お正月最初の劇場鑑賞は「FLU 運命の36時間」とのハシゴ!!
アクションでもなければ、大作でもない地味目な選択でしょ?
でも、鑑賞後の満足度はかなり高い!!
こちらイタリア映画の舞台は、日本でも学生運動の嵐が起きていた頃、遠くイタリアでも革命的な活動が盛んになっていた。
まさにそんな時に起きた爆破事件。
多くの人々が行き交うフォンターナ広場裏の銀行を狙った爆弾テロ。
当時のアナーキストの中心的人物が容疑者として連行され、捜査の指揮を執っていた警部が取調室をほんのわずか出た隙に…
部下達の追求に屈したのか、取調室の窓から身を投げ死を選んだ…
取り調べ中の容疑者の「死」は警察当局にとっても頭が痛い。自分たちには過失が無いと早々と表明し、事を収めようとする警察幹部。
現場にいなかった警部を自分たちに都合良く丸め込もうとする部下達。
以前から容疑者の人となりを知っていた警部は、彼の死に納得いかず、独自に捜査を始める。
様々な組織、様々な登場人物。
事件関係者の絡みは複雑で、その場限りの知識では到底理解できない。そのためのレクチャーとして、チケットと一緒に渡される登場人物達の相関図。
少し、事前知識があった方が良いことは分かってるけど、愛が観ながら「誰だっけ、この人」なんて思い巡らせてるだけで、大切なシーンを見逃してしまう。
よほど、面倒臭くないかぎり、私はこういう相関図はまず見ない。全く予備知識が無くても、それを超える緊張感と面白さがあれば十分だから(*^^)v
と言うわけで、組織関係や人間関係なんて全く分からないまま…
でも、OKだった(^ー^*)
真実を追求していく緊張感と革命分子が主犯と思われていた陰に大きな黒幕が隠れていた驚き。
全編を通して途切れることのない緊張感がラストで、さらに高まる。
どこまでも隠し通そうという国家の強い意思を見て取ることが出来る。
この事件は、未だ解決されておらず、容疑がかけられた人物達は、爆破事件の全てで追求された訳ではなく、彼らが関連した一部についてのみ追求されただけで、全ての人間が無罪となっている。
いわゆる国家の黒い歴史…
こうした部分に正面きって突っ込めるのが映画の世界なんだと改めて、映画の持つ「力」を実感する。
当然ながら、事件当時には語れなかった部分、知らされなかった部分があったがために、何十年も経った今になって、こうした形で映画として世に出ることになったのだろう。
ドキュメントとして残せなかった歴史を映画でフィクションではあるけれど、形にして世に問うというのはとても大事なことだと思う。
今、実話の映画化はとても多いと思う。
ハリウッドでも多く映画化されている。社会的なテーマでの映画化はやはり洋画に多いな…
日本の実話系は、不治の病を抱えながら賢明に生きた、恋愛した、結婚したって話が多くない?
かなりの邦画への偏見か?
「終戦のエンペラー」なんて、本来日本で映画化しなくちゃダメでしょ?
確かにプロデューサーは日本人ではあったけど、あくまでハリウッド映画だから…
エンターテイメントとしての映画は、それはそれで見応えのある物は断然認めるけれど…
作品としての重厚感、緊張感を突き詰めた見応えを提示できる映画に新年早々出会えたことはある意味喜びでもあるなぁと…
いろんな意味でお勧めだと思う映画。