今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

神去なあなあ夜話


やる気ゼロの若者が、母親と担任の策略にハマり、高校卒業と同時に故郷を離れ、山深い田舎に送り込まれ、林業に従事するという驚きの展開を見せた前作「神去なあなあ日常」…


本作は、続編。


以下、感想…





 






主人公は平野勇気。


名前は勇気満々な感じだけれど、中身は全く真逆の男の子。


やる気もなく、目標もない彼を心配した母や担任のおかげで、普通の人では味わえない究極の職業に就いた勇気君!!


生まれも育ちも横浜の都会っ子が、山の自然に囲まれ、あるがままを「なあなあ」と受け入れる神去村の人々と接する中で、今まで感じたことの無かった感謝を抱くようになる過程は清々しい。


携帯だってなかなか通じない山深い神去村ではインターネットなど繋ぐことは出来ない。


それでも、勇気君は日々の印象に残った出来事を記録としてパソコンのなかに綴っていく。


この勇気君の1人語りがこの小説な訳だが…


山で林業に従事するとは思えないほどの脳天気ぶりが綴られていく。


都会とは一線を画した神去村は、どこまでもアナログで、どこまでも素朴だ。なによりあり得ないほど純粋で善良な人々が多くいる。


その彼らのほとんどが林業を生業にしており、昔から、それこそ今いる人々のご先祖様の時代から、明日の幸せを信じて淡々と日常を送ってきたのだろう。


その根幹は、山への憧憬というか信頼だな…自分たちの生活を静かに見守り続けてくれた山の神への畏敬の念が、どんな荒くれ者の胸にもしっかりと刻まれている。


勇気君じゃないけど、都会暮らしで荒んでる人間には柔らかいリフレッシュの時間を提供してくれる小説だ。


三浦しをんさんの真骨頂だろうね、こういうお話。


電車で読んでた時、おもわず声を出して笑ってしまい、辺りの視線が痛かった(;^_^A


暖かい気持ちになれる小説だ!!