今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

みんなで一緒に暮らしたら


味のある映画とは、まさにこの映画のことを指してるんじゃないのかってくらい、良い味わいの映画だ。


みなそれぞれに体の衰えを自覚し始めて、不安を抱くお年頃の仲間達…


2組のカップルとダンナ達の親友で独身男が1人の5人の老人のお話。


物語の進行役になる夫婦は、見かけの溌剌さからは考えられないほど、病状の進んだ妻と認知症の症状が少しずつ見え始めた夫…


妻は、犬の散歩さえままならない夫の姿に直面し、先に逝く不安をひた隠す。


妻は、犬の散歩のために民族学を学ぶ若い男を雇う。


心臓病の発作を心配する息子に老人ホームに入れられてしまった独身男…


労働運動の先頭を走ってきたつもりのもう1人のダンナは、既に活動の主流である若者に相手にされない…


それぞれが老いを認めざるを得ない…


しかし、だからこそ、やりたいことをやって、自由に生きたい…


大切な友人を老人ホームに入れてはおけない…彼らなりの論理で、友人を病院から連れ出し、親から相続した豪邸に住む労働運動の男の家で5人一緒に生活することに…


まわりから見れば、危なっかしいこと、びっくりするほど愚かなことを繰り返していく彼らだが、どこか彼ら自身はその生活を楽しんでいるように見える。


これから、さらに高齢化が進む日本で、誰かに世話になることを当たり前と考えない老人達がどんどん登場するだろう。


その時、彼らの生き方は1つのしさとなるだろう。


彼らの生き方が全面的に受け入れられないことは、国が違っても、それは同じ…


ただ、若い世代が考える幸せと先行きを現実的に見つめ始めた世代が考える幸せとは違うということをうまく表現してると思った。


特に何もない、感動大作でもなく、スリルとサスペンスもない、それでも観終わって爽やかな思いをいだける映画があるんだと…


監督の力量にあっぱれ(*^_^*)


ただ、ラストがちょっぴり寂しさを感じさせる。


でも、これはお勧めの映画です。