今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

ジョージとタカオ


実は、ある映画のタイトルとして、頭にあった「ジョージとタカオ」!!


映画を製作した本人が、本を出したというので、読んでみた。


再審請求が話題になり、「布川事件」を知った。


多分、ニュースで桜井昌司さんと杉山卓男さんの記者会見を見た記憶がある…


特に冤罪事件とか警察・検察の不正捜査に興味がある訳ではないけれど、かつて、映画「BOX」の試写会で、免田栄さん本人のお話を聞き、なんと長い時間を司法との闘いに費やされたのかと強く印象に残っていたので、映画は観られなかったけど、製作秘話は絶対読んでおきたいと思った。


ジョージとタカオ」井手洋子(文藝春秋

以下、感想…





















科学捜査の進歩で、かつては証拠とはなり得なかった物証が、冤罪を勝ち取る決め手となって、話題になることが多い。


この本の主人公であるジョージ君とタカオちゃんは、強要された自白だけを根拠とする裁判を経て、無実であるはずの罪を背負い、長い年月を刑務所で過ごす…


20才と21才のやんちゃで血気盛んな青年は、すぐに帰れるつもりで、警察に連行され、そのまま無期懲役という罪名を受け、収監される。


その後、彼らは、並々ならぬ情熱を傾けて、自らの潔白を各方面に訴えていく。


それまで、自由気ままに生きてきた彼らに厳しい刑務所での生活は、何を与えたのだろう。


映画を観た人はおそらく彼らの表情で、感じ取ることが出来ただろう。


私は、文字から感じるしかなかったけれど、井手さんの率直で素直な語り口で、少しは感じ取れたんじゃないかな…


外から見ていた私には、晴れて、再審請求が実り、それまでの苦労や挫折が呆気ないほどに、「無罪」を勝ち取った感がある。


だから、余計に最初の捜査をもっともっと慎重にやってもらいたかった。


そうすれば、2人の人生は全く別のものになっていたはずだ。


そして、屈辱的な殺され方をした被害者の無念を晴らすべく、真犯人にもたどり着くことが出来たのではないか…


ただ…


若い頃から、やんちゃをしていた2人の別な人生って、どうなんだろう。


今の彼らを心から支え、一生を共にしようという「家族」に出会えていたかは、定かではない…


そんな人生の皮肉な現実の中で、彼らが勝ち取ったものは何にも増して輝いている。


免田栄さんの姿を拝見したとき、そのエネルギッシュな語りに驚かされた。


過酷な生活の中で、自分を見失わず、希望を持ち続けることの大変さを痛感した。


そう、このバイタリティがあるから、やり切れたのだと…


様々な手法で追いつめられた時、心が折れてしまったら、どんなにまわりが支えようとも闘うことは出来ない。


生きることが闘うこと。


いまだ獄中にあり、わずかな希望に望みを繋いで闘っている人がいることを忘れてはいけない…