今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

黄金を抱いて翔べ


合田雄一郎シリーズが好きで、ある一時期高村薫作品を片っ端から読んでましたが、寡作の人で、読む本が無くなってから、パタリとご無沙汰でした。


「馬車を曳く馬」だっけ?あれ、タイトル間違ってるかも…合田雄一郎シリーズの最新作だったけど、結局読み切れなかった(T_T)


ちょっと、高村薫さんの小説って、精神の世界というか、心の闇みたいなとこを突き詰めていくパターンが多いので、私みたいな軟弱な読者は太刀打ちできないんだなぁ(x_x)


だから、高村薫作品の映画…「マークスの山」も「レディ・ジョーカー」もなんか違う気がするんだよね…


実は、今回の「黄金を抱いて翔べ」も全く同じ印象なんだなぁ…


もちろん、原作なんか、相当前に読んだから、いちいち全部覚えちゃいない…でも、それでも、なんか違う気がするんだよね…


多分、高村薫作品の上っ面は映像化出来ても、その精神性みたいな部分まで映像化するのは無理なんじゃないかなって…


みんなが善良な人で、みんなが幸せになっていく宮本輝氏の小説…その対極にあるんじゃないかと思う、高村薫さんの小説…


登場人物がみんな心に闇を抱えていて、自分で持て余してしまっている…そして、何かのきっかけで泥棒になったり、殺人犯になったり、挙げ句の果てに原子炉に細工する奴まで登場する…そんな話まである…「神の火」


そんなベースのある小説の映画化だから、難しいだろうなぁとは思ってたけど…


全く別のところで、がっかりさせられた。


つい最近観た「アルゴ」!!隠れ家から空港までの脱出シーンのハラハラドキドキ感ったら、なかった。


状況はまるで違うけど、「黄金…」の地下金庫からの金の延べ板強奪シーンの緊張感の無さは何?


なかなか延べ板にたどり着かないもどかしさばかりで、全然ハラハラしない。まぁ、警察の目を欺くために余所を爆破したから、警察の対応が遅かったということはあるにせよ、あまりにも緊張感無さ過ぎ(>.<)


原作が高村薫さんだから、単なる犯罪映画ではないことは分かってるけど、せめて金庫破り実行中は緊張感が無いと、観る側はシラケる。


あれだけの役者さんを集めてるんだから、もう少しまとまりのある映画にしてほしかった。


原作の色合いが悪いんじゃなくて、それを味付ける映像作家の方がダメ…


大人になって、おたふく風邪にかかると子種が無くなるっていう俗説や主人公の母親の愛人が神父だったという様々な伏線が張られてたのに、その絡みがなんとまとまりのない…


幸田とモモの絡みもなんか中途半端…


最近の日本映画は、「海猿」みたいに説明過多の映画が多くて、ムダに長尺になってるけど、この「黄金…」は逆で、説明が少ない。


だけどね、説明なんか無くても、想像力を掻き立てられる映画ってあると思うんだけど、これは違う。想像力で補える部分では無いとこで、説明を端折ってる…これは井筒さんの限界ってとこじゃないでしょうか。


まぁ、あとは好みの問題。私は、嫌い。


情緒的な部分で想像力をかき立てて、観せる…それなら、分かるけど…


金庫の破り方同様、乱暴なまとめ方の映画だなぁと。


せっかくチャンミン出たのに…残念(T_T)