今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

帰ってきたヒトラー


試写にて鑑賞。


ちょっとふざけた感じのヒトラーの立ち姿があしらわれたチラシ。「呼んだ?」と半身で振り返る極悪ヒーローとイメージが被ったのは絶対に私だけだろうな(~_~;)


貧困層が暮らす団地の中庭で、子供たちの貧困をテーマに取材をしているテレビマン。


彼のカメラに映り込む時代遅れの汚れた軍服を着込む男…彼こそ、ヒトラー


自分がいた建物が爆撃を受けた瞬間、タイムスリップをして、現代にやってきた。


テレビクルーが立ち去った後、ヒトラーブランデンブルク門まで向かうが、彼を誰も本物と思うはずもなく、ヒトラーのものまねをするパフォーマーだと勘違いされる。


建物に損傷は無く、瓦礫の無い街。多くの人出で賑わうブランデンブルク門ヒトラーは自分の生活圏とまるで違う状況に戸惑うのだが、彼はとんでもなく対応力が高い。ここが映画だd('∀'*)


ニュース・スタンドに立ち寄り、現在が何年何月何日かを確認するヒトラー


そして、ニュース・スタンドで夜を明かす間に山ほどある新聞を読み耽り、自分が置かれた状況をしっかりと理解するのだ。頭は悪くないんだな(~_~;)


そして、彼はヒトラーになりきった芸人としてテレビマンとドイツ国内を走り回る。ヒトラーのまんまの人間性を全開にしてる男に対して、遭遇した町の人々の反応は様々だ。


単なるお笑い芸人として笑い飛ばす人、冗談も程々にしろと起こりだす人。それらの人々の様子をカメラに収めたテレビマンは自分を解雇した局での復活を目指して、元上司に映像を売り込みに行く。


この映像がテレビ局のお偉方の目に留まり、ヒトラーは直接番組に参加することに。


そして、かつて大戦前、閉塞感に押しつぶされそうだったドイツの人々を盲信させたカリスマ性を発揮し始める。


彼独自の論法で語りかけ、見る者、聞く者の心を捉え始めるのだ。


自分の手を離れたヒトラー芸人の一人歩きにテレビマンはふと考える。ヒトラー芸人はどこから来たのか。


そして、ヒトラーがタイムスリップしてきた本人であると気づくのだが、まわりは既にヒトラーに感化されており、彼の方が危ないと思われてしまい、拘束される。


移民や難民との共存のバランスが崩れかけ、それぞれの立場を思いやる余裕が無くなり、人々はやり場の無い怒りを腹の底に少しずつ溜めている…その状況がヒトラーを生んだ時代と似ていると警鐘を鳴らしているのだろうか。


真実を訴えるテレビマンがおかしくなったと拘束されてしまうラストにちょっと背筋が寒くなる。