今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

お家で映画…久しぶり〜


お家で映画を見るのはホントに久しぶり(;^_^A


秋から韓国ドラマ「相続者たち」にどっぷりハマり込み、リアルタイムで放送を見るは、リピートするは、日本語字幕付きの動画がアップされれば、それをリピートするは…


もう大忙しだったから、強引に劇場に行かなければ、まず映画タイムは無い状態で…(^_^;


で、久しぶりに見た映画はなんとも極端な選択で…(^◇^;)


「ラスト・コーション」
「遺体 明日への10日間」


まず、「ラスト・コーション」…


監督はアン・リーなのだ!!


もう、びっくりなのだ。「ライフ・オブ・パイ」の人だぞぉ〜(゜o゜;)


アン・リーは天才だ!!


こんな映画まで撮っちゃうんだぞ。お話の舞台は日本統治下の中国・上海。


日本よりの政策を執る国の中枢と抗日運動にかける反政府組織…世界を巻き込む戦争の影が日に日に迫ってくる中で、若者達が抗日の旗の下に集まってくる。


中心的な青年への淡い恋心から抗日思想の芝居に出たことがきっかけとなり、親日派へのスパイとなる女。


彼女がスパイとして送り込まれ、その動向を探らされる親日派の高官。


この2人の危険な情事が物語の中心。


新人として、この映画に出演した女スパイ役のタン・ウェイ


彼女の強い意思を表すような瞳が好きだ。ある時は挑戦的に見えるその瞳が、一瞬のうちに悲しみを訴えてくる。


丸顔で、童顔の彼女が含みのある笑顔で接してくる高官と対等に接してみせる。


ホントに魅力的な女優さんだ。


脱がなくたって、十分な魅力を発揮する彼女が惜しげもなく、裸体を晒す。


これには相手役のトニー・レオンだって、負けるワケにいかないよね(笑)


スパイとして、のめり込むことなく情事を重ねただけのつもりだったのに、ラストで彼女は高官を逃がす。


情が移ったのか、愛してしまったのか…彼女のおかげでギリギリ面目を保てたのに高官は非情にも彼女をはじめとする仲間達を一網打尽にし、処刑する。


なんだか、スッキリしないし、納得いかないし…それでも、見終わった後に不快感が残らない。


不思議な映画だ。


タン・ウェイ、また彼女の強き瞳の輝きをスクリーンで観たい。





次は「遺体 明日への10日間」


3.11東日本大震災直後から10日間、釜石市の遺体安置所の様子を現場で取材した内容に基づく映画だ。


劇場公開中から「観ておいた方が良い」という感想をあちこちで目にしていたが、どうしても劇場に行く勇気が出なかった…


家で見て正解だった。


震災のことについて描かれた映画だけれど、その地震そのものは出てこないし、津波の映像もない。


時折発生する余震が描かれるが、それで十分現場での恐怖が伝わってくる。


そして、津波の被害者となり、遺体安置所に運ばれてくる方達の泥にまみれた苦しそうな姿が、災害の甚大さをしっかりと見せる。


警察官、消防団、医師、歯科医、葬儀社の人たち…


人の死に直面する中で、彼らはいち早く冷静さを取り戻す。


彼らの「仕事」が人の死と接する機会を含んでいるものだから…


ある意味、現場で「仕事」として、使命を果たしていくことで、自分を律する術を得たのかもしれない。


ところが、こうした災害で中心的な活動をしなければならない市の職員はどうか…


彼らは現場の凄惨さに声も出ない。立ち尽くすだけだ。


上からの指示で、強引に現場に身を置いたに過ぎない。しかし、そんな彼らにも容赦なく「仕事」が与えられる。


安置所だけではない。そこに運ばれる遺体を捜索している職員もいる。


彼らが少しずつ少しずつ、本来の業務である市民に寄り添うことへ心を向かわせていく過程が丁寧に描かれている。


日頃の仕事を通して、人の死に触れてきた人達でさえ、自分を律して行くのが難しい状況で、みなが自分の出来ることをしようと少しずつ立ち上がっていく再生の記録だ。


最初の数分で震災以降の場面になる。もうそこからは自分の心のコントロールも難しくなる。


劇場で見なくて正解だと思った理由はそこだ。


確かに人の言うように「見ておくべき映画」だと思った。


あくまで取材した題材を映像にしているから、現実と違う部分もあるだろうが、それはスクリーンに描くことが出来なかったという理由での違いではないか…


しっかりと留めておきたい…







どちらも、見終わった後の疲れきった感覚は大きかった。