今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

翔んで埼玉〜琵琶湖より愛をこめて〜


久しぶりに劇場へ。割引制度が変わり、チケットが値上がりし、映画館で映画を観るという当たり前のことが難しくなった。


話題作やどうしても観たい作品だけを選んで、割引制度が充実してる劇場へ行くようになった。


試写を含めて年間100本の映画を観ていたことを考えると、料金の値上げとかコロナ禍とかそういう外的な理由じゃなく、自分の熱が冷めたとしか言いようがない(汗)


とりあえず、前作を観ていたし、本作の話題も見聞きしていたので、公開日に劇場へ。


前作は「埼玉」について、東京などの都会と比して「ダ埼玉」と揶揄され、みんながバカにしてる…という面を映画化したわけだ(笑)。でも、今やオシャレな街もある埼玉。東京のベッドタウンとして機能して、人口も多い。けして、ダサいわけではないのだ。


東京生まれの東京育ちの私からしても、以前よりずっと、ずっと洗練されてきたと思ってる。ただ、じゃあ住みたいかって聞かれたら、私は………住みたくない(汗)


で、今回は単に関東で名を成そうとか、東京に対抗しようとか、そういう範疇を飛び越して、なんと関西に!!


まぁ、話の内容も強引だから、関西を舞台にすることも強引に押し切っちゃって、スケジュール的に忙しい二階堂ふみは埼玉に残るパターンで乗り切る(汗)。


で、二階堂ふみは、前作で都庁の本庁舎の上層階に暮らしてなかった?GACKT演じる(役名分からず…汗)埼玉代表と仲良くなったから、二階堂ふみも埼玉の人になってる…?


とりあえず、笑って観る映画で、ストーリーとかあんまり追わなくて、ちょっと時間潰しに観る映画。


前作の衝撃度と比べると、ちょっとガッカリな感じだった。なぜかと言えば、少なくとも関西圏における「滋賀県」の立ち位置を全く知らないからだ。埼玉と同じ立場だと理解はしてるが、腹を抱えて笑うほどのストーリーではなかったし…


まぁ全体としては面白かったから、良しとはするけど、いつかテレビで放送される時に見る感じで十分だったかなぁ。スクリーンで観るほどのスケールのお話ではなかった…


   

WOWOWオンデマンド


最近、すっかり映画館も遠のき(汗)、基本的に「松下洸平」関連のドラマばかりをリピートする日々…(汗)


でも、お天気悪い日とか、どうにも体調が安定せず(ナゼだ?)1日ぼんやり過ごす日とか、Androidテレビを活用してる


そこで大変お世話になってるのがWOWOWオンデマンド!!


WOWOWオリジナルのドラマもいいけど、それよりもよりすぐりの海外ドラマを常時見られるのはとっても良いのだ


で、夏頃から時々一気見していた作品を書き出してみた。結構あるなぁ〜(笑)


「容疑者〜ねじれた犯罪心理」(英国)
「埋もれる殺意〜6年の封印〜」(英国)
「ザ・ハンター」(北欧)
「ザ・ハンター2」(北欧)
レベッカ・マーティンソン〜型破りな捜査〜」(北欧)
「EXPOー爆発物処理班ー」(英国)
「オオカミの棲む森」(北欧)
「刑事ペーテル2〜未解決事件捜査班〜」(北欧)
「Face to Face2ー尋問ー」(北欧)
「ダークネス:ゾウズ・フー・キル」(北欧)


なかでも「埋もれる殺意」「刑事ペーテル」「Face to Face」「ゾウズ・フー・キル」はシーズン1は既に見てて、面白かったので新作をチェック


上記いずれも5〜8話なので一気見もしやすいし、しかもどれも結構完成度高い!


