今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

潜入捜査官 松下洸平


昨年いつ頃だったかなぁ…松下洸平くんの所属事務所「キューブ」が新人俳優オーディションを大々的に告知したのは…


そのオーディションは全くの新人発掘を目的としていて、現在芸能活動をしていない10代で、今年の5〜6月の撮影に参加できることなど条件があった。キューブが事務所創設周年記念行事の一環でドラマ製作を企画していて、主演は松下洸平だと…


昨年の創設周年記念の演目は舞台「夜来香ラプソディ」。「夜来香」も主演は松下洸平くん。彼は既に「キューブ」の顔なんだなぁと感慨深い。


春の天海祐希さんとのドラマ「合理的にあり得ない」。夏のこまつ座の舞台「闇に咲く花」。それと時期が丸被りでまさかと思った夏ドラマ「最高の教師」。次々と出演作品が続く中で、あの「キューブ」のドラマはどうしたんだろうとネットでもちらちら噂になり始めた頃、本作の話題がオープンになった。


確かに新人女優さんはオーディションで選ばれていた。オーディション会場に事務所の代表的な俳優である古田新太さんも駆けつけていたし、新聞記事にもなっていた。でも、それっきりだったから、最初「キューブ」発信のドラマと本作との関係性が分からなかった。


そうなのだ。事務所発信の企画が配信ネットワークのTVerを巻き込んで、在京民放キー局全ての5局がタッグを組むドラマとなったのだ。


おまけにTVer初のオリジナル・ドラマで、実際に5局で放送されてる番組に松下洸平くんが出演し、それと並行してドラマも撮るという、なんだか説明されてもよく分らない、まさに「新感覚」ドラマだった。


何と言っても配信専門のTVerのドラマだから、テレビでの放送は無いし、TVerが作ってTVerで放送するからCMも無い。さらには基本的にスマホで見るTVerユーザーを考慮して、移動中などの短時間でも視聴しやすい1話20分程度の尺で、この「程度」と言うキリの付けようが配信の良いところで、テレビドラマのように尺の設定が無いから、多少の時間の違いはOK。


さらに後日のプロデューサー氏のインタビュー記事ではスマホ・ユーザーを考慮して、役者のアップを多用したと…スマホという見る側の視聴方法を考えた上での諸々の設定は、舞台製作をメインとする「キューブ」だけでは対応しきれなかったかも…


全く新しい視点の全く新しい設定…


ある意味、今のテレビ界への挑戦状のような…それでいて、プロデューサーやスタッフは民放各局からの出向メンバーで始まったTVerだからこそのテレビ界のトップメンバーたち。そうなれば、監督だって実績のある湯浅さんを引っ張り込む(汗)。


そして、この企画の発端、「キューブ」の全面協力。


時間の短いコンパクトなドラマであることから、出演者も絞りに絞り、オーディションで勝ち残った新人さんの他はしっかり演じられる人がメインで数人!!


1話、2話辺りまでは潜入する番組が全てバラエティということもあり、結構笑える設定だ。ここで、しっかり視聴者の心を掴み、3話から少しずつ物語の核心に…


そして、4話。松下洸平が15年も前から芸能界に潜入し、捜査対象者となっていた佐藤浩市と映画で共演することになり、グッと距離を縮めるのだが、なんと潜入捜査官だとバレてしまう。4話はそれまでとちょっと違って、佐藤浩市のバックボーンが描かれ、馬場ふみかも関わってきて…


と…最終5話へ。週に2回の更新が待ち遠しかった。あっという間の最終回。そして、まさか、あんなに笑って始まったドラマに泣かされるとは思ってもいなかった。松下洸平佐藤浩市のバッキバキの演技合戦。痺れるとはまさにこういうシーンだ。


お話としては、まず、主演とメイン・キャストは本人役で、警察官が芸能界に潜入して、マフィアを捕まえるというもの。そういった設定がまぁ斬新だし、実際の番組に出演しながら物語にも繋げていくという挑戦がある。形的には新しい試みなので、ストーリーは敢えて王道を選んだようだ。それも成功してると思う。


また、このドラマをきっかけに登場したバラエティ番組への注目も集めたかったらしい。TVerはドラマの「見逃し配信」のためのものという思い込みを排除したかったようだ。ドラマを見る人は多いが、バラエティへは人が流れない。だからこその「潜入捜査官」!!


「潜入捜査官」で松下洸平くんが出演してたバラエティ番組の本放送がドラマ公開と同時に見逃し配信された。それを見るとドラマでどこの場面が使われたのか、またそのバラエティ番組がドラマのどこに繋がって行くのが分かる仕組み。だから、キー局全てが参加したわけだ。


製作協力に民放5局がクレジットされるって凄くない?


そんな番組の主演をするって!!いくら企画の持ち込みが自分の事務所だからって、どんどん話が大きくなっていく中でしっかり演じきるって、流石としか言いようがない。


どの話もみんな良いけど、やっぱり最終回は圧巻だ。佐藤浩市さんと2人のシーン。事件が幕引きとなった後どうするかと佐藤浩市さんに問われ、涙を必死に堪え、顔をクシャクシャにしながら、子供のように「わかりません」と答えるシーン。大事な人に最後の決断を迫り、決着をつけなければならないのにどうして良いか分からなくなった洸平くんの頬をつたう一筋の涙。この涙が浩市さんに自らの幕引きを決断させたのだ…


このヒリヒリとした緊張感。まさかTVerの20分ドラマで見られるとは思ってもみなかった。


TVerは見逃し配信だけのチャンネルではないんだと強く思ったこの2週間。


ありがとう、TVer!!是非、「潜入捜査官 松下洸平」御覧あれ!!


でも、本人役って凄くない?そして、タイトルよ!!タイトルに本人の名前って!!