前評判も良く、公開直後に上映回数を増やすことになった作品。
銀座テアトルシネマで観てきました!!
私の観た上映回はチケット完売!!
私などはネットやツイッターで評判を耳にして、作品をチョイスするわけだけど、劇場にはネットユーザーとは思えない方々もいっぱい!!
テレビでバンバンCMしてる娯楽超大作とは違い、地味なテーマの真面目な映画は、どうやって皆さんのアンテナに引っ掛かるのかな?
そんな不思議な空間で観た「サラの鍵」、評判通りの良い映画でしたよ!!
映画「黄色い星の子供たち」でも画かれた第2次大戦中のフランス警察によるユダヤ人弾圧。
パリの室内競技場にユダヤ人1万人を閉じ込め、収容所へと送り込んだ「事件」。
物語の発端は、ユダヤ人の少女サラが機転を利かせて、まだ小さな弟を納戸に隠して、フランス警察の用意したトラックに乗り込んだところから始まる…
父と母とサラ…
室内競技場では、日々追い詰められる状況の中で、なぜ弟を置いてきたのかと両親に責められ、サラはなんとしても弟を助け出す決意を固めていく…
すでに日が経ち、回りの人間は誰も彼もが、既に弟は納戸から出ているに違いない…今さら、パリに戻っても仕方がない…と言う。
しかし、弟は絶対に言いつけを守り、再びサラが納戸の扉を開けるまで待ち続けていると言うサラ。
彼女は、決死の覚悟で、収容所を抜け出し、農場主の家に助けを求める。
農場主はサラを変装させ、パリのアパートに連れていく…既にアパートには新しい住人が移り住んでいたが、開かずの納戸には変わり果てた弟が居た…
その後、サラは農場主の孫として育てられ、パリのアパートの新しい住人は、サラへの援助を続ける…
この映画の主人公は、パリのアパートの新しい住人の孫にあたる男の妻…雑誌記者で、以前室内競技場の事件を取材したことが縁となり、自分がこれから住むことになるアパートが、ユダヤ人弾圧の舞台になったことに衝撃を受け、サラの足跡を追う。
なかなか話したがらない義父に疑念を抱いたりもするのだが…
結局、彼女のダンナの家族はユダヤ人を追い出して、不正にアパートを取得した訳ではなく、たまたま、サラの家に住んだだけだった。
夫の家族への疑念は晴れたが、サラを追う旅を止めず、とうとうサラの息子に出会うことが出来た。
記者の執念…
しかし、その息子は自分がユダヤ人の血を引くことも母親サラがうつ状態で自殺による死だったことも全く知らずに成長していた。
息子は、ショックのあまり病床にある父を罵り、記者に罵声を浴びせる。
頑なな息子の心を開いたのは父が託した母親サラの日記…
何でも追及する記者魂を発揮して息子を傷つけた記者は、思いもかけず妊娠し、子供を望まない夫と別れ、アメリカで暮らしていた。
サラの息子に事実を告げたあの日から2年が経ち…
サラの息子は、サラを育てた農場主の家族を訪ね、記者は可愛らしい女の子の母親になっていた…
2人の再会の場面でこの映画は幕を閉じる。
一気に込み上げてくるラストと共に…
そう、記者の娘の名は…
サラ。
人目も憚らず、号泣する息子の「ありがとう」という言葉が胸を熱くする。
機会があったら、是非とも観てほしい映画…
戦争が、全ての始まりだ。あの時代が無ければ、サラが心に深い傷を持ち続けることは無かったのだから…
小さなサラが、立ち上がった時、いくつもの善意が彼女を支えた。あの時代の苦しみを知るからこその善意が…