特に「北欧サスペンス」と言われるシリーズは、土地の美しい風景と風土を土台にしたサスペンスがまた良い


「英国サスペンス」と括られてる作品は本当に完成度が高い。「シャーロック」を生み出した映像文化の基礎がガッチリした世界が描き出すドラマはみんな素晴らしい


もし、日本の生活風土や風習と相容れるものなら日本版リメイクも楽しみたいなと思うほどだ。例えば「アイ・アム・まきもと」のように…


また新作を待とう!!


   

最高の教師


大好き「松下洸平」出演作品!!


春に「合理的に〜」があって、その後「潜入捜査官 松下洸平」が解禁になり、その間、御本人は「こまつ座」の舞台に立つというウルトラ忙しいなかで、次作は「ミステリと言う勿れ」の映画公開後の秋にでもドラマか映画、あるかもなぁ〜くらいに思ってた…だって、年明けにライブ・ツアー発表されてたし…


ところが、御本人が舞台に立つ裏で、なんと連ドラに出るというウルトラC


まぁ、主演や助演という出演時間の多い役どころではなく、主人公の夫という微妙に重要なのかそうでないのかよく分らないご出演


御本人のSNSでの出演告知には「学園モノだと聞いたので、生徒役かと思ったら旦那役だった…」と


まぁ「生徒役」への意気込みは、彼特有のジョークとしても、同じ時期にやたらと高齢な(笑)高校生がいっぱいの映画「Gメン」が公開されており、まぁそんな配役も無くはないかも…なぁ〜んて(笑)


で、その夫、九条蓮


高校教師の妻とのすれ違い生活。顔を合わせても目を見ない2人の会話。なんだかどんよりした夫婦の関係…


主人公の高校教師は冒頭、卒業式後の校舎で誰かから突き落とされる。落下していく途中で死に怯え「死にたくない!」と叫ぶ。そして、目を開くとそこは1年前の始業式!!


ここからドラマが始まる


教師としての教室運営はけして上手くいっておらず、ただ表面だけ繕って無事に生徒を送り出せればよいと考える教師、九条里奈


彼女は学校での生徒との関係もけして褒められたものでなく、そして、家に帰れば、夫との毎日もただの共同生活のレベル


しかし、「死」の恐怖を経験したことで2周目の人生でやり直しへのチャレンジを開始する


かなり強引で、かなり強烈な彼女の巻き返しは、度重なるうちに教室の空気を変えていく。その第一弾が芦田愛菜ちゃん演じるいじめられっ子の問題。そして、この芦田愛菜ちゃんの独白シーンが強烈な印象を与え、それほど話題になってなかった本作を一気に話題作に押し上げる


でも、この独白シーンの独り語りは、なんか普通の話し言葉じゃなくてお堅い舞台作品みたいな語り口で、高校生としての役者のセリフとして、私は好きになれなかった。物凄く嘘くさい、演出まみれのセリフにしか聞こえなかったんだけど、世間的には「芦田愛菜、凄い」ってなってて、うそ〜って思った。むしろ、芦田愛菜ちゃん、下手くそになった?と思ったくらいだったから…その後の普通の高校生としてのセリフまわしを聞いて、あぁ芦田愛菜ちゃん、上手いじゃんと思ったので、やっぱりこのシーンはちょっと過剰だったんじゃないかな…


そして、クラスの問題に真正面から立ち向かう彼女に離婚届を突きつける夫が九条蓮


人生2周目の里奈はクラス運営だけでなく、夫との関係も修復へと抗おうとする。結果、2人は向き合って話し合うのだが、里奈が誰にも打ち明けられなかった「人生2周目」を蓮は受け容れる。その過程で2人は時間を共にし、語り合うようになる。里奈はクラスでの問題を蓮に語り、里奈の抱えた思いが吐き出されていく。語り合うことで、今の問題を整理し、里奈に力を与えていく。そうやって、2人は1年後のその日を迎えるまで、語り支え合う


