今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

影法師


前回読んだ百田尚樹作品。久しぶりに良い感触で、なんならもう1冊読んでみようと手に取ってみた


手に取った理由は百田さん、時代物も書くのかぁと…


「影法師」百田尚樹 著(講談社文庫)


以下、感想。。。。。


















実は本書、巻末に「袋綴じ」部分がある。内容は雑誌連載の最終回に終章として添えられた物語だが、単行本化された時は省かれており、文庫化で復活したもの…


私、ブックオフで購入したので、既に袋綴じ部分は開けられおり、読むことは可能だった


主人公・勘一と竹馬の友・彦四郎との長きに渡る来し方を淡々と語る本作。ミステリーでもないし、ファンタジーでもない物語に途中ちょっとダレてきて…(汗)


それに、彦四郎はもしかしたら、昔の子供の頃の下女の娘との約束を守るために、彼女の人生が大きく開くために全てを賭けたんじゃないかと…


勘一は大いなる勘違いをしてるんじゃないかと…


これは百田流の「こころ」なんじゃないかと…


そんな本筋とは外れた思いがふつふつと湧いてきて、ちょっと気分を変えるために袋綴じを読んじゃえっ!と…


そして、読んだ結果、やっぱりそうだったんだね…と思った。勘一は確かに立派で、大いなる成功をおさめたけれど…次男坊で部屋住みの将来が待っている彦四郎が「みね」を守るためには、彼女を手放さねばならないと早くから覚悟を決め、目に適う男を探してたんだな…と


そこにみねを好きだと気持ちを伝えた勘一はまさに「先生」だ。そして、彦四郎は自死を選ぶのではなく、影となりみねを守ることに全てを賭けて生きる…Kの別の生き方バージョン


大いなる勘違いも時には、笑い飛ばせない時があるのだな…勘一の生き様はまさに。


彦四郎はそこまで1人の娘を愛し抜いたのか…なんだか、百田作品の底流に流れる「愛」の深さよね


ちょっと、打ちのめされましたよ、久しぶりに。


これ、勘一を岡田准一くんで、勘一の側付きの侍・富樫九郎右衛門に松下洸平くんで映像化を観たいなぁ〜


その時、彦四郎は誰だろう…やっぱり小栗君しかいないよね。うん、観たい!


   

輝く夜


うー…「殺人の門」が読めない…救いようが無い内容以前に、クズとグズの呆れるようなやり取りにもう嫌気が差す


それで、たまたま立ち寄ったブックオフで見つけた百田さんの著作。分量的にもちょっと良いかと手に取ってみた


「輝く夜」百田尚樹 著(講談社文庫)


以下、感想。。。。。。

















百田さんはファンタジーの人だなぁ。やっぱり、ファンタジー書かせたらホントに良いなぁ〜とあらためて感じた


あのマリアだって、永遠の0だって、結局はファンタジーの世界だもの…


出光創業者の立身出世物語は、小説とはいえ、「事実」を百田さんなりに脚色したものだから、やっぱり完璧にファンタジーではないし、映画化の直後だったか、当時の出光本体の経営陣と創業家との確執があらわになって、創業家の経営への口出しが出光の企業としてのさらなる成長拡大を後退させたと話題になったような記憶(定かでないが…)


実際、小説内にも創業者の最初の結婚やその終焉については記されていたが、家の血を守るために嫁いできた後妻については、ほぼ触れられていなかった。映画もその辺は敢えて触れずな描き方だった


多分、小説化に対して、あるいは、最後まで創業者が気にかけていたという最初の妻への描き方に対して、創業家というか後妻の立場からすると良い印象は無かったのだろうなと…


実在する物事を描くことの難しさを感じる作品だった


でも、本作はどうだ!


やっぱり、百田さんはファンタジーの人。国会議員なんかやってる場合じゃないよって思ってみたりする


国会議員は他の人でもできるけど(汗)、現実の世界にファンタジー空間を生み出せる小説家はそれほど多くはないと思うんだけどなぁ…


こんな夢あるファンタジーなら、また読みたいな


小説世界は、救いようのない現実の厳しさをこれでもかと訴えかけるのも1つの側面かもしれないけど、ちょっとあり得なくても、ちょっと無理くりでも、読んだ人間がホッとできたらそれが一番じゃないかと思うんだ!


