この長ったらしい邦題に決定した映画会社に尊敬の念!!
一言で言っちゃえば、人とのふれあいが苦手な少年の成長物語。
人と接点を持つことに不安を抱く息子を暖かく見守る両親。
彼らは、息子が人と接点を持たねばならない愉快な企てをする。
父は息子をリードし、母は優しく支える。
ところが、あの日…
この一家に「最悪の日」が突然に訪れる…
9・11…
偶然、商談で訪れていたワールド・トレード・センターで、父は帰らぬ人となる。
父の死を受け入れられない息子は、1年ぶりに父のクローゼットを開き、「鍵」を見つける。
「きっと、この鍵はパパからのメッセージだ…」
少年は、鍵の入った袋に書かれた「BLACK」の文字を頼りに電話帳で調べた「ブラックさん」を訪ね歩く…
9・11後の恐怖から、彼は電車などの交通機関を一切使わず、自らの足で、1軒1軒訪ねる。
少年の父の死んだ事情を聞けば、ほとんどの人々が、彼に心を開き、自らの悲しみをも口にする…
最初に訪ねたブラック夫人は3ヶ月後、再び少年と会うことになる。
そこで、「鍵」は本来の持ち主の手に戻り、少年の父への追憶の旅も終わる。
母は、少年の旅を影でサポートしながら、父親とは違う形で、彼と人々との接点を作り出す。
夫を喪ったばかりの彼女が、息子を誰とも知らぬ人々を訪ねる冒険旅に送り出すのは、どれほどの勇気がいったろう。
でも、これからの2人での生活を送るためには、父親の不在を息子にしっかりと認識させなければいけない。
他のどの場面より、母親の決意を知った時、知らぬ間に涙が落ちた。
心の底から震えるほどの感動を覚えるような映画ではないけれど、人々の暖かさを、人々の善意を静かに感じる映画だった。
全く悪い人が出てこないアメリカ映画って、嘘くさいって思う人には、きっと受け入れがたい映画だと思うけどね…(((^^;)
実力派俳優を向こうにまわして、不安や悲しみを抱える少年を演じたトーマス・ホーン…
これから迎える思春期を役者として、第一線で演じ切って、成長してほしい。
まわりの大人の事情ではなく、彼しか演じられない役どころを選びつつ、ずっと…