最初は離婚を切り出した理由も今一つはっきりしない蓮の様子に視聴者は、蓮こそ里奈を突き落とした黒幕ではないか?と話題になったりしていたが、互いに歩み寄った後はただひたすら妻を守り、支える夫だった


タイトルをもじって「最高の旦那」とか「最高の夫」とか呼ばれ、毎回数分の出演ながら、九条蓮こと松下洸平は一気に注目度を高めていく


夫も話題になったが、生徒たちの演技も注目された。菅田将暉が余命幾ばくもない担任教師を演じた「3年A組…」のスタッフによって製作された本作は芦田愛菜ちゃん、加藤清史郎くんという飛び抜けた子役あがりの生徒以外はそれほどキャリアのある俳優さんはいなかったように思う


みんな、これからっていう若い俳優さんばかり。その中でも各話のメインになった生徒たちはなかなかの名演で、これでジャンプアップできる子もいるかな…


「3年A組」はもう既にキャリアある人が結構いたし、あれがきっかけで注目されたのは森七菜くらいじゃないかなぁ…


そういう意味では重要ポイントを芦田愛菜ちゃんと加藤清史郎くんに集約させたことで、フレッシュな俳優さんの注目度を上げることに成功したかな


そして、毎回数分だった「最高の夫」は最終回の「結果」集約回で全部持っていった感。なぜ、松下洸平をこの役で?と言われてたけど、その理由が最終回でよく分かった…


同時進行で舞台出演をしていた松下洸平くんは、全話通しても1時間もない出演時間だった。確かに物理的にそれ以上は無理かもしれなかったけど、時間以上の強烈な印象を視聴者に与えたのは間違いない


「最高の夫」と言われながらも、最後の最後まで里奈を突き落とした黒幕だと言われ続けた彼は、松下洸平がこれで終わるわけはないという視聴者の思い込みまで生み出した。それも彼の演技力と存在感とが為せる技なのだと…


本作の締め俳優として、ガッチリ役目を果たしたようだ


  

潜入捜査官 松下洸平


昨年いつ頃だったかなぁ…松下洸平くんの所属事務所「キューブ」が新人俳優オーディションを大々的に告知したのは…


そのオーディションは全くの新人発掘を目的としていて、現在芸能活動をしていない10代で、今年の5〜6月の撮影に参加できることなど条件があった。キューブが事務所創設周年記念行事の一環でドラマ製作を企画していて、主演は松下洸平だと…


昨年の創設周年記念の演目は舞台「夜来香ラプソディ」。「夜来香」も主演は松下洸平くん。彼は既に「キューブ」の顔なんだなぁと感慨深い。


春の天海祐希さんとのドラマ「合理的にあり得ない」。夏のこまつ座の舞台「闇に咲く花」。それと時期が丸被りでまさかと思った夏ドラマ「最高の教師」。次々と出演作品が続く中で、あの「キューブ」のドラマはどうしたんだろうとネットでもちらちら噂になり始めた頃、本作の話題がオープンになった。


確かに新人女優さんはオーディションで選ばれていた。オーディション会場に事務所の代表的な俳優である古田新太さんも駆けつけていたし、新聞記事にもなっていた。でも、それっきりだったから、最初「キューブ」発信のドラマと本作との関係性が分からなかった。


そうなのだ。事務所発信の企画が配信ネットワークのTVerを巻き込んで、在京民放キー局全ての5局がタッグを組むドラマとなったのだ。


おまけにTVer初のオリジナル・ドラマで、実際に5局で放送されてる番組に松下洸平くんが出演し、それと並行してドラマも撮るという、なんだか説明されてもよく分らない、まさに「新感覚」ドラマだった。


何と言っても配信専門のTVerのドラマだから、テレビでの放送は無いし、TVerが作ってTVerで放送するからCMも無い。さらには基本的にスマホで見るTVerユーザーを考慮して、移動中などの短時間でも視聴しやすい1話20分程度の尺で、この「程度」と言うキリの付けようが配信の良いところで、テレビドラマのように尺の設定が無いから、多少の時間の違いはOK。


