今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

拝啓、愛しています


シネスイッチで予告編を観た時に、それだけで十分感動できちゃったのですが…


なかなか、チャンスが無くて、やっとのことで、シネマート新宿で鑑賞(^_^)v


大がかりなアクションものではないし、スリルとサスペンスも無いし、そろそろ人生の終い時を迎える老人達の出会いと友情と最後の選択をたんたんと淡々と映し出す…


それぞれが名演を約束された俳優達の共演…


地味ではあるけれど、心に深く深く染み入る物語。


引退後の人生を牛乳配達をしながら、過ごす男。


厳めしい顔立ちと大声で近寄りがたい印象だけれど、心は優しい。


そんな彼が仕事中の坂道で廃材回収をしている同年代の女性を手助けしたところから、新しい毎日が始まった。


彼女が廃材を持ち込む回収業者の隣の駐車場の管理人には、痴呆症状の出た妻がいる。


ある時、認知症の妻が家を出て行ってしまった時、たまたま主人公の男と出会い、家探しをしてやったのが縁で、4人は新たに友情を育んでいく。


年齢はかなり年嵩になってるけれど、4人で海に出かける場面など青春映画のようだ。


ただ、彼らには残された時間は少ない…


そこが切ない。


そして、認知症の妻の最期が近いことが分かった時、夫は駐車場の管理人を辞め、妻と旅立つ決意をする。


管理人室から最後に運び出したダンボール箱にたくさん詰め込まれたガムテープが2人の旅の行き先を暗示していて、もう涙が止まらなくなった。


2人のツラい選択に主人公の男と廃材回収をする女は、自分たちの行く末にも1つの選択をする。


若ければ、けして、選ばないだろう2組の選択…


でも、彼らには自分が今いる場所で、必死に最善を尽くして選択した道なのだ。


必ずやってくる老いと人生の終い時。


本当の幸せな選択は、ひとそれぞれで、優しい目線で、彼らの選択を映しとるこの映画は、簡単に「感動」の2字では括れない。