今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

トロイラスとクレシダ


とりあえず、番号順に読み始めたシェイクスピア全集。今回は23巻。しかし、翻訳本は古書でもお高いので、次からは全集発行順ではなくなりそう(汗)


今回はホントに長く長くかかりました(涙)


我が家的にいろんな問題が発生し、それに対処する一方で、7ヶ月も前にチケットを確保してた松下洸平くんのライブ(大ラス・東京2Days)への参船(※松下洸平くんは自分の歩みを船の航海に例えるので…)もあり、もう「本を読む」という行為も時間も全く縁遠いものになってしまって…


「トロイラスとクレシダ」シェイクスピア 著/松岡和子 訳(ちくま文庫シェイクスピア全集23)


以下、感想。。。



















ん~~。。。


ん~~〜〜〜。。。


どう言ったらよい?


本作は「訳者あとがき」を読まないと理解が難しい。私は普段、どんな小説でも戯曲でも基本的に「解説」や「訳者あとがき」は読まない。私の100%の感想がそれらの影響で色が変わってしまうから(偉そうな…笑)


でも、本作は訳者である松岡和子さんの「あとがき」を読まないと時代背景や時代感覚が分からない。背景より「感覚」が分からないと理解が及ばない


婚姻に関する時代感覚は大切です!


トロイラスとクレシダは互いに意識しあい、惹かれあう。当時としては、婚姻前に男女の関わりがあるのはご法度で、それは掟破りなのだそうだ(訳者あとがきより…)


トロイラスとクレシダはその掟を破った。しかし、掟を破ってでも成し遂げたい愛の形だったのかもしれないが、当時の戦の状況から、人質交換みたいな流れになり、クレシダが敵方に送り込まれる。


たった一夜の契だったが、トロイラスはクレシダとの愛を貫く。戦いに打ち勝ち、クレシダをその手に取り戻すまで、クレシダへの思いを貫く決意をする。その証として小袖(当時としては形見のような意味合い?)をクレシダに託す…


ステキな愛の姿だぁ〜!と思ったら、当の愛の証を貰ったクレシダは敵方に送り込まれると途端に敵方の将軍と懇ろになり、貰った小袖をその将軍にプレゼントしちゃう(驚)


何百年も前の女性なのに、イマドキねって思っちゃったわ(汗)


まぁ、シェイクスピア劇は不条理だったり、思わぬ遠回りの人間模様だったりを観せてくれる作品だけど、これはダメよ(笑)


ただ、あくまでもワタシ的にダメなのであって、クレシダの生き様は、男社会で自身の美しく可憐な様を武器に強かに生き抜く姿なのだと言われてしまえば、まぁそうかもね…と。


私にはそんな武器が無いので、クレシダの姿は「持てる人」の生き様なのであって、理解が及ばないし、それを理解する気もない


そして、男達はそれらに振り回されて、なぜ命を懸けてまで戦うのか…バカなの?って冷めた心で読んだ


シェイクスピア劇にはホントに様々な人間が登場し、様々な姿を見せてくれる。正直、今はお腹いっぱいだ。


次に読もうとまた3冊用意したけど、さて次はいつになるか…(笑)


ガンバレ、私。全集32巻読破目指し!


    

シンベリン


少し戯曲を読むペースが戻ってきたので、全集の次巻に挑戦。全集の順番は、彩の国シェイクスピア・シリーズの公演順なのかしら…


「シンベリン」シェイクスピア 著/松岡和子 訳(ちくま文庫シェイクスピア全集22)


以下、感想。。。


















タイトル・ロールのシンベリンはブリテン国の王様…でも、戯曲の上ではけして主人公ではないな…


まさに「裸の王様」だ。自分に取り入る者を味方と信じ、本当の忠誠心や誠意など気づきもしない


こういう人が上に立つと本当に不幸


戯曲だから最後は大団円だけど、現実はそうは行かない


シェイクスピアの戯曲はどれも(私が読んできただけの分で言ってます…汗)人間の愚かさを中心に描いてる。ちょっとした心の戸惑いに翻弄されてしまう人間の性質を面白可笑しく描いてる


これをローマ時代の金銀色とりどりの華麗な衣装を纏った役者たちが演じる。なんとも皮肉な芝居。まさに風刺劇!