さらに後日のプロデューサー氏のインタビュー記事ではスマホ・ユーザーを考慮して、役者のアップを多用したと…スマホという見る側の視聴方法を考えた上での諸々の設定は、舞台製作をメインとする「キューブ」だけでは対応しきれなかったかも…


全く新しい視点の全く新しい設定…


ある意味、今のテレビ界への挑戦状のような…それでいて、プロデューサーやスタッフは民放各局からの出向メンバーで始まったTVerだからこそのテレビ界のトップメンバーたち。そうなれば、監督だって実績のある湯浅さんを引っ張り込む(汗)。


そして、この企画の発端、「キューブ」の全面協力。


時間の短いコンパクトなドラマであることから、出演者も絞りに絞り、オーディションで勝ち残った新人さんの他はしっかり演じられる人がメインで数人!!


1話、2話辺りまでは潜入する番組が全てバラエティということもあり、結構笑える設定だ。ここで、しっかり視聴者の心を掴み、3話から少しずつ物語の核心に…


そして、4話。松下洸平が15年も前から芸能界に潜入し、捜査対象者となっていた佐藤浩市と映画で共演することになり、グッと距離を縮めるのだが、なんと潜入捜査官だとバレてしまう。4話はそれまでとちょっと違って、佐藤浩市のバックボーンが描かれ、馬場ふみかも関わってきて…


と…最終5話へ。週に2回の更新が待ち遠しかった。あっという間の最終回。そして、まさか、あんなに笑って始まったドラマに泣かされるとは思ってもいなかった。松下洸平佐藤浩市のバッキバキの演技合戦。痺れるとはまさにこういうシーンだ。


お話としては、まず、主演とメイン・キャストは本人役で、警察官が芸能界に潜入して、マフィアを捕まえるというもの。そういった設定がまぁ斬新だし、実際の番組に出演しながら物語にも繋げていくという挑戦がある。形的には新しい試みなので、ストーリーは敢えて王道を選んだようだ。それも成功してると思う。


また、このドラマをきっかけに登場したバラエティ番組への注目も集めたかったらしい。TVerはドラマの「見逃し配信」のためのものという思い込みを排除したかったようだ。ドラマを見る人は多いが、バラエティへは人が流れない。だからこその「潜入捜査官」!!


「潜入捜査官」で松下洸平くんが出演してたバラエティ番組の本放送がドラマ公開と同時に見逃し配信された。それを見るとドラマでどこの場面が使われたのか、またそのバラエティ番組がドラマのどこに繋がって行くのが分かる仕組み。だから、キー局全てが参加したわけだ。


製作協力に民放5局がクレジットされるって凄くない?


そんな番組の主演をするって!!いくら企画の持ち込みが自分の事務所だからって、どんどん話が大きくなっていく中でしっかり演じきるって、流石としか言いようがない。


どの話もみんな良いけど、やっぱり最終回は圧巻だ。佐藤浩市さんと2人のシーン。事件が幕引きとなった後どうするかと佐藤浩市さんに問われ、涙を必死に堪え、顔をクシャクシャにしながら、子供のように「わかりません」と答えるシーン。大事な人に最後の決断を迫り、決着をつけなければならないのにどうして良いか分からなくなった洸平くんの頬をつたう一筋の涙。この涙が浩市さんに自らの幕引きを決断させたのだ…


このヒリヒリとした緊張感。まさかTVerの20分ドラマで見られるとは思ってもみなかった。


TVerは見逃し配信だけのチャンネルではないんだと強く思ったこの2週間。


ありがとう、TVer!!是非、「潜入捜査官 松下洸平」御覧あれ!!


でも、本人役って凄くない?そして、タイトルよ!!タイトルに本人の名前って!!


