今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

ある愛へと続く旅


まず、原題は「TWICE BORN」…にもかかわらず、邦題は「ある愛へと続く旅」(・・;)


この邦題からは、運命的な出会いをした一組の男女が様々な問題に直面しながら、お互いを追い詰めていき、逃れようの無い道に入り込んでしまう哀しい重い物語が展開されるなんて、とても感じられないでしょ?


この映画は、まずそこが最大の「難点」だと思う。


原作があり、その原作者の夫がメガホンをとって映画化した作品だそうだ。


こんなお話をよくぞまぁ映画化したものだと…


サラエボを舞台にした映画は、すでにいくつかあるけれど、全てがあの内戦の哀しい歴史から逃れられない現実を画いてるでしょ。


この映画もまさしく…


心優しい人達が、自分ではどうしようもない現実にぶつかって、どうしたら、「幸せな選択」が出来るのかと。


今、思い出しても、涙が出てくる。


感動の涙でもなく、悲しいから流す涙でもない。心が震える涙って、こういうのを言うのかな…


世の中には、こんな現実もあるかもしれないと思わせるような…


これはね、観ないとどうにも語り合えない映画だ。


私、打ちのめされちゃってるもん(・_・;)


こんな愛し方ってある?私にはどうにも理解できない。


運命的な出会いをして、様々な障害を乗り越えて夫婦になった主人公。


カメラマンの夫は、金のための仕事より、自分の魂を揺さぶる仕事を選ぶ。それがサラエボ


内戦状態の中でお互いに支え合った2人。でも、彼らが自分たちの子供を望んだところから、微妙にすれ違っていく…


そして、内戦が酷くなっても、彼らの望みは変わることなく、それが決定的な悲劇と決定的な亀裂を生む。


もう、ぺらぺらとネタバレしちゃった方が説明が早い(^-^;)でも、そんなことしたくない。だって、ホントに語るのも大変な映画なんだから…


地味で宣伝も目につかないし、劇場だってレディースデーだっていうのにガラガラだし…それはあまりにも惜しい。


主人公のペネロペ・クルスが学生時代から子供が大きくなった(多分、高校生くらいかな…)現在までを演じる。特に現在の白髪混じりの風貌は特殊メイクをしてるとは思うけど、様々な痛みを経験してきた母親の歴史を感じさせる。


あまり好きな女優さんではなかったけれど、今回ちょっと考えを改めたわ。


そして、夫役のエミール・ハーシュ。私は彼の映画は「イントゥ・ザ・ワイルド」しか知らないけど…


荒野のサバイバルで次第に狂気を帯びていくあの時の役柄とかぶるような気がした。今回もある意味、サバイバルだから…


そして、彼が表現する深い愛情と苛立ちがなんとも痛い。でも、私には理解できないよ。


妻が望んだ子供を得るために、結局、彼は妻を手放さなければならなかったんだよ。


こんなのって…


もう、しばらくは頭の中が整理できない。「マラヴィータ」を先に観といて良かったわ(^_^;逆だったら、「マラヴィータ」を楽しめなかったよ。