ポン・ジュノ監督最新作にして、初の外国映画「スノーピアサー」
「雪国列車」というタイトルで映画情報が流れ、「アジョシ」を作った会社の製作で、ソン・ガンホにウォンビンに……
って話を最初に耳にして、それからしばらくなしのつぶて…
で、結局単に英語読みのままの「スノーピアサー」というタイトルで、地球の生き残りが韓国人ばっかじゃおかしいということで、ソン・ガンホとコ・アソンという父娘に限定され…
最初の私の個人的な期待度は急速に萎んで行きましたけど、まぁ、ポン・ジュノ監督ですから間違いはないだろうと劇場へ!!
「グエムル」を見て、CGとかの出来は、海外で勝負できると思ってたけど、今回の雪山を走り抜ける列車の映像は圧巻!!
凍りついて生き物が暮らせなくなった世界。地球を一周する列車を作り(当然レールでつながっているわけだが…)、止まらないエンジンの開発に成功したウィルフォード。
彼の所有する列車に辛うじて乗り込めた人間だけは、氷河期を迎えた地球でも生き続けることが出来た。
しかし、そこは恐ろしいまでに徹底された階級社会。持てる者は金の力で、ウィルフォードに「乗客」として認められ、無賃で乗り込んだ者は最後尾の車両に詰め込まれた。
そして、彼らは先頭車両を牛耳るウィルフォードを頂点とする列車の社会で反乱を起こし、立ち上がる。
しかし、すでに列車は18年の歳月を走り続けているが、その間、成功した革命は無く、結局死者だけが増え、限りある列車社会のバランスを調整しただけで終わった。
そんな中、列車の全てのセキュリティーを設計した韓国人ナムグン・ミンスを仲間に引き入れた最後尾車両の人間たちは、列車社会を自ら物にするために前方車両へと立ち上がる。
カーティス(主役の名前、合ってるかな?)が率いた反乱にみな命をかける。
1人倒れ、また1人倒れ…
彼らが抱いていた希望は思ってもみなかった真相をはらむものだった。
その現実に呆然とするカーティス。しかし、彼らを追いつめる魔の手は迫る。
そして、ナムグン・ミンスとカーティスは同じ行動に出る。
列車の内部での闘いのシーンなどはやはり限られたスペースでのものなので、迫力は抑えめ…
敵も味方も、列車を壊してしまったら生きていけないのだから、自ずと攻撃も限界がある。さらに武器の供給は列車が走り出した時以後無いのだから、当然闘いも肉弾戦の接近戦。
だから、迫力は外の風景に…
1年で地球を1周する列車。再び1年経って、同じ場所にたどり着いた時、氷の山がレールに覆い被さっていたとしても、誰もその氷を除去する事は出来ない。障害物は列車がそこを走り切ることで打ち砕いていくしかない。
その雪山や長い鉄橋を渡るシーンなどは壮観だった。
列車で暮らす人間はそれぞれの「場所」に生きることで、社会のバランスを保つのだというウィルフォードのルール。
そんなことはないと強く言い切れない部分も実際の社会にはあるのだ。
現代社会の様々な問題が究極を迎えた時、この列車社会の結論と同じ答えが導き出されそうな怖さを感じる。
実際、ストーリーよりなにより列車の舞台設定などいろいろとツッコミどころは満載だ。でも、そんなことに一々惑わされていると列車同様ストーリーもどんどん進んでしまう。
こういう映画は、とにかく楽しむことだ。
そのスピード感に身を委ね、「面白い」と感じた人間の勝ちって気がする。
ただ、1つ気になったのは、車両の横幅や奥行きや高さがそれぞれの車両ごとに統一感が無いこと。
繋がってる車両同士は同じ巾でないとおかしいのだけど、どうみても違うでしょってくらいバランスの悪い時があった。
その辺にこだわっちゃうと、きっとこの映画は楽しめない。
娯楽作としては十分だと思う。こんなあり得ない設定の映画を上手くまとめたなぁ…と思った。
やっぱ、ポン・ジュノ監督はただ者ではありませんね。