   

ミステリと言う勿れ 劇場版


確か、月9で放送してたドラマ「ミステリと言う勿れ」。21歳のモジャモジャ頭の大学生が推理もせず、捜査もせず、ただ喋ってるだけで事件を解決してしまうストーリー。放送初期段階では、モジャモジャ役の菅田将暉は「違う!!」と言われてた。渡部豪太さんこそモジャモジャ久能整だと…


確かに原作漫画の単行本の表紙に描かれてる久能整は顔も雰囲気も、もちろん髪型も渡部豪太さんそのもので、それを見た時の驚きは今も忘れない。


宇宙兄弟」のモジャモジャ兄ちゃんを小栗旬が演じた時に、あれは大泉洋だろう!と騒がれたのと似ている。


でも、1クールのドラマ放映中にそうした外野の諸々をモジャモジャ菅田将暉は打ち負かした。そして、今やモジャモジャ頭は菅田将暉の代名詞にもなった。


久能整は、謎解きだけじゃなく、いろんな事を喋る。話しの内容からとても優秀な頭脳を持ってることも分かるが、ただ優秀なだけじゃなく、着眼点が面白い。ある意味、屁理屈に近いんだけど、単なる屁理屈として片付けるには惜しいその着眼点。


そして、やたら突き刺さる言葉を放つ……らしい。らしい…というのは、少なくとも、私にはそれほど刺さらなかったからだ。「僕は常々思っているんですがね…どうして人は…云々」と語り出す。その内容が見る者の心に刺さるらしい。だけど、少なくとも私にはそれほど刺さらなかったし、屁理屈言いだなぁ〜くらいにしか感じなかった。


相方がハマって録画までして見てたので、私もつき合って見るようになり、まぁ、変な今どきの若い俳優並べた恋愛モノよりは見飽きないでいられた。


その久能整くんの活躍が映画になるらしいとは聞いたが、「ふ〜ん」としか思わなかった。それが公開を待ちわびるほど楽しみになったのは、ひとえに松下洸平くんが出演すると聞いたから。


公開が告知され、松下洸平くんの出演がその役名と共に発表されたが、映画になるお話は漫画の初期に連載された、原作ファンの間では評判の通称「広島篇」だと… ネットでネタバレありのあらすじを知り、これは松下洸平くんがかねてより待ち望んでた系の役どころじゃないかと、急遽、「広島篇」を掲載してる原作単行本3冊をブックオフでゲット!!


しっかり原作チェックしたんだけど、松下洸平くんが演じる「車坂朝晴」が今一つ印象が薄い。原作を知る人で、松下洸平は役名が思い出せないけど、町田啓太が演じた役なのかと思ったという感想をつぶやく人を何人か見かけた。そうなのだ。これまでのあまり捻りのない真っ直ぐな役のイメージからすれば確かにそうなのだ。しかし、ここ最近は本人も「物凄く悪い役」をやりたいと公言していた。車坂朝晴は、その思いに少しは答えられる役どころではないか…


あとは、原作を読むかぎり物凄く平坦な描かれ方をしている朝晴という人物を話の流れを損なわず、穏やかな表情からは予想もつかないところに着地させ、見る者に「何?コイツ、最低じゃん!」と思わせる芝居を見せられるかだ。いや、多分、製作サイドからはそれを求められてのキャスティングなんだろう。


これは楽しみだ。原作本からするに出演時間は短いだろうが、おそらく相当のインパクトを与えられる役どころ。公開日が待ち遠しくなった。


そして、待ちに待った公開翌日。品川Tジョイで鑑賞。


終盤、事件の真相が一気に明るみに出るシーン。「汐ちゃん、僕に嘘をつくなんて(おぼろげな記憶…)」とその場にそぐわない穏やかな表情をして汐路に柔らかな声で訴えかける朝晴……自分が犯した罪を暴かれても顔色1つ変えないのに、汐路が自分に嘘を伝えたことには強く嘆くその表情。穏やかな表情のまま、柔らかな口調のまま、むしろ、責め立ててる。これぞ、松下洸平の真骨頂。。。