     

踊りつかれて


話題になってたのかな?なぜ、予約したのか記憶にない本書…


小栗旬くん主演の「罪の声」の原作者さんの作品


「踊りつかれて」塩田武士 著(文藝春秋)


以下、感想。。。

















長い…
クドい…


多分「罪の声」にも多少なりとも同様の感想を抱いたと思う…


塩田さんの特徴なのか、そこまで徹底して手の内を晒すような小説を書く必要があるんだろうか…


現在、大きな問題になっているSNSでの誹謗中傷…匿名を良いことに、ある特定の人物を攻撃し、身勝手な正義で断罪する


ターゲットにされた人物にも多少の原因はあったにしても、その罪とは比較にならない社会的制裁を受ける…


本作はその社会現象を題材に、匿名の発信者達を公の舞台に引きずり出し、誹謗中傷の結果を明らかにする


その罪の在り処を巡り、調査を続ける若き女性弁護士が主人公


彼女は事件のあらましを調べるだけでなく、その登場人物たちの本性というか本筋を明らかにしていく。その過程が、もう回りくどいし、なかなかページが進まない(泣)


弁護士の久代が事件の遠因となった今はもう姿を消した天才的な歌手、奥田美月の越し方を1つ1つ紐解いていく行で登場する幼少期の美月の姿は、映画「罪の声」で原菜乃華ちゃんが演じた少女を思い起こさせる


辛く、救いようのない閉塞感に覆われた日々の中に無理矢理押し込められた少女…


1度、それらを飛び越え、新しい輝く未来を手に入れたのに、結局、支えてくれた人々の期待を裏切り、さらにはそこに不特定多数の無関係な人々による身勝手な正義の鉄槌が追い討ちとなり、表舞台から去っていく…


年齢も境遇も何もかも違うけど、でも、美月の越し方を読みながら、あの原菜乃華ちゃんのスクリーン上の最後の姿があっけなく散っていく場面を何度となく思い出した


登場人物たちの思いをきっちり伝えたいのだと理解はするが、そこを書き込まなくても肌感覚で感じ取れる方法はあると思うのだ。分量的には、さほどではないのだが、読むのに時間を要するってことはそういうことなのだろう。


きっと映像化するなら、こうしてしっかり書き込まれた小説は取り付きやすいのだろうなぁと思う。


でも、私は肌で感じ取れる物語を楽しみたい派なのだと思う。


こういう作品は、もうしばらくはお腹いっぱい…


     

逃亡者は北へ向かう


天海祐希✕松下洸平でドラマ化された「合理的にありえない」の原作者である柚月裕子さんの最新作…なのかしら?


長い予約待機を越え、やっと読めました!


「逃亡者は北へ向かう」柚月裕子 著(新潮社)


以下、感想。。。


















久しぶりに単行本を1日で読み切りました!テンポよく、面白かった…


いや、話の内容を考えれば、「面白かった」という感想は不謹慎か…


物語の背景にあの東日本大震災がある。あの震災の最中、人を殺めてしまった青年が唯一の縁となる顔も知らぬ父親を求めて、北へ逃亡する顛末を追う物語…


半グレの男と警官をそれぞれ揉み合ううちに死なせてしまった真柴亮。その直前、彼は育ててくれた祖父から悪い印象を植え付けられていた、顔も知らぬ生き別れの父親から最初で最後の手紙を受け取っていた。どうしようもなく、人生の悪循環に足を取られる自分に、その自分の生き方に区切りをつけるために父親の元へ行こうと決めていた。


会いたいとか、捨てられた恨みを晴らすとか、そんな具体的な思いがあったわけではない。ただ、自分の存在の意味を知りたかったのだと思う。なぜ生まれてきたのか、なぜ生きるのか、誰からも愛を感じることなく成長した亮にとって、これからの自分に向き合う区切りとしての父親の出現だった。だから、人を殺めてしまった事への自覚や悔恨はあっても、余命僅かと語る父親の元へと急いだ


瓦礫に埋もれた街…震災で日常を失った人…


亮は、なぜ父親のいる北へ向かうのか、もう自身の気持ちもつかめなくなっていく


読んでいて、哀しくて仕方なかった…不幸だとかそんな言葉で片付けられない。様々な物事が亮の行く手を阻み、様々な物事が複雑に絡み合いながら、絡め取られていく人生…


巡りの悪さ…運命などと簡単に片付けられない亮の来し方


真摯に向き合ってくれる刑事、陣内に出会ったことが救いになっただろうか…


それぞれの出来事の細かな背景の描写を描かないことで、読み取る側の読者の思いに託したように感じる本作


柚月裕子さん、素敵な作家だと思った


この作品、映像化されるのを観たいなぁ…


あっ!!