ちょっと、シンベリンの息子や娘の行は面倒だなぁとは感じたけど、このくらいのヒネリが無いと楽しくもないか…


読み始めちゃうと面白いので、どんどん読めちゃうんだけど、なかなか本を開く気にならないのが、シェイクスピア作品の難しいところだなぁ…


移動中に読むのには最適か


   

アントニーとクレオパトラ


図書館で予約していた書籍が続けざまに届き、さらに今年のNHK大河ドラマ「光る君へ」に出演が告知された松下洸平くんが演じるオリジナル・キャラクター(北宋の見習い医師・周明)のモデルと噂される人物が描かれている「紫式部物語(上・下)」が手元にあり、とても2週間では読み切れないと全てを諦め、返却してしまった。


あまり本を読む気にもなれず、そのままにしていた。そんな時、ふと考えた。松岡和子さんの翻訳シリーズ「シェイクスピア全集」はいったいどうなったのだろうと…


彩の国シェイクスピア・シリーズとして上演されてきた松岡和子さんの翻訳シリーズ。蜷川さんがお亡くなりになって、その後は吉田鋼太郎さんの演出で続いているとは聞いていたが…


確認すると全集20までは手元にあり、さらに全集は32巻で完了していることを知った。そこで、21巻から再びチャレンジしようと思い立った。


アントニークレオパトラシェイクスピア 著/松岡和子 訳(ちくま文庫シェイクスピア全集21)


以下、感想。。。

















かつて、面白く読み続けていたシェイクスピア全集だが、翻訳戯曲を読むのは本当に久方ぶりで、読み方を思い出しながら読んでいたので、まぁ時間がかかった。


読み方…というとちょっと意味不明かな。


戯曲のセリフを読みながら、それぞれが語っているかのように抑揚をつけながら読み進める。まるで目の前で上演されてるかの如く。そうやって、このシェイクスピア全集を読んできたのだ。


全体の2/3ほどを読んだ頃、そのテンポが自分に戻ってきた。そうなると俄然面白さが増していった。


そこに行き着くまでは、あまり面白くなく、テンポも悪く、なんだか失敗しちゃったような気持ちだった。


なにしろ、アントニーとシーザーとの戦いなのに、戦うシーンはほぼ描かれず、人物を取り巻く愛憎劇が主で、しかも誰かの策略というより、戦乱の中で互いを見失っていくお話だった。ある意味、ちょっとした行き違いに端を発した「誤解」が元で、国が滅ぶほどの大問題に発展する。ちゃんと向き合い、語り合えば解決する話に命を賭ける。


潔いというのか、名誉に生きるというのか…現代の人間には今一つピンとこない。


シェイクスピアの作品は、そうした人間の悲喜こもごもな生き様をお芝居に昇華したものなのだろう…


久しぶりに触れた世界、また少しずつ楽しんでいこう。


   

いちばんすきな花


「いちばんすきな花」フジテレビ(全11話)


登場人物は主演が4人!!誰か1人の主演に他3人が関わるというより、それぞれが主となった話に他の3人がしっかり関わっていくパターン


昨年話題となったらしい(私は全く知らないし、興味もなく、本作の紹介に必ず付いて回るのでその名を知った)「silent」というドラマのプロデューサー&脚本家の新作だそうだ。全く興味も無いので今更そのドラマを見る気もなく(苦手な女優が出てるのを知ったから、尚更…)、ある意味先入観なく見始めた。


主演の1人に松下洸平くん。


優しく穏やかで、かなりのこだわり屋さん春木椿を演じた。「春木椿」って凄い名前じゃん(笑)


名前に「春」と「木」しかないよ(笑)


ドラマで慣れ親しんじゃったから今なら何も思わないけど、自分の小学校時代にこんな名前の同級生がいたら、どうする?ってマジで思った…いじめとまではいかなくてもからかったりしちゃうよね…私も名前はちょっといろいろ言われて育ったので、ふとそんな事を考えた。


社会という全体の中で上手く立ち回れない4人がひょんな事で出会う。そして「友情」を紡いでいく。大きな事件も無いし、4人の中で大恋愛も起きない。それでも、全話見通して「良かった」と思えるドラマって珍しい。


4人それぞれが世間と上手く馴染めないことを自覚してるんだけど、彼らを取り巻く他者はそれほど4人を馴染めない人と認識してないように思う。まぁ、大人だから、その辺は上手くやり過ごしてるのかもしれないかど、それはそれで本人にしたらかなりツラい状況なのだ。


特に椿くんはなかなか大変な人。人生を大きく左右する「結婚」に関しても、相手のことを好きだとか尊敬できるとかの自分なりの尺度ではなく、年齢的にちょうど良いとか自分もそろそろだとか世間の尺度でたまたまちょうど良かった女性と、彼女のペースで決めてしまった…