朝晴の祖父と祖父と共に悪事に加担していた税理士は、先走った朝晴を責めるが、朝晴は祖父たちの罪もあっけらかんと披歴する。祖父たちは狩集家の一族の闇を覆い隠すために代々受け継がれてきた「為すべき事」を「悪事」と自覚して、犯罪に手を染めてきた。


でも、朝晴は違う。子供の頃から、車坂家に生まれた者として「為すべき事」を「使命」として心に体に刻んできた。だから、それが常軌を逸した「悪事」だなどと思ったことすらない。長い年月をかけて紡がれてきた狩集家の掟をただ守っただけ。朝晴が継承するずっと以前からひっそりと受け継がれてきたものを守っただけ。警察に連行されていく朝晴が叫ぶ「みんな、やってきた!」と。


なかなか鳥肌もんの芝居だった。


表情すら変えない、ほぼ目だけの芝居。何だろう、この人。この松下洸平って人、全部持ってっちゃう芝居をする。


映画の最初の方でモジャモジャ頭が語る「セメント」の話。まさに朝晴のことだよね…


とりあえず、この映画は久能整くんの活躍が描かれる映画なので、あくまでも「犯人」は主役にはなれない。でも、たとえ、わずかな時間でも久能整を演じる菅田将暉くんに対等に向き合うことができ、呑み込むほどの演者でなければ話は成立しない。そうしないとただの茶番劇になる。


汐路のストーリーがメインであるから、「犯人」としては事件が終われば姿を消すが、その「犯人」にもう少し力点置いて、ちょっと眠くなった前半を軽くして、後半部分をもっと重厚に作ったら良かったのに…と思った。


汐路役の若い女優さんを熱演だったと褒める評価も結構見たが、私には以前小栗旬くんの映画に出た時の方がよっぽどインパクトあったし、なんだか普通に及第点の女優さんになっちゃったなぁ〜とちょっと残念だった。


エンドロール後にというよりクレジットに大隣署の3人組の名前が登場し、ラストは大隣署から海の上の我路くんで終わり。
こういうラストはドラマへの続きを示唆してるように感じられて、結構湧いていた。


私は別にどうでも良いが…ハリウッド映画など、さも続編ありきみないな終わり方をよく採用するので、こんな終わり方は普通だ。そして、それらにはけして続きは無いんだけれど…私も本作はそれで良いと思う。原作はまだ続いてるらしいので、ネタはあるんだろうが、このまま終わりで正解じゃないかな…


久能整を演じる菅田将暉メインなので、そちらが評価の対象に上がるのは当然で、松下洸平の芝居が語られることは少ないだろうが、私は良い物を観せてもらえたとちょっと感動した。


とりあえず、2回目を観てこようと思う。


   

闇に咲く花


観劇日…8/24(木)13:00、29(火)18:30
紀伊國屋サザンシアター
①8/24…上手中段前方
②8/29…下手中段後方


両日共、センター・ブロックではないため、逆手の芝居が見られた


戯曲を読んでいた時から、この言い回しは劇場で1回聞いただけでは分かりにくいな…と思っていた台詞があった。明るく元気に生きる5人のご婦人方の1人の台詞なのだが、それが妙に引っかかっていて…


1度目はそのままだったが、2度目の時は平易な言い回しに変わっていた…私の思い過ごしだろうか…


1度観ているので、大筋は頭に入っているから、健太郎の感情が湧き上がる場面のみ、2回目の観劇ではオペラグラスを数回使って、松下洸平くんの演じてる顔を見た…結果、オペラグラスを使うと確かに演者の細かい表情は追えるが、芝居全体が疎かになり、良いことではないと痛感する


