登場人物それぞれの目線で語ることで、「真実」は1つではない…という構成の物語をよく発表されるし、それらの内容は完成度が高く、いつも驚かされる。


本作もまさにそれぞれの目線で感じたことが、その後の関係に影を落とした。


このまま埋もれていくはずだった「真実」は長年無沙汰をしていた女性が故郷に帰ってきたところから、紐解かれ、明かされていく。


ストーリテラーといえる美佐。両親の死後、高校の3年間を共に暮らし、世話してくれた叔母が認知症を発症し、その扱いに困ったらしい行政からの連絡で重い腰を上げる。美佐自身、婚家の義母の扱いに悩まされていた時だったので、ある意味、ちょうど良い逃げ道でもあったのだ。


優しく穏やかに暮らしていたかつての記憶をことごとく覆す叔母の現状に閉口しながら、叔母の過去を詳らかにする心の旅に出る…


いろんな事が繋がって、いろんな結論が見えてくる


だから、どうするわけでもない…


ただ、叔母の穏やかな日々を守るために、そして、自らの好奇心を満たすために、叔母を施設に入所させ、3年暮らした家を調える。


結局、何も事件は起こらないし、ちょっと変わった人も登場するが、総じて良い人たちばかりで、彼らの人生の区切りとなる「時間」を美佐の視点で読むことになる…


でも、根底になぜか不穏さがあるのは、やはり湊かなえ作品なのだろう。


    

ありか


もうしばらく1冊の本を読み切れていない(涙)。活字がツラいわけでもなく、図書館の予約本も順調に手に届いてるのに、読む気になれないし、読み切れない…


本当に久しぶりに読み切った…瀬尾さんの本はいつもとても軽快な展開で温かい思いに溢れ、あっという間に読んじゃうのに、今回は10日もかかった…


「ありか」瀬尾まいこ 著/水鈴社


以下、感想。。。
















家族の形…血縁にこだわらない、新しい繋がり…


最近、小説も映画もドラマも「血は水より濃い」的な縛りを外す作品が増えている。それだけ、人の繋がりが新たな形になってきてるんだろう


本作も、小学校入学前の娘を育てるシングルマザーが主人公で、なぜか離婚した夫の弟やその恋人、離婚した夫の両親などに守られて、地に足つけてしっかり生きてる。まだ20代半ばの主人公が日々の暮らしの中で、自力をつけ、新たな関係を築き、自分というものを確立していく過程が描かれる


感動するし、世間的には珍しい関係がしっかり受け入れられるし、瀬尾作品ならではの充実感もある


それでも10日もかかったのは…


実は、お話は感動的で納得できる形に帰結するんだけど、そこここにちょっと首を傾げてしまう描写があって、そこが最後まで気になってしまったのだ。。。


主人公は26歳、彼女たちを支える義弟は25歳…ということは離婚した夫はせいぜい30歳くらいと考えられる(本編にも年齢の行はあったかもしれないけど、覚えていない…汗)。そこから類推するに夫の両親はかろうじて現役世代くらいか…


なんと、その義母からは娘(義母から見れば孫)のためにと、毎月8万円の仕送りがある!!確かに「8万円」と書かれていた。一般家庭において「8万円」というのが、どの程度のものか、著者には分からなかったのか?安定的に作品を生み出して、売れてる作家なのだから、一般家庭の指標は分からないかもしれないが、編集者は何も感じなかったのか…


現役世代ギリギリかあるいは定年したばかりの夫婦2人世帯において、自分達が生活する他に「8万円/月」って、どんなに裕福な家庭なのだろうかと…


さらに離婚した夫の払う養育費「4万円」!私の息子も離婚経験があるので、その基準からすると、なかなかだ。養育費というのは払う側の財力も考慮される。つまり、元夫には4万円を支払える収入があるということだ。ちなみに息子は3万円…それだって、彼の収入からしたら、かなりハードな金額だ。進んで残業をしないとカバー出来ないと言っていた!


