今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

Nのために。。。


まさか映画化されるとは思ってもいなかった「告白」の著者、湊かなえさんの1個まえの「新作」。。。


最新刊は「夜行観覧車」だったかな…


今回の「Nのために」も相当待ちました。。。


湊かなえさんといえば、「救いようの無さ」がウリの作品を世に送り出す天才だと思っている私ですが…(^_^;)


今回は登場人物達がみな誰かしら他人のことを思いやって踏み出したことや発した言葉が、最悪の出来事を導き出してしまったけど、「思いやる」気持ちが根底にある分、いくらかの「光」は見えた気がする!!


「Nのために」湊かなえ(東京創元社)


以下、感想。。。
























「N」のため…


「N」って誰?


主人公「希美」、彼女の暮らすボロアパートは「野バラ荘」で、大家のおじいちゃんは「野原」さん。


希美が「野バラ荘」で出会った恋人にはなれなかった友人の名は、「西崎」と「(安藤)望」。


希美の高校の同級生で、かつて本人も気づかぬうちに彼女を闇から救い出した「成瀬」


そして、事件の被害者となる安藤の上司「野口」とその妻「奈央子」


みんな「N」


みんな、それぞれに重い枷を心に秘め、それぞれの距離感で「N」のことを思いやり。。。


でも、野口夫妻の死に関しては、それぞれの思いが微妙にずれて…


最悪の結果になっていった…(-_-;)


あの時、違う方法をとっていたら…と思うこともあるが、あの場ではそんな選択など考えられなかったことも事実で、10年が過ぎ、自分の「Nのために」とった行動は正しかったのか、自分の側からしか見られなかった「あの事件」の真実はなんなのか…


ずっと引きずって生きてきた「N」達の話。


主要な「N」4人の事件直後の証言とそれぞれの知り得た事実の証言だけで構成されているので、文章量もさほどヘビーではなく、1日あれば、十分読み切れる!!


「告白」と同じような構成だ。。。


また、誰かしら「映画化」すんじゃないの!?


「告白」が当たったからって!!


個人的には「告白」以後の作品…「少女」とか「贖罪」とかより、ずっと読みやすく、結果「前向き」だなぁと。。。


多分、主人公「希美」の優しさがそう思わせるんだろう。


彼女は自分の思いとは別のところで、人の幸せを考えているように思う。


二言目には「1人で生きていく」って言ってるけど…


それは、きっといろんなことがあって、誰かと心を合わせることに臆病になってたのかなぁ〜と。


だってねぇ。。。


あの両親じゃ、仕方ないよ。でも、現実によくある話なのかもしれない。


でも、自分以外の人(大切な友人)のことは本当に心から思いやっていて、またそれが相手に気づかれないようにさりげなく行動に出るから。。。


それがかえって、誤解されてしまう。。。


希美の「N」はやっぱり安藤だったんじゃないか…


安藤は結局、野望を達成できたワケだし…希美達に守られて、本筋に巻き込まれずに済んだから、今があるのだし…


でも、あと少しで希美がこの世を去ると分かったら、安藤はどうするかな…


世の中的には成功していても、事件からの10年を安藤だけがなんだか寂しく送ってきた気がする…


でも、それが希美の願った結果なんだよなぁ。。。


皮肉な…


30才前のちゃんと芝居のできる俳優(これ、重要!!)を何人が集めて、役それぞれの真実を語らせるパターンで映画化したら良いのに…


ただ、私、「告白」は未見なので、なんとも言えないが、似ちゃう気がする…


「告白」は原作があまりにも救いようが無く、あんなものを映画にしてまで、観たくないって思ったんだ。


でも、「Nのために」は違う。。。


これは映画で観たい!!希美や西崎が過去の自分から解放された姿を映像で観たい!!


だから、やっぱり芝居のできる役者じゃないとダメでしょ(^-^)v