公開は2月11日の韓国映画「ポエトリー・アグネスの詩」を試写会にて鑑賞。
会場は、なんと韓国大使館!!
大使館ビル内の韓国文化院のホールでの試写会で、ちょっとびっくり!!
試写会場のビルの前には立ち番の警察官。
入口には警備員。
来場目的を確認され、入口に入ると、金属探知ゲート!!
なかなかの緊張感ですよ(((^^;)
そんななかで、韓国の巨匠イ・チャンドン監督のカンヌ映画祭・脚本賞受賞作をしっかり楽しみました(^_^)v
娯楽大作じゃないから、スリルもサスペンスも全くありません。
とある町で離婚を機に釜山に行った娘が預けていった孫と暮らす老女の静かな日常から物語は始まる。
静かな町で、女子中学生が川に身を投げる。
彼女は孫の同級生。
しかし、孫は全く関心がない様子だ。
体調も思わしくなく、アルツハイマーの疑いがあると診断された老女。町で見かけた詩作教室のポスターにひかれ、詩の世界にハマっていく。
余生を儚んだわけでもなく、彼女は自らの言葉を紡ぎ出すことに喜びを見出だしたんだ。
そうした新たな歩みを始めた時、彼女は自殺女子中学生の事件に孫が関係していることを知る。
孫への不信感を募らせながらも全てを受け入れていく。
彼女は、死んだ女子中学生の思いなどには考えも及ばない他の親達の中で、悩み、戸惑いながら、ある決断をする。
そして、死んだ女子中学生アグネスの心を思いながら、1篇の詩を編む。
評判通り、圧倒される映画だった。
どんなふうに凄いとか言葉で表現出来ない自分が情けないなぁ(((^^;)
ただ1つだけ…
これは私の感じ方がおかしいのか、あるいは、監督の意図したものなのか…
示談に応じようとしない女子中学生の母親を懐柔させるため、身勝手な男親達は、女同士で話し合ってほしいと彼女を母親の元に向かわせる。
彼女は母親の元に向かう道すがら、木から落ちた杏の実を頬張る。
熟しきって、自然と木から落ちた杏は、とても美味しかった…
彼女は、示談の取りまとめに来た自分の目的も自己紹介もせずに母親に話しかける…
落ちた実の美味しさとそれに気づいた感動を満面の笑みをもって、伝える。
そして、落ちた実が踏まれて土に帰り、次の世代の種となることに気づいたと語る。
落ちる…
女子中学生は自ら橋の上に立ち、川に落ちたのだ。その子の母親に落ちて踏まれる木の実が美しいなどとどの口がほざく(怒)
結局、このおばあさんも他の親達となんら変わることのない他者を思いやれない人間なんだ…
人間は、みなそうだ。
結局、自分。
自分の能天気な発言を恥じたのか、彼女は男親達からの指令を何1つ成し遂げず、帰路につく…
ここからラストまで、全てを受け入れて、淡々と日常をやり過ごしていた彼女が少しずつ変わっていく。
木の実のクダリの怒りが、彼女の決断とアグネスへの詩で少し収まっていった…
誰かが背負わなければ救われなかったアグネスの思いをすくいとったのは、彼女だった。
大きな動きのある物語ではないけれど、日常生活をベースにした話であったからこそなのか、ずしんと心にくる映画だった。
感動とかじゃないなぁ…
なんだろう。
面白くもないし、悲しくもない。やたらと感動的な映画でもない。でも、観ないとダメだ…そんな映画だった。