もちろん、決まった後で彼なり「違和感」を覚えていたようだけれど、それを敢えて表明するわけでもなく、ただ流れに任せていた。そんな時、その後、宝となる友人と出会う。そして、初めて自らの言葉で一生を共にしようとして人に別れを告げる。


自分にコンプレックスがあり、それを克服する勇気もない椿には結婚を自ら止めるなんてあり得なかったんだろうけど、3人と出会ったことで、彼は「自分」を取り戻す。


そうした日常の少しずつの変化をただ追っていくドラマ。そして、4人がなぜ椿の赤い屋根の家で出会うのか、それはもう出来過ぎくらいの運命だったことが分かる後半に事件ではなく、自分たちの深い絆を自覚していく流れはなんとも暖かい。


そうなのね、日常の変化は少ないけど、4人の繋がりは「大事件」!!


「こんな事あるか〜」「出来過ぎ〜」という言葉がピッタリ(笑)の展開なんだけど、それもありだなと思わせる作劇の上手さにあっぱれ!!


そして、最終回はあまり見ない手法で「花」を演出する。主題歌を歌う藤井風くんがドラマのワンシーンとして、ピアノを弾きながら歌い上げる。


企画力で勝負に出たドラマだと思った。もちろん藤井風くんが登場することもだけど、4人が主演というのも、そして、恋愛でもコメディでもなくて、20代、30代の若者の生き方として1つの方途を示すものとして…


松下洸平くん、彼にはまさにハマり役であったと思う。どんな役もハマり役にしてしまう彼の今後がさらに楽しみ…


取り敢えず、年明けから春まではライブだね!!


   

十角館の殺人


十角館の殺人(新装改訂版)」綾辻行人(講談社文庫)


お初の綾辻行人作品。つい先ごろ「映像化不可能と言われた作品が映画化へ」という良く聞く謳い文句で紹介された本作。続く解説には1986年だか、その辺りに発表され、大ヒットを飛ばしながら今まで1度として映像化されなかったとあった。


それは読んでみなきゃ…ということで手に取った。


以下、感想。。。


















う〜ん。王道の推理小説だ!!


途中から、結構トリック的には泥臭いけど、コイツが犯人だなぁ〜というのは分かっちゃうんだけど、やっぱり小説は文字で表現するってとこが良いよね。


「文字」によって、その人物の名も顔も人柄も表現されるので、一目瞭然が無いってことが、いわゆるドンデン返しを生み、華麗なる伏線回収が可能になる。


時代が時代なので、登場人物たちがやたらとタバコを手にする。今から30年前、タバコは場面転換や登場人物の様子の変化に上手く利用される小道具だった。


今の時代は映像に喫煙シーンはアウトになるらしく、登場人物のイラつきをタバコを吸わせることで簡単に表現してきた製作者たちは新しい手法を採用しなければならないね。


最近、話題作が映像化されると聞くと松下洸平くんは出演するかしら?と楽しみになる。


しかし、本作については登場人物の年代や性別も一切知らないので、読んでみるしかなく、おとなしく王道の推理小説を読み切った。


まずは面白い。ただ、ちょっとストーリ的に入り組んでるかなぁとは思った。映像化が不可能だったのは何も舞台装置の難しさではなく、限られた時間でこれだけの入り組んだ人物関係を華麗に回すのは無理ということではないかしら。


しかも、文字上の表現だから、その正体が最後まで暴かれなかった「犯人」が映像になるとすぐさま判明し、最後まで引っ張るのは難しい。


1度物語の展開を再構築しないとこのままでは難しいだろう。


はたして、どんなふうに映像化するのだろう。ストーリー展開や登場人物よりそっちの方が興味あるなぁ。


作中、年代的に松下洸平くんが演じられそうなのは、事件には直接関係もないのに、かなりポイントな人物で何やらミステリー好きなお寺の三男坊・島田潔くらい…


本作に関わることはおそらくないだろうなぁ…それよりも「硝子の塔の殺人」の映画化があったら、そっちに出てほしいなぁ〜。


横道にそれてしまった(汗)


で、本作については…最後の犯人のネタバレ1人語りは、まぁ、心情として理解できなくはないけど、その「告白」はあまり愉快なものでなく、むしろ情けなくゾッとする類のもので…後味はとても悪い。


  

闇に咲く花(WOWOW放送版)


本年8月に紀伊國屋サザンシアターで上演されたこまつ座「闇に咲く花」


こまつ座の演目はあまりWOWOWで放送されることもないのでかなり貴重。上演時、既にWOWOWで放送されることが告知されていた。


私は撮影カメラが入った8/17以降の鑑賞だったので、その点も楽しみだった。鑑賞した座席はけして後方ではないけれど、生で得られる高揚感とは別にやはり放送独自の視点で楽しめることはなによりだ。


