今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

パイラン


韓国芸術院での定期上映会にて鑑賞。


主演はチェ・ミンシク、そして、ヒロインはセシリア・チャン


製作年は2001年。日本での公開は2003年の映画。


チェ・ミンシクという俳優さんは、そこにいるだけで雰囲気を作り出すのねぇ…


何をやっても上手く行かないヤクザ者の彼は、昔からの友人の組に身を置き、中学生に裏ビデオを売りつけたりして日銭を稼ぐ生活を続けている。


そんな時、中国から親戚を頼って韓国にやってきた女性が、そのまま在留出来るように偽装結婚をする。


金欲しさに引き受けた結婚だから、妻となる女の顔など確認もしないし、書類を渡したきり、その存在すら忘れていた。


勢力争いをする敵方の組員を殺してしまった組長に代わり、身代わりで出頭することになった矢先、彼の元に妻の訃報が届く。


妻の遺体の引き取りに出向く途中、仮初めの妻からの手紙を読んだ主人公…


そこには見知らぬ土地で、途方にくれていた彼女に結婚という形で道を開いてくれたことに対する感謝の言葉が切々と綴られていた。


書類に添付された署名写真でしか知らない妻のあまりに悲しい生涯。


寄り添うこともなく、初めて顔を合わせたのは遺体安置所…


彼女の思いが籠もった最後の手紙を受け取り、彼はそれまでの自分と決別しようと前を向く。


しかし、組織の掟は彼の心変わりを許さなかった。


互いに交わることの無かった人生。それでも、彼女にとっては確かに彼が側にいた…セシリア・チャンが、薄幸な女性を健気に演じている。心には強い孤独を抱えながら、外には明るい笑顔を見せる。とても、可愛らしい…


なんとも切ない純愛物語だ。


互いに向き合えたら、また違った道があったのだろうけど…


互いに遠い距離のまま、別な場所で別な理由でこの世を去り、それでも2人の心は強く繋がっていた…


この前見た「テンジャン」もそういうお話だった。韓国映画って、こういう純愛物語はお得意ねぇ…


チェ・ミンシク主演映画で、こんな切ない涙を流せるなんて、ちょっと不思議(^_^;


良い映画でした。既にスクリーンで観るチャンスはほぼ無くなっているでしょうから、DVDがあれば、是非ご覧ください。