「蜩の記」の著者、葉室麟さんの新しい小説を読んでみました。
やっぱり、時代小説は良いです!!途中、時間があまりにもゆったり流れていくので、ちょっとぼんやりしたゃいましたが…(^_^;)
以下、感想!!
九州・天領日田の地で、私塾を営む詩人・淡窓。
家督を継ぐべき長子にありながら、生来の病弱さと詩作への深い造詣をみて、かつて、若い頃に同じ希望を持ちながら、家業のために断念せざるを得なかった父親が、彼に詩作への道を開いた。
父親が、長子が家業に縛られるこの時代に大英断を下せたのは、長子以上に家業に適した才覚を持ち合わせた次男・久兵衛がいたからだ。
淡窓と久兵衛の兄弟は、互いの才覚を認め、互いを真に思いやり、久兵衛にいたっては、兄の不覚により家業の厳しい現実を負わされているにもかかわらず、どこまでも尊敬し、尽くし抜いている。
稀にみる絆を持った兄弟…
物語は、飢饉や財政の破綻によって、各地に一揆や打ち壊しが頻発し、国の行く末が暗雲に包まれんとする頃から始まる。
淡窓の私塾は全国にも、その名を知られるほどの立場になり、淡窓を物質面でも支えている久兵衛は、地元の干拓工事の差配などで、領民の生活に貢献し、世間の物騒な出来事は遠いところにいると思われた。
ところが、そこに姉を伴って、臼井佳一郎という若者が入塾の紹介状を持って、淡窓の元にやってきた。
ここから、物語は走り出す。
この臼井佳一郎という男が武家の息子だというのに、なんの覚悟も無い上に、独りよがりで、どうしようもなく、バカ者!!
こんなヤツはサッサと死ねば良いのにとさえ思うけど、コイツには武士として、自らの不明を恥じて死ぬ勇気さえない。
ホント、腹立つ(`_´)
結局、佳一郎のせいで、あらぬ疑いがまわりにおよぶのではないかと不安に駆られた淡窓先生の弟子が1人、全てを抱えて姿を消すところで終わる。
この小説は、何が言いたかったのか…
私のような俗世間の垢にまみれた人間には、臼井佳一郎のような信念の無い生き方はするなという人生訓を語る小説としか思えなかった(^_^;