映画の紹介記事を読み、さらに公開時期を知り、上映館が岩波ホールだと分かった時には、珍しく前売り券を買っておりました(^_^)v
と。。。
この先、岩波ホールについて、諸々書いたんだけど、間違って消しちゃった(T-T)
再度書き込む気にはなれないので、もう本編の感想!!
まず、舞台はケニア…
オープニング・シーンは驚くほど洗練されている。
四方八方から大地を駆け巡ってくる子供たちの姿が映し出される…
彼らの向かう先は「学校」
政府が教育の必要性を訴え、導入した「小学校の無償化」
子供たちは親が揃えてくれた制服を着て大勢集まってくる。
その子供たち以上に学校に押し寄せてくる親たち…
入学のために必要な書類を我先にと教師たちに突き出す!!
そう、まさに突き出して、必死の形相だ。
舞台は僻地の小学校で、みながさして裕福そうには見えない村だ。
だから、子供に教育を、というより、無償だから、という理由で押し掛けてきてるのではないかとさえ思う。
この最初のシーンで観せた親たちの熱狂ぶりが後々物語の転機になる…
とりあえず、新しい制度のもとで、国に変化がもたらされる…という国情を背景にした映画だ。
学校には子供でもなく、親でもない、1人の老人が訪ねて来る。
僻地の小学校からさらに遠くにあるバラックのような自宅から杖をつきながら、やって来たその老人は言う…
小学校に入学したい…と。
幼い頃、家が貧しく学校には行かれなかった。
学校を卒業する年齢になる頃には、イギリスの支配に対抗するパルチザンとしての闘いに身を投じ、捕縛された後は収容所を転々とする…
その彼がラジオで聞いた声は言っていた…全ての人が無償で学校に通える…と。
学校側は対象はあくまでも小学生の年齢の子供で、老人では無いこと。
授業を受けるためには制服を着用し、ノートと鉛筆を持ってこなければならない。
みすぼらしい老人の風体を見て、男性教師が拒絶。
その後、老人は鉛筆とノートを揃え、制服も手に入れる。
その老人の意欲を見て、校長は彼を教室に誘い、彼に席を与える…
最初は戸惑っていた子供たちが少しずつ心を開き、また老人も進んで子供たちの輪に入っていく。
たった1人のおじいさん小学生の存在が親や子供、村に様々な影響を与え、争いの火種になっていく…
おじいさんはイギリスの支配が終わり、国が独立を勝ち取った後、一通の手紙を受け取る。
おじいさんはただその手紙を読みたかっただけだ。
でも、それさえ許してくれない世間がある…
最終的におじいさんの学ぶ姿は、未だ昔の民族間の意識の抜けない親たちにノーと言えるほど、子供たちの意識を高めていく…
おじいさんは最高齢の小学生としてギネスブックに載り、貧しい国々でまだ教育を受ける機会のない子供たちが数多くいることを国連でスピーチする。
映画は、おじいさんの若い頃の闘争の歴史も観せる。
おじいさんに直接手を下すのは、同じケニアに暮らす他民族の兵士…
その後ろに控えて、命令を下す支配者はイギリス人だ。
この映画は、散々ケニアの国を分断し、蹂躙してきたイギリスのスタッフ達によって作られている。
だから、アフリカの映画とは言え、オープニングから洗練された印象をもったのだろう。
現実に歴史に触れて生きてきたケニアの人々が作ったら、こういう映画にはならなかっただろう。まだまだ苦境にある人々が多いに違いない。
でも、私はこれで良いと思う。
イギリス人が他国で重ねてきた迫害を冷静に「映画」として、広く知らしめていく。
それも大切なことだ。
しかも、この映画はイギリスに都合の良い理由を描いていない。ただの圧政者だ。
今のイギリスの人々はこうした過去の行いをしっかりと受け止めるだけの冷静さがあるのだろう。
監督は「ブーリン家の姉妹」を撮った人で、本作が長編2作目だという。
次作は既に準備中であろうが、やはり「現実」の物語を画にしてほしいと思った。
9月半ばまで上映しています。
是非とも観てほしい作品です(^-^)v
最近、観てほしい作品が多すぎ(*^^*)