つまり、主人公は26歳で6歳の娘がいる、今どき珍しい超若い母親だが、安定的な収入のある家庭に育った、安定的に収入のある夫と結婚したことになる


それに娘(孫)は年長さんなのだが、「5歳」なんだそうだ。入学を控え、遅ればせながらランドセルを購入し、新年を迎えているが、「5歳」…普通に年長さんの子供を描写するなら「6歳」にしないだろうか…


入学までのあと僅かな日々で6歳になるのか?超早生まれってことなのか?確かに3月後半の生まれの人はたくさんいる。でも、一般的な小説の中で、なんの説明もなく「早生まれ」設定は、ちょっと頭が追いつかない…


昨今、離婚家庭が増え、シングルマザーの暮らしの厳しさを伝え聞くことが増えた。私が子どもの時代は、まだ世の中も今と違って、全体が貧しかったし、そのクセ、心には余裕があった。だから、母子家庭(当時はそう呼ぶのが普通だった)の子は、まわりの社会にも育ててもらってた。みんな貧しいけど、だからって放ってはいけない。わずかだけど手助けをするのが当たり前だった。学校から帰ると妹の同級生で母親が働いてる子が我が家でおやつを食べていた。妹と2人で…


そんな光景は珍しくもなく、逆に私の母が具合の悪い時はその同級生の母親が、仕事先でもらったと言って果物を届けてくれた。


本作の主人公は、私が子ども時代の母子家庭の母親のようだ…今のたった1人で必死に生きてるシングルマザーたちとはなんだか印象が違う


主人公が1人休んだところで、代わりは幾らでもいるし、特に迷惑がかかるわけでもない職場は工場で、流れ作業のような仕事らしい。毎日、定時に帰って、保育園のお迎えに十分間に合っている。そんな形で、どうやって、義母から貰う8万円に手もつけず、部屋を借り、誰からも援助されず、娘と2人しっかりと生活できるのか…


いろんな意味で「ファンタジー」な小説だと思ってしまったのだ…


なんだか、薄らぼんやりとした印象になってしまった本作…「8万円」はさすがに見間違えたのではないか…と思ったが、もう見返す気力も無かった


     

リチャード二世


ここ最近、図書館から予約本はコンサタントに届いているんだけど、私的につまんなくて、結局読みきれず借り出し期間の時間切れ続き…(汗)


気分を変えるために手持ちを!


「リチャード二世」 W.シェイクスピア 著/松岡和子 訳(ちくま文庫 シェイクスピア全集26)


以下、感想。。。













さすがシェイクスピア作品!後味悪い(笑)


かつて、自分が陥れた男の息子に復讐され、王の座を逐われるリチャード二世


王様は孤独だけれど、でも、本当に信頼できる人間を側に置いておけば、多少の問題は乗り越えられる…はず


けれど、王様ためを思って、時には辛口の言葉を投げかける側近は疎んじられてしまう


リチャード二世はその辺が分かんなかったのね


自分に厳しい言葉こそ自分に1番必要なものかもしれない。それを真摯に受け止める人間力こそ、人の上に立つ人には必要なのだと…


戯曲は楽しいな…うだうだしてないし、スッキリ読める


次の予約本は面白いと良いなぁー


    

イクサガミ 神


最終巻、完結編です!!待ちに待って、やっと届いた時には岡田准一主演で映像化された「イクサガミ」がNetflixで公開された後でした(汗)


それだけ人気作なのか、はたまたエンタメ性の強い書籍は図書館に敬遠されるのか…どちらかと言えば後者のようだ。図書館の保有数を見れば一目瞭然。予約申込みが増えても保有数が増えないのは一部のファンの熱狂に左右されないという堅固な姿勢。まさに公共図書館のブレない姿勢。


「イクサガミ 神」今村翔吾 著(講談社文庫)


以下、感想。。。















「ザ・天下一武闘会@明治初期」というお話でしたねー(汗)


正直言うと、もう3巻の「人」編でお腹いっぱい状態で、「神」編は間隔が空いたこともあるけど、あまり進まなかった(汗)


1/3くらいまでは読んだけど、もうそこから先は、開いては閉じの繰り返し…仕方ないので、一気に飛ばして最終章に(汗)


結末は思いっきり想定内…っていうか、思った通りの結果で結末…


こういう長編連続物は結びが難しいよね…仮に手元に4冊あって一気読みが可能だったとしても、私的には同じ結果で、途中でお腹いっぱいだったと思う


いつも思うんだけど、闘い系はどこか既視感があって、結果「天下一武闘会」に行き着くんだよね…(笑)


1人破ってもまた次に強いヤツが登場し、また主人公は成長しながら高い壁を乗り越え、次に…って。


ちょっと齧っただけだけど、ルフィもそうだし、鬼滅もそうだよね…他にもあるだろうね…昔からそうか…スポ根ものだってそうだった


それを明確に形にして、ストーリーの本筋にして進めたのはやっぱり悟空だ…「鳥山明さんはホントに凄かったんだな」…っていつもそこが着地点(笑)


鳥山明さんの凄いとこは、「天下一武闘会」の前に圧倒的に強くて誰も敵わない人の日常を面白可笑しく描いたアラレちゃんを世に出したことだよなぁ〜…とそこまで思い至るのが常!!(爆)


