岩波ホール上映作品ということで、予告もサラッと観ただけで、前売り券を購入してしまいました(^-^;)
この絶大な信頼を裏切ることなく、この度も心にずっしりとくる映画でした(^_^)v
あえて、GW前半の最終日を選んで行ったためか、場内は空いていて、ゆっくりと鑑賞できました!!
お話はイタリアのとある島が舞台…
かつては漁業が盛んで、島も潤っていたけれど、現在では漁師達も高齢化し、漁獲量も減る一方で、今後の行く先を島全体が見失ってる状態。
そして、魚の穫れなくなった海は漁師の仕事場ではなくなり、夏場の海水浴場として、島の生活自体が変わってくる過渡期になっている。
自ら、船を処分し、本土に渡る人々には助成金が与えられ、多くの人達はそれを元手に新しい生活を手に入れていた。
そんな時、主人公の青年が乗る船が漁に出ると…
前方には不法入国者達があふれるほど乗り込んだボートが…
彼らにとっても、ボートに乗ったまま巡視船に見つかれば、そのまま強制送還になるのは目に見えている。
だから、藁をも掴む気持ちで海に飛び込む者が出てくる。青年の乗る船を操るのは彼の祖父だ。祖父は昔ながらの海の掟を頑なに守る。仲間が助けてはいけないと諭しても、無線機で警察から近づいてはいけないと注意されても、海で溺れる者は助けなければならないという彼らの掟に従い、船を近づけ、溺れかけている難民達を救い上げる。
人目に触れないように彼らを上陸させた後、蜘蛛の子を散らすように逃げ出した男達に取り残されたのは、妊娠中の母親とその息子。
彼らには、逃げ出さなければならない事情もあった。その事情を知り、母子を匿う青年と祖父。
そこからは、様々な島の事情と暮らし、頻発する不法入国者の摘発などが描かれ、島の生活の苦しい現状が浮かんでくる。
しかし、いつまでも、母子を匿い続けることは出来ない。
そして、母子を逃がすために行動を起こした時、島でまた新たな不法入国者が摘発され、警備が厳重になり、とても彼らを船に乗せることが出来なくなってしまった。
諦めて、再び戻った時、青年は自分の手で母子を送り出そうと…
ラスト、大海原に浮かぶ小さな漁船が、まるで空回りでもしてるみたいにその推進力を失っていく様は、彼らの未来に希望はあるのかと訴えかけているかのようで、胸が締め付けられる。
最近、ヨーロッパ映画では、不法入国や難民の問題がしばしば語られる。
私たちには分からない世界の実情に言葉もない。