母国では国民的な俳優と称されているらしいマッツ・ミケルセン氏主演の「偽りなき者」…
最初の上映館はBunkamuraのル・シネマのみで、良い評判は耳にしながらも見逃していた映画。
GWを前にお気に入りのヒュートラ有楽町で上映が決まり、喜び勇んで鑑賞して参りましたぁ(^_-)
事前にネット予約した時に初めて知ったのだけど、62席しかないシアター2での昼1回上映(゜o゜;
こりゃあ、大変っとばかり、その場で事前にチケットをゲットしましたよ!!
当日は映画サービスデーということもあり、完売になった「偽りなき者」に呆然とする人続出だったようです(T_T)
1回上映なら、せめてもの温情でシアター1で上映してくれたなら、あの人達もみんな観られたのに…(x_x)
さて、本編ですが、まず冒頭のシーン…
11月の寒い休日…家庭を持ついい年のおやじ達が池のまわりでなにやら大騒ぎ。根性試しのごとく、1番に池に飛び込むのは誰かと賭けをしている。
大柄な男が素っ裸になり、ザブンと飛び込み、かえってみんなの助けを借りる事態に陥ってしまう…
狭い集落の狭い社会…
彼らの濃密な関係が垣間見れる…
その濃密な社会で波紋を呼ぶ事件が起きる。他愛ない子供の戯れ言が、1人の男とその家族までも追いつめていく…
集団心理のなせる業なんだろうけど、隣に誰が住むかも知らない現代の東京人には、鳥肌が立つほどの異世界だ。
主人公は、学校の閉鎖に伴い職を逐われ、幼稚園の職員として、子供の遊び相手をしながら暮らす男。
男の親友の5才の娘は、何かと夫婦間の揉め事に気を取られ、自分を後回しにする両親より男を慕っている。
しかし、それは間違った方向に彼女を向かわせる。
彼女のついたウソに大人達は翻弄されていく。
中でも、主人公の雇い主である幼稚園の園長が、最低の人間だ。映画の様子からすると主人公の男を昔から知っていて、彼が離婚したことについても少なからず偏見を抱きながら接していたようだ。
よく調べもせず、子供の言うことを鵜呑みにし、自分の思いこみだけで、全ての関係者に事の次第を語り聞かせる。
ある意味、幼稚園の園長という社会的立場を悪用したようにさえ感じる。
映画を観ている側には、子供がウソをついていること、そのウソに気づきながら、後戻りできなくなっている娘の父親であり、主人公の親友の男の究極の選択が分かるようにはなっているが、スクリーンに登場する他の人物達が、そのことに気づかない…
はっきりさせないから、彼らは同じコミュニティーで長く暮らすことが出来た。
しかし、はっきりさせないことは、目に見えないところで、本来あってはならない誤解の上に立つ恨みを増長させていく。
それにより、より大きな犠牲が生じることを彼らは受け入れられるんだろうか…
ヘビーなお話で、はっきりと解決の道を模索しないから、途中のクダリはなんだかモヤモヤと停滞感すらあったけど、ラストのなんともやり切れない結末が背中を寒くさせる。
いやぁ〜、ズシンとくる映画でしたよ(^_^)v
観て良かったな(^_-)