でも、柚月裕子作品はどこか都合の良い展開があり、それが物語の進展に大きな役割を果たす。それがちょっと気になるかな…本作もそうだった。限りあるページ数の中で結論を導き出すためには、多少のご都合は必要なのだろうが、どこか強引な力業を発揮される箇所が散見される…


それを考えると、映像化と言っても、映画ではなく、丁寧に製作側の意図も盛り込める連続ドラマが良いのかもしれない…


ご都合主義と言われかねない展開にもちゃんと意味を持たせるられる丁寧な作りを期待出来るのは数話のドラマが良いと思う…


        

C線上のアリア


あの衝撃的な「人間標本」…映像化されたのだが、有料配信チャンネルだったせいか、西島秀俊さんが出演したにもかかわらず、評判を耳にしないのはなぜだろう…


かなり長いこと待たされて手元に届いた私にとっての次回作


「C線上のアリア」湊かなえ 著(朝日新聞出版)


以下、感想。。。





















「C線」というのは弦楽器の中でも1番低い音を発する弦を言うそうだ。そして、「アリア」はオペラにおける主人公の独唱。


このタイトルの意味するところは、人の心の奥底に隠された独白…ということか…


湊かなえさんの著作ということで、読み進めながら、きっと何かあると不穏な空気を感じながら読み進めたけれど、結局、何も起こらなかった…


今はもう既に鬼籍に入った人たちとそのすぐ近くにいた人…認知症を発症し、もう1人では暮らすことが出来ない人たちの秘められた(いや、秘めたというより、きちんと向き合ってこなかった)過去の「現実」を探る旅…だった


湊かなえさんは登場人物それぞれの目線で語ることで、「真実」は1つではない…という構成の物語をよく発表されるし、それらの内容は完成度が高く、いつも驚かされる。


本作もまさにそれぞれの目線で感じたことが、その後の関係に影を落とした。


このまま埋もれていくはずだった「真実」は長年無沙汰をしていた女性が故郷に帰ってきたところから、紐解かれ、明かされていく。


ストーリテラーといえる美佐。両親の死後、高校の3年間を共に暮らし、世話してくれた叔母が認知症を発症し、その扱いに困ったらしい行政からの連絡で重い腰を上げる。美佐自身、婚家の義母の扱いに悩まされていた時だったので、ある意味、ちょうど良い逃げ道でもあったのだ。


優しく穏やかに暮らしていたかつての記憶をことごとく覆す叔母の現状に閉口しながら、叔母の過去を詳らかにする心の旅に出る…


いろんな事が繋がって、いろんな結論が見えてくる


だから、どうするわけでもない…


ただ、叔母の穏やかな日々を守るために、そして、自らの好奇心を満たすために、叔母を施設に入所させ、3年暮らした家を調える。


結局、何も事件は起こらないし、ちょっと変わった人も登場するが、総じて良い人たちばかりで、彼らの人生の区切りとなる「時間」を美佐の視点で読むことになる…


でも、根底になぜか不穏さがあるのは、やはり湊かなえ作品なのだろう。


    

ありか


もうしばらく1冊の本を読み切れていない(涙)。活字がツラいわけでもなく、図書館の予約本も順調に手に届いてるのに、読む気になれないし、読み切れない…


本当に久しぶりに読み切った…瀬尾さんの本はいつもとても軽快な展開で温かい思いに溢れ、あっという間に読んじゃうのに、今回は10日もかかった…


「ありか」瀬尾まいこ 著/水鈴社


以下、感想。。。
















家族の形…血縁にこだわらない、新しい繋がり…


最近、小説も映画もドラマも「血は水より濃い」的な縛りを外す作品が増えている。それだけ、人の繋がりが新たな形になってきてるんだろう


本作も、小学校入学前の娘を育てるシングルマザーが主人公で、なぜか離婚した夫の弟やその恋人、離婚した夫の両親などに守られて、地に足つけてしっかり生きてる。まだ20代半ばの主人公が日々の暮らしの中で、自力をつけ、新たな関係を築き、自分というものを確立していく過程が描かれる


