狂ったようにウンサンを探し回るタン…
何度も何度も涙を流しながら、途方に暮れ、家に帰り着く。
ウンサンをこれ以上探したら、さらに彼女は木っ端微塵になると鬼アボジに脅されるタンだが、彼の耳にはもう何も届かない。
鬼アボジの策略から逃れ、なんとか国内で隠れ住むことに成功したウンサン。
でも…
出てくるのは涙ばかり。
思いつくあらゆる手段を講じて、ウンサンの居所を探るタンとヨンド。
タンは海辺の町で必死の思いでウンサンを見つけ出す。
浜で疲れ切った表情でぼんやりと海を見つめるウンサンを見つけたタンには彼女にかけるべき言葉も思いつかない
必死で見つけ出したウンサンの横顔を遠くから見つめるだけで精一杯のタンは、ある決意をする。
ヨンドはヨンドで、父からの叱責を覚悟の上でウンサンの元へ足を運ぶ。
しかし、ウンサンは逃げ出した恐怖の方が強く、簡単に見つけられてしまった自分の今後を憂うことしか出来ない。
「相続者」にはこんなに過酷な試練が与えられなければならないのか…
そして、「相続者」にかかわった人間にもその試練を共有させるのか…
タンは兄を訪ね、自分の持てる物全てを放棄する代わりにウンサンへの手助けを頼み込む。
自分が壊してしまったウンサンの日常を全て取り戻して欲しいと頼み込む。
兄の言うとおり、あれほど嫌がっていたアメリカ行きも呑み、さらには株も全て手放し、二度と戻るなと言うなら戻らず、一生会わないでおこうというなら会わないと…
だから、アボジと自分からウンサンを守って欲しいと…
アボジの妨害だけではなく、ウンサンを不幸にしているのは、自分のウンサンへの強い思いなのだと…
当の兄の困惑ぶりは、その表情に見て取れる。
助けを求めているのか、喧嘩を売っているのか分からない申し出にその真意を計りかねる兄。
あの娘と二度と会わないのか、それでも良いのか…と。
タンは最後に1度会って、きちんと別れてくると伝える。
さすがの兄もタンの思いの深さに気づく。もう二度と捨てられるのはごめんだと嫌がっていたアメリカ行きに従うという弟。
全て、兄の思い通りに生きると誓う弟。
それだけの思いをかけて好きになったウンサンを手放すという弟。
逃亡先でバイトするウンサンの元へやってくるタン。全てを元に戻すと誓うタン。
「手を取ってくれと言ってごめん。勇気を出せと言ってごめん。」
ウンサンに自分の傘をしっかりと手を包んで握らせ、雨の中を帰るタン。
これが最後…
ウンサンもその後ろ姿に号泣する。
こんなに苦しい恋をしたら、もう立ち直れない。きっと、心が壊れてしまう。時が経てば忘れられるものとそうでないもの。
これからの2人がとても心配。
そして、タンは壊れていく…
壊れていかないと死んでしまうから…暴れることで自分をごまかし続ける。
1人の女すら忘れられないタンにいきり立つアボジ。タンが好きな娘を追い出したのかと問う兄。日に日に傷が増える息子を見ているしかない母。
みんな、悲しいよね…
こんな悲しさを得なければ手に出来ない「王冠」って、なんだろう。
自暴自棄になったタンを町で見かけたヨンド。
そんなに会いたかったら会ってこいと言うヨンドだが、今度会いに行けば、ウンサンの明日が無くなることを知っているタンは何も出来ない。
「お前が行けばいい」
かろうじて答えたタンの頬をいく筋もの涙が伝う。
タンが壊れていく資格はないと言うヨンド。それは、お前が立ち上がれと言うエールなんだろうが、今のタンにそれは酷でしかない。
「どうにもならない」その言葉は、どうして良いか分からないとか、そんな生易しいものではなくて、もう生きてられない…そういう意味なんだろう。
さすがのヨンドも言葉が出ない…