人は、主人公が様々闘いながら強くなっていく話が好きなんだな…本作はそこの心理を上手く小説でついたということか…


お疲れ様…って感じだったな…


できれば、みんな生き抜いてほしかったけど…誰かを助けるための「死」が美しいものとして描かれるのはやっぱり抵抗がある。そうせざるを得ない道に引き込もうとする「悪」にこそ「死」を!って思うから…


結局、本作も悪の中枢は卑怯者たちだった。


     

まぐだら屋のマリア


同名タイトルの前後編ドラマがNHKで放送された。尾野真千子さんと藤原季節くんのW主演。久しぶりにドラマを完走した


藤原季節くんは朴訥というか、表情の無い役柄がホントに上手いと思っていて、その彼と若いのになんだか人間臭い役がとても上手い尾野真千子さんの共演って楽しみでしかなくて、お話の内容なんか気にもせず見始めた


そして、原作者の原田マハさんへの興味が!!お名前は知ってたけど、どんな作家さんか全く知らず…(汗)


いざ、原作へ!!


「まぐだら屋のマリア」原田マハ 著(幻冬舎文庫)


以下、感想。。。
















小説でも語られる主人公の1人、「マリア」の名前のエピソード。上から読んでも下から読んでも「アリマリア(有馬りあ)」!!


そこからついた呼び名が「マリア」!!ん?原作者の原田マハさん、もしかして?「ハラダマハ」?あ、違った、、、(爆)


そんなこんなで…人生に迷った時、生きる気力が失せた時、人が知らず知らずに引き寄せられる寒い町の崖っぷちに建つ「尽果(つきはて)」という名のバス停。そこで降りるとポツンと1軒、小屋のような食堂が!


主人公の1人、紫紋がこのバス停に降り立つところからお話が始まる


1人では抱えきれない後悔と贖罪の思いを自分が死ぬことで終止符を打ちたい…そう考えた紫紋は死ぬために「尽果」にやって来る


そこで出会う人、そこで知る思い、そこで見る風景、そこで感じる人の温かさ、そうした彼を取り巻く全てのものが紫紋に生きることを選択させる


壊れた心を癒す場所…そこが尽果のまぐだら屋…


マリアが尽果に行き着くまで、さらにそこで暮らし、集落の人たちに受け入れられるまでは壮絶だ。しかし、だからこそ、紫紋のように「死」を求めて尽果でバスを降りた人々を何も聞かず、ただ受け入れることができたのだろう…


最近は長くなるばかりの小説だが、本作は分量的にハードではなく、それでも、必要な登場人物たちのバックボーンが語られ、しっかり物語の世界に引き込まれる


素晴らしいぞ、原田マハさん!!


ドラマも十分納得の作品だった。原作とそこから色付けされた映像化とが相乗効果で、どちらも納得の作品って早々無いのだ  


最後に1つ…「まぐだら屋」の「まぐだら」とはこの地に残る伝説の怪魚の名前!!


  

ヘンリー八世


まだ手元にあった未読のシェイクスピア全集…少しずつ片付けていこう!!


「ヘンリー八世」W.シェイクスピア 著/松岡和子 訳(筑摩書房ちくま文庫 シェイクスピア全集31)


以下、感想。。。



















本作では語られないが、ヘンリー八世とはずいぶんと妃を変えた人物らしい…(汗)


本作は新しい妃が子供を産んだところで終わる。その子の名はエリザベス!!


あのエリザベスか?


きっとそうだろう。だから、戯曲になったのだろう…という感想しか………


前の妃との間には子が無かったのか?結局、ヘンリー八世は、その美貌に翻弄され、妃の侍女だった女性を新しい妃にする。前の妃には何一つ非はなかったのに…


結局、美貌に勝てるものは無い…と言いたいのか?


とりあえず、遠くまで出かけた時に時間潰しに読んだだけで、何の感想も無い…


国のためにはむしろ、ヘンリー八世より役に立つ重臣を無実の罪で陥れ、挙句、妃の侍女に結婚を迫る…


戯曲だから、読んでられるけど、これがリアルなら、こんな国王のいる国にはいたくない


シェイクスピア全集、全てに翻訳者の松岡和子さんのあとがき(時代背景や翻訳上の留意点など…)と解説が載っているが、とても読む気にはなれない(汗)


本編より充実していて、長いから…(笑)


今回もパスさせてもらいました。ごめんなさい。読んでれば、もっとまともな感想を書けるかもしれないけどね