今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

キャプテン・フィリップス


疲れたぁ〜


終映後、一番に思ったのは「疲れた」ってこと。
凄まじいまでの緊張感が全編を貫いていて、かなりハードなドキュメンタリー映画でも観た感触。


最近はあまり聞かなくなったけれど、映画の舞台となる2009〜2010年頃は、日本でもよく耳にしたソマリアの海賊。今でも、その危険は高いのだろうけど、この映画のような徹底した闘いと制圧の中で、かなり活動は縮小されてきたのだろうか。


実際にあった事件の映画化は当事者にしか分からない部分が多いだけに制作サイドもその取材には神経を使っただろうなぁ…


そんな事件の背景にばかり気を取られ、映画本編に関する感想はホントにまず「疲れた」ことが印象に残ったくらいだ(;^_^A


物語の導入部…そろそろ子供も手が離れ、長期に渡る船長の仕事にケリをつけようかと夫婦の話題になる年齢になった主人公が、また海に出るところから…


送り出す妻も社会で立場を持つ女性だ。だからこそ、夫の仕事の危険性についてしっかりと把握しているのだろう。


心配はあるが、まさか自分の身に火の粉が降りかかることはないだろうという思い。きっと、船長夫婦も同じだったろう。


こうして出航した巨大タンカー。


海の向こうのソマリアでは、海賊稼業を仕切る将軍の元、搾取される側の漁師達が武器を手に一攫千金を夢見て、粗末なボートで海に繰り出す。


同じ船に乗ったからといって、同じ思いを分かち合う仲間とはいえない彼らは、ひたすら生活の為に危険に身をさらす。


どんなに巨大なタンカーでも、乗組員が武装せず、対抗手段は放水だけとなると、おんぼろボートでやってきた数人の海賊に簡単に制圧されてしまうのだ。


その現実は背中を寒くさせる。


海賊対策用の金庫の金を端金と言い切り、船長を人質に取ることで、アメリカと交渉をしようと欲を出す海賊。


アメリカの現実を知らないからこそ、そんな無謀な賭ができるのだ。


アメリカのプライドは彼らの目にどう映ったのか…


たった1人人質を救出するために海軍の艦船を2艘
シールズの出動。
度重なる軍の交渉。


ソマリアの海賊達にそれらは扱いきれなかったに違いない。


それこそが、更なる暴走を生むことにもつながる。


アメリカ軍とはいえ、ギリギリの交渉だったのだと分かる。


しかし、軍が介入してから、事件解決までの状況は、恐ろしいほどの緊張感だ。


ラストで救出された船長が軍の看護士から、治療を受ける際のやり取りなどまさに「現実」を見せられているかのようだ。


最後の最後まで、映画を観るというよりドキュメンタリーを観せられている感触で終わる映画。


ポール・グリーングラス監督の真骨頂を見せつけられた感じ。


ボーン・シリーズはともかく、「ユナイテッド93」とか「グリーンゾーン」とか…


国内の凶悪犯罪に関しては、日本では考えられないような早期解決に向けた対処をする国、アメリカ。


対外的な重要度が増すとかなり慎重な対応をするんだと分かったのはちょっと驚きでもあった。

とにかく、観た方が良い映画。