今回はあらかじめ劇場ロビーに後日WOWOWで放送予定があること、DVDも発売予定があることも告知されていた。確かにカメラが入ったのは私が観劇した日ではないけれど、細かいシーンはそこで見られる。ならば、劇場では芝居全体を観て楽しまなければダメだ…そう思ったのだ


2回目は東京千穐楽の1つ前の公演日でマチネの後のソワレだった。5日前の1回目と明らかに違うのは松下洸平くんの「正気です」の台詞と佇まい。強く言い切る形で、胸を張って全てを受け容れると決意したピンと伸びた背筋に力を感じた


5日前は、様々な事態の変化と自らの思いとの葛藤に悩みながら必死で受け止め、受け容れようとする悩ましい姿を観た


どちらが本当なんだろう…きっと、それは受け手の側に託されているのだろう…


2回目に観た健太郎は自問してきた葛藤に区切りをつけた姿に見えた。その姿は確かに潔いのだろうが、私は悩み苦しみながら答えのない一歩を踏み出した5日前の健太郎にひどく打ちのめされた


芝居は生き物だ。


同じ演目を複数回観るのは初めてだ。芝居は映画と違う。映画は何度観ても同じシーンには同じ台詞と佇まい。変わるのはこちらの見方だけ。でも、芝居は違う。演者はそこにいて、今まさに演じている。これが芝居の面白さなんだろう。


1回目はスマホも鳴らず、妙な咳ばらいもなく、集中して観劇出来たが、2回目はスマホが数度鳴り、場面転換で奏でられる加藤さんのギターの時に大きな咳ばらいを何回もする輩がいた。さらに2つ隣のおばさんは上演中にバリバリと音の鳴るペットボトルを何度もバッグから引っ張り出して水を飲んでいた


電波をシャットアウトするシステムは紀伊國屋サザンシアターには無いのか?


今やちょっとしたホールにはあるものだと思っていた(汗)人の良心を拠り所とする上演形態はそろそろ考え直した方が良いのではないか…


開演前、通路をこまつ座スタッフさんが歩きながら観劇の注意を伝えていく。その中に「ペンライトのご使用はお止めください」ってのがあったぞ!!


これは何?ここは劇場よ!!ライブ会場じゃないのよ!!誰かがペンライトで応援しちゃったわけね…それ、ほとんど松下洸平くんのファン向けに言われてるってことよね?何、勘違いしてんのか(怒)


常日頃の「こまつ座」公演ではこうした事態は無かったに違いない。1日目、猛暑の中、新宿高島屋とサザンシアターとを繋ぐガラスばりの連絡通路で日を燦々と浴びて開場を待つのはイヤなので、少し早く行ってサザンシアターのロビーで待とうと思ったら、ロビーの入口自体が開場まで閉められていた…


確かにほぼ満席の状態であのロビーを開放したら大変なことになるな…


たまたま同じ考えのおばあちゃんときっちり閉じられた入口ドアの前で行きあい、少しお話をした。「いつもなら中で待てるのに…」おばあちゃんは肩を落として連絡通路を戻って行った


2日目は夜公演だったこともあり、仕事終わりでも間に合うと考えた人が多かったのか、上演開始後に入場された人が何人もいた。自分1人なら良いだろうが、既に着席した多くの客が舞台を見つめているのだ。視界の妨げにならぬよう腰を屈めているのは席へ案内するスタッフだけで、遅れて入場した人で私の席から見える範囲の人たちに腰を屈めて入ってきた人は1人もいなかった。それどころか連れ立ってやってきた他の人が席に着くまで通路で突っ立っている人がほとんど。


