今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

桃さんのしあわせ


大好きなアンディ・ラウがアクションでもなく、いわゆる「ザ・香港映画」でもなく、愛情溢れる感動映画に出る…


それは観なくちゃいけないでしょ(^-^;


というわけで、混雑予想が出てたので、しっかりネット予約して鑑賞してきました。


長年、家政婦として働いてきた「桃さん」…


今では、その一家もアメリカに居を移し、香港に残るのは映画関係の仕事に就くジャッキー1人。


2人の生活は、家政婦と雇い主というより、母と息子のような関係。


仕事のために中国本土や海外を行ったり来たりのジャッキーは、かつて、心臓病を患ったけれど、桃さんの献身的な介護で社会復帰。桃さんは彼の体に合う料理をこしらえ、母親のごとく、世話をする。


そんな桃さんにも老いは訪れる。


ジャッキーの留守中に倒れ、家政婦としての働きが出来ないと悟るやアメリカにいる本当の雇い主であるジャッキーの母に退職を申し出る。


そして、介護施設への入居を決める。


薄いパーティションで区切っただけの「個室」を与えられた桃さんは、職員に「個室に入れただけでラッキーだ」と言われてしまう。

劣悪な環境の元でも桃さんはめげない。様子を見に来たジャッキーの方が、気が滅入ってるのが分かる。


でも、もう第一線で働けなくなった自分の居場所を桃さんは知っている。


そんな桃さんの固い決意に触れ、ジャッキーは義理の息子として、施設へ度々面会に来る…


ジャッキーが来るのを今か今かと待つ桃さんが可愛らしい。


施設の仲間達は、そんな桃さん「母子」を羨ましそうに見やる。


普段はみんなの憧れの母子である桃さんとジャッキーもお正月は別だ。ジャッキーは本当の家族と正月を過ごす。施設に残っているのは、何年も家族の訪問が無く、施設費用も今や国に負担してもらっている天涯孤独の数人と主任だからという口実で、施設に残る職員だけ…


どうやら、彼女も「家族」には良い思い出が無いらしい。


ジャッキーの働く華やかな世界、桃さんの暮らす施設、香港社会の厳しい現実が見えてくる。


でも、タイトル通り、桃さんはしあわせに逝ったのだ。


真面目に生きた桃さん、彼女に慈しまれて育ったジャッキー、本当の親子以上に温かな繋がり…


のんびりと淡々と桃さんの日常がスクリーンに映し出され、母親ってみんなこうなんだなぁと、自分の母親を思った。


そして、忘れてはいけないアンソニー・ウォン!!


介護施設を経営する怪しい実業家!!


こんな役がまた似合ってて、笑った(^_-)