感動するし、世間的には珍しい関係がしっかり受け入れられるし、瀬尾作品ならではの充実感もある


それでも10日もかかったのは…


実は、お話は感動的で納得できる形に帰結するんだけど、そこここにちょっと首を傾げてしまう描写があって、そこが最後まで気になってしまったのだ。。。


主人公は26歳、彼女たちを支える義弟は25歳…ということは離婚した夫はせいぜい30歳くらいと考えられる(本編にも年齢の行はあったかもしれないけど、覚えていない…汗)。そこから類推するに夫の両親はかろうじて現役世代くらいか…


なんと、その義母からは娘(義母から見れば孫)のためにと、毎月8万円の仕送りがある!!確かに「8万円」と書かれていた。一般家庭において「8万円」というのが、どの程度のものか、著者には分からなかったのか?安定的に作品を生み出して、売れてる作家なのだから、一般家庭の指標は分からないかもしれないが、編集者は何も感じなかったのか…


現役世代ギリギリかあるいは定年したばかりの夫婦2人世帯において、自分達が生活する他に「8万円/月」って、どんなに裕福な家庭なのだろうかと…


さらに離婚した夫の払う養育費「4万円」!私の息子も離婚経験があるので、その基準からすると、なかなかだ。養育費というのは払う側の財力も考慮される。つまり、元夫には4万円を支払える収入があるということだ。ちなみに息子は3万円…それだって、彼の収入からしたら、かなりハードな金額だ。進んで残業をしないとカバー出来ないと言っていた!


つまり、主人公は26歳で6歳の娘がいる、今どき珍しい超若い母親だが、安定的な収入のある家庭に育った、安定的に収入のある夫と結婚したことになる


それに娘(孫)は年長さんなのだが、「5歳」なんだそうだ。入学を控え、遅ればせながらランドセルを購入し、新年を迎えているが、「5歳」…普通に年長さんの子供を描写するなら「6歳」にしないだろうか…


入学までのあと僅かな日々で6歳になるのか?超早生まれってことなのか?確かに3月後半の生まれの人はたくさんいる。でも、一般的な小説の中で、なんの説明もなく「早生まれ」設定は、ちょっと頭が追いつかない…


昨今、離婚家庭が増え、シングルマザーの暮らしの厳しさを伝え聞くことが増えた。私が子どもの時代は、まだ世の中も今と違って、全体が貧しかったし、そのクセ、心には余裕があった。だから、母子家庭(当時はそう呼ぶのが普通だった)の子は、まわりの社会にも育ててもらってた。みんな貧しいけど、だからって放ってはいけない。わずかだけど手助けをするのが当たり前だった。学校から帰ると妹の同級生で母親が働いてる子が我が家でおやつを食べていた。妹と2人で…


そんな光景は珍しくもなく、逆に私の母が具合の悪い時はその同級生の母親が、仕事先でもらったと言って果物を届けてくれた。


本作の主人公は、私が子ども時代の母子家庭の母親のようだ…今のたった1人で必死に生きてるシングルマザーたちとはなんだか印象が違う


主人公が1人休んだところで、代わりは幾らでもいるし、特に迷惑がかかるわけでもない職場は工場で、流れ作業のような仕事らしい。毎日、定時に帰って、保育園のお迎えに十分間に合っている。そんな形で、どうやって、義母から貰う8万円に手もつけず、部屋を借り、誰からも援助されず、娘と2人しっかりと生活できるのか…


いろんな意味で「ファンタジー」な小説だと思ってしまったのだ…


なんだか、薄らぼんやりとした印象になってしまった本作…「8万円」はさすがに見間違えたのではないか…と思ったが、もう見返す気力も無かった


     

リチャード二世


ここ最近、図書館から予約本はコンサタントに届いているんだけど、私的につまんなくて、結局読みきれず借り出し期間の時間切れ続き…(汗)


気分を変えるために手持ちを!


「リチャード二世」 W.シェイクスピア 著/松岡和子 訳(ちくま文庫 シェイクスピア全集26)


以下、感想。。。













さすがシェイクスピア作品!後味悪い(笑)


かつて、自分が陥れた男の息子に復讐され、王の座を逐われるリチャード二世


王様は孤独だけれど、でも、本当に信頼できる人間を側に置いておけば、多少の問題は乗り越えられる…はず


けれど、王様ためを思って、時には辛口の言葉を投げかける側近は疎んじられてしまう


リチャード二世はその辺が分かんなかったのね


自分に厳しい言葉こそ自分に1番必要なものかもしれない。それを真摯に受け止める人間力こそ、人の上に立つ人には必要なのだと…


戯曲は楽しいな…うだうだしてないし、スッキリ読める


次の予約本は面白いと良いなぁー