昨年末に始まったライブ・ツアーと合わせて放送された「松下洸平祭り」の一環。松下洸平様々だな…(笑)


いやぁ〜放送開始から、ひたすら見入ってしまった。松下洸平くん登場はだいぶお話が進んでからなんだけど、彼が出てくる前から、あの逞しき戦争未亡人たちのやり取りに目が釘付けだ


あるレビューで、本作に対して的外れな感想を読んだ。


演出家がどう戯曲を解釈し、咀嚼するか、演じ手がどう演出家の意図を汲んで表現するか…についての感想や意見なら、どんな指摘も読もうと思うが、なんと、戯曲ありきの演目に対して、その戯曲のあり様や描き方に意見してるのだ。


今は亡き井上ひさしの戯曲…何度も同じ戯曲で再演されている。その根本たる戯曲に…それを本作へのレビューとして堂々と論じる劇評家がいるのには驚いた(汗)


まぁ、そんな意味不明なものは置いといて…


映画は映画館のスクリーンで、芝居は劇場で生で観るのが1番だが、金もかかるし、スケジュール的に上手くいかないこともある。そういう時に映像で残してもらって、テレビで見られたら最高だ。


戯曲を何回も読んで、芝居を2度観劇して、それでもやはり映像で見て良かった。


良い芝居。松下洸平くん演じる「健太郎」は27歳。3月に37歳になる松下洸平くんとは10歳違う。来夏演じる「母と暮せば」の浩二は21歳。健太郎より遥かに年下だ。年齢的に最後かもしれない。でも、健太郎については、数年のうちに再演があれば、もう1度板の上で観られるかもしれない…


WOWOWオンデマンドでの配信は2週間ほど視聴可能。良い企画をありがとう、WOWOW!!

ゴジラ −1.0


こちらは全世界的にも待望の新作「ゴジラ


かなりの大ヒットらしい。さてさて、どんな感じかな?と…


観たいとは思ったけど、ちょっと躊躇いもあった。それはちょうどタイミング良く、市井の植物学者を主人公にした「朝ドラ」の主演とそのヒロインが本作でも登場したから…


神木隆之介浜辺美波のコンビが例えば相反する立場で登場するならまだしも、相手役として登場するとか…「朝ドラ」と一緒じゃん。イメージが被るし、この場合、浜辺美波の方が「仕事を選べ」的な立場だ。


「朝ドラ」の評判が良かったから、こっちも乗ったのか?…まぁ、映画製作はずっと以前に始まってる筈だから、そこまで直近の評判を考慮できないけど、神木隆之介との共演には何らかの意図があったのだろうな…


そんな勘繰りも杞憂に終わるほど映画の完成度が高ければ文句無しなんだけど…


確かにゴジラの造形は素晴らしい。さすが「三丁目の夕日」だ!!我が家では、山崎貴を別名「三丁目の夕日」と呼んでいる(笑)


でも、「シン・ゴジラ」で観たあの蒲田駅前のゴジラの行進ほどの衝撃度は無かったなぁ…「良く出来てるなぁ〜」とは思ったけど


そして、「でも」がもう1つ……ストーリーがねぇ…


シン・ゴジラ」で私達は現代の官僚組織が、意味不明で圧倒的な力のある物といかに対峙し、闘うのかを観てきた。その中でも十分に人間模様は伝えられた。


本作は「原点回帰」らしい。第二次大戦後、人間の様々な欲望の塊でもある放射能を浴びた、意味不明で圧倒的な力のある物が初めて人間の前に登場した頃を舞台としている。


あれこれ詰め込み過ぎな気がする。戦後の大変な暮らしとそこでの主人公の生き様…そこにゴジラ


そして、ラストの浜辺美波の帰還。あれは無いよなぁ。どんなふうに彼女がいなくなったか、スクリーンに向き合った観客はみんな観ているのに…さすがにゴジラにリアルは求めないけど、人間のリアルはちゃんと描かないと造形物の優秀さに比して、ストーリーのリアル感はとても勝負にならない…ゴジラもファンタジーだけど、登場人物もファンタジー(汗)


結局、邦画だなぁ〜という印象が強く残った。残念。もう既にラストがどうだったか、ぼやけてきてる(笑)


奇想天外な闘い方、奇想天外なラスト…まぁ、相手は人間の思惑を遥かに超える生き物なので仕方ないか(笑)