他者への配慮と自分への戒め…席料払えば何をしても良いとは言えない。映画も芝居もその作品だけを観るんじゃない。その場の雰囲気も作品の一部なのだと思っている。


感情に任せて暗転で拍手したり、携帯の電源を落とさなかったり、ガサガサと音を立てたり、開演後に入場したり…


人が増えるとあり得ない人も増える…でも、それでも舞台という芸術を絶やさないために受け容れていく…


長い長い道のりだな…


芝居は本当に素晴らしかった。金銭的な問題や時間的な問題が許せば、もっともっと観たかった。


あらためて、松下洸平くんは舞台の人だと思った。舞台公演があると露出は減るが、それでもやはり、そこに立ち続けてほしいと思った。


最後に…芝居の感想というより、1つ疑問。神社に帰還した健太郎(@松下洸平くん)が鈴木巡査の警棒に奉祀を挙げる。その時、彼は着用していた野球帽を脱帽せず神棚に拝礼した。これは敢えてそうしたのかしら…2回ともそうだったから、ちょっと気になって。


SNSで「#闇に咲く花」で検索すると数多くの感想が上がってくる。多くの人が楽しんだことを知れて嬉しいのだが、そのほとんどが「泣いた」とか「号泣」とか…


そうなの、確かに素晴らしい演目で心を掴まれる芝居だった…でも、私は2回とも涙は出なかった。感動もしたし、胸が締めつけられたけど、涙は一滴も…共感して泣くとか、そういうことじゃなくて、芝居に痺れたのは間違いないの。でも、泣くこととは違う思いを受け取った感じかな…


これで、本当に最後に…(笑)なんだけど、健太郎が既に不在の最終幕でのラスト。終戦の日の昼に一斉に打ち鳴らされる近隣の神社の太鼓。愛敬稲荷神社の面々は、鳴り響く太鼓の音に、身構える。それぞれが身を寄せ合うように近づきながら、太鼓の音に挑むような目を向ける。


このラスト・シーンがどうにも私にはストンと落ちてこないのだ。理不尽な健太郎の不在を共有する愛敬稲荷神社の面々は、かつて人々を戦争へ駆り立てた神社の罪を知っている。その結果の「不在」なのだ。戦争終結と平和への喜びを奏でる太鼓の音に「騙されてなるものか」という思いだったのだろうか…


戯曲を読んだ限りでは、まぁ私の読解力が足らないせいかもしれないが、こんな不穏な空気を纏ってはいなかったように思うのだ。


とあるところで耳にしたのだが、太鼓のドンドンという音は当時を知る人たちには爆撃音を思い出させるらしいと…そういうことなら「平和の太鼓」の音が大切な息子を奪った戦時の理不尽を思い起こさせるものだと理解もできる。ただ、何の説明もないとそこに至る発想はなかなか…


その答えがいつか見つけられると良いな…と思った。


  

THE FIRST SLAM DUNK


昨年公開された「THE FIRST SLAM DUNK


私は12月に観に行った。その後、アジア圏での快進撃が続き、半年以上の長期ロングランとなった。それも、しかし、終焉を迎える。全国の夏休みがほぼ終わる8月31日をもって上映終了と告知された。


結局、未だ観てなかった相方と滑り込むと決めたけど、どこの映画館も1日1回上映になっており、こちらのタイミングと合わないとなかなか難しい。しかも、相方と一緒に観るとなると値上がりした値段で観なきゃならない!


でも、救う神はいるのだ!


本丸の「丸の内TOEI」ならしっかり複数回の上映があって、「ペア割」も継続実施中(料金値上がりに対応はしてるけど…涙)!


早速、チケットを手配し、有楽町へ!


料金の値上がりやペア割の廃止で、映画を観に有楽町へ行くことがすっかりなくなってしまった我が家。松下洸平くんがCMに出演したことをきっかけに「丸の内TOEI」の隣の「UNIQLO TOKYO」へは毎月のように出かけてるのに…(笑)


それほど「SLAM DUNK」が好きだと思えなかった相方にも満足度の高い出来栄えだったようで、良かった、良かった(笑)


そして、今回も花道と流川のハイタッチとミッチーのカッコ良さに打ちのめされて映画館を出ました(汗)


さて「THE SECOND」はあるのでしょうか!!