帰宅したタンを待っていたのは、アボジの罵倒とオンマの嘆き。心配して様子を見に来た兄に病院に行こうと進められるが…
早くアメリカに送ってくれと懇願し、涙を流す。
「死にそうだ、助けてくれ」
完全に自分を見失っているタンを前にしてかける言葉などあるだろうか。
今までどんなに拒絶しても、慕ってきた弟。わずかに気にかけただけでもとても喜んだ弟。
小さな胸の内でどれほど苦しんでいたか兄は知っている。
それでも、諦めることなく自分の心をノックし続けた弟は誰よりも強い心を持っていると兄は知っている。
その弟がまるで小さな子供のように泣きじゃくりながら、「死にそうだ」と「助けてくれ」と訴えている。
そして、兄は「間違いを正す」という名目で弟に手を差し伸べる。
ウンサンのバイト先にまで足を運んだウォン。
「遠い先を見るのではなく、明日何がしたいかを考えれば、自ずとやりたいことがみえてくる」
「決断がつかない時は、小さな言い訳をしてみろ」
ウォンはウンサンに自分の心に従って、前を向くように促す。大人のアドバイスだよね。高校生だからこそ、怖いもの知らずで壁にぶつかっていけるけど、高校生だからこそ、打ちのめされた時に立ち直る為の方便が分からない…
タンには、ウンサンが残していった手紙を渡し、
「これが生きる理由になるなら、生きてみろ」と。
逃げ出すときにウンサンが書いた手紙には夢で会えて嬉しかったと書かれていた。
もう会わないと言いながら、偶然見かけたウンサンを追って海辺の町まで行ったタン。
「手放すことは出来ない」とウンサンを抱きしめたタン。
アボジに呼び出され、相変わらずの恫喝を受けたばかりのウンサンにはタンの言葉がどれほど哀しく聞こえたことだろう。
タンを振り切ることしか出来ないウンサンの悲しさはもう極めちゃってる(T^T)
結局、最後はウンサンの勇気にかかっているのだ。
タンの生きる理由はウンサンそのものなんだから…
そして、期末テストを受けるという、まさに高校生らしい小さな言い訳をして、ウンサンはタンの元に戻る。
ここは私、全編を通して、一番感動したシーン。
てっきりアメリカ行きだと思っていた兄の一番の願いはタンが学校に戻り、期末テストを受けること。
兄に従うと言った手前、死んだように覇気の無いタンではあるが、学校には行く。
他の生徒から離れ、ベンチで1人イヤホーンを耳に差して座っているタンの横に誰かが…
ぼんやりと顔を向けるタンの目に映ったのはウンサン。
まるで幽霊でも見るかのような表情で驚きを隠せないタン。
「あんにょん、キム・タン」
ウンサンはまるでいつも側にいたかのように笑顔を見せる。試験を受けに帰ってきたというウンサン。顔の傷はどうしたのかと問うウンサン。
ただ、ウンサンのことを見続けるタン。
「お前がいなくなったから…」
かろうじて答えるタンに、ウンサンはもう逃げないと、どんな言い訳をしてもタンの側にいると…
タンはウンサンに手を伸ばす。そして、やっと戻った愛する人を心から抱きしめ、目を閉じる。やっと、心に暖かさが戻ったのだ。
このタンの表情が本当に良いのだ。
苦しんで、苦しんで、全てを捨てる覚悟をして、それでも忘れられない人…もう、手にすることは出来ないのだと自分の心に嘘をついて思いを封印しようと苦しんだ日々…
それらの思いに押しつぶされそうになっていたタンの心にやっと訪れた安らぎ…まさにそんな表情。
ここから、2人の新たな困難と戦いが始まるんだけど、そんなことよりも2人でいることの幸せを心から感じる2人。
こんな運命、ドラマじゃないとあり得ないけど、ドラマだからこそ、夢を見せてもらってるのだ(*^^)v
さぁ、ここから単なるラブストーリーではない「相続者たち」の真の物語が始まる。