今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

おじいちゃんの里帰り


観てからずいぶん経っちゃった(^◇^;)


早く感想をとどめておかないと忘れちゃう…って、普通なら思うけど、この映画に関して言えば、絶対にそんなことはない!!


そのくらい心に強く残る映画だった。


お話の舞台はドイツで暮らすトルコからの移民家庭。


ドイツにはトルコからの移民が多いというのは、サッカーで知った。サッカー・ドイツ代表のキーマンであるエジル選手はトルコからの移民の末裔…


なぜ、トルコからの移民が多く暮らしているのか、映画の中でちゃんと説明してくれる。


そういう観点からすれば、どこの国の人が観ても、ちゃんと分かるように作ってある。まぁ、そこんとこを抜きにしたら、なぜ里帰りするのかぼやけちゃうから当たり前と言えば、当たり前(;^_^A


でも、よく分からない他国の文化を知ってて当たり前のように語る映画も多いので、ある意味親切。


その親切さは、主人公のおじいちゃん達、家族にも脈打ってるのだ。


出稼ぎのつもりで行ったドイツに結局家族を呼び寄せることになり、ドイツの生活に慣れきって、トルコに戻れなくなったおじいちゃん達一家。


とうとう、おじいちゃんはドイツに帰化することになる。


いまさら、トルコで生活は出来ないけれど、でも、自分はトルコ人なんだという思いに駆られるおじいちゃん。


そこで、おじいちゃんは一家を引き連れて、トルコに里帰りを提案する。って言うか、半ば強要(^_^;


昔住んでいたトルコの家を買い戻したのだと…


家族はそりゃあ、ぶったまげるね!!


でも、結局はみんなで出かけていく。


おじいちゃんの強引な呼びかけで始まった旅は、簡単なものではなかった。


その昔、トルコの人たちが家族みんなでドイツに行くために贅沢をせず、汽車や飛行機を使わず自ら車を運転して出かけていった方法をとる。


忙しい毎日が当たり前になった子供たちは当惑する。


でも、その長い車中での旅が、再び家族を結びつけていく。


その過程が良いの。


それぞれ問題を抱えてる子供たち…


それを知ってか、知らずか、遠くから静かに見守っているおじいちゃん。


4人の子供のうちたった1人の娘のところには年頃の孫娘がいる。


彼女は大きな問題を抱えていたけれど、おじいちゃんは彼女の側に立ち、そっと支えてくれる。


若い頃からの苦労がおじいちゃんを素敵な人にしたんだな…


そして、おじいちゃんは大きな仕事を終えて、後を家族に託すことになる。


トルコに着いて、おじいちゃんが買い戻した昔の家に行くと…


これまた素敵なんだ。


おじいちゃんがなんでこの家を買い戻す気になったのか…


なんだかわ分かるような気がするんだ、私。


おじいちゃんのやり残した仕事を息子の1人が引き継ぐことを決意し、ドイツに帰る家族の乗ったマイクロバスを見送ることにした時には、なんだか拍手を送りたい気分だった。


トルコからの移民の代表として、首相の前で挨拶するはずだったおじいちゃん。


なんと末っ子のとこの孫がおじいちゃんの代わりにスピーチをする。おじいちゃんと練習を一緒にしてたから、丸暗記しちゃったんだ。


なんとも可愛らしい彼。


一家の誇りだ。これもおじいちゃんがしっかりと真面目に生きてきたからだ。


おじいちゃんの里帰りは、家族に力を与えたんだろうなぁ。


ホントに素敵な映画だった。


派手なシーンも無いけど、心がほんわりと暖まるなんとも言えない幸せな気持ちにさせてくれるお話だった。