韓国文化院にて鑑賞。
毎月2回開催される韓国映画上映会。毎回申し込んでるんだけど、なかなか当たらない(T^T)
久しぶりに当選したので、行ってきました。
10年以上前の映画なんだけど、観たこと無かったので、ありがたやぁ〜!!
都会で暮らす母子。夫と別れ、それまでの仕事に行き詰まり、新たな生活を始めるために仕事探しをすることになった母は子供を預けることにする。
17歳の時に家出したままの実家に足を向け、新しい下着1枚を挨拶代わりに小学生の息子を置いて街に戻る母親。
確かに家出もしたくなるような…
電車で長々揺られた後、ガタガタの乗り合いバスで山道を行く。途中で乗客はすっかり入れ替わってしまう。それだけ遠い道のりだということ…
そんなに裕福な生活をしているとは思えないけれど、普通の都会暮らしに慣れた母子にとって、そこは別な国のようだろう。
ましてや、1人取り残される息子の気持ちはどうだろう。
曲がりくねったガタガタ道の終点でバスを降り、人が1人やっと通れるほどの山道を登り、行き着いた先にあったのは今にも崩れ落ちそうなあばら屋のような家。
街から来た子供(小学校に入ったかどうかくらいの…)にとって、そこは未知の世界とかそんな生やさしいものじゃない。
世界の果て…
そして、実のおばあちゃんは耳が不自由で話せない。
コミュニケーションに力を注がない今時の子供にとって、それは見事なくらい救いのない世界だ。
途中、おばあちゃんは孫の言葉を理解したかのように対応してて、耳だけは聞こえるのかと思ってしまうシーンもあった。それだけ、一生懸命孫の様子に心をくだいていたということなのよね。
最果ての世界で、繋がる術を知らない人と2人で過ごす状況に孫はとうてい理解を示すことは出来ないし、確かに普通よりもくそガキな子供だとは思うけど、ある意味、あの反応は理解できる。
だって、彼には選択肢は無いのだから…
母親がここにいろって言えば、それに従うしか生きる道はないのだから…
腰の曲がったおばあちゃん。日々の生活を支えるために精を出す農作業のために手足は真っ黒に日焼けしてる。1人山奥で暮らすためには、天秤棒を上手く活用して水汲みにも出かける。贅沢なんて言葉はおばあちゃんの生きる世界にはない。だから、服も靴もとっても大事に使う。
おばあちゃんとの生活は時の流れが違う。
ゆっくりしか動けないのに、やることはいっぱいあるから、あっという間に1日が終わっていく。
そして、たまに時間ができると山からの景色を眺めて心と体を休める。
おばあちゃんの生活は、質素だけれど充実している。いろんなことを経験した大人たちがいう「本当の贅沢」をおばあちゃんは自覚もないままに毎日享受している。
でも、そんなことちっちゃい子供には分からない…いや、分かったら、怖いって!!
私、思い出しちゃった…
小さい頃、茅葺き屋根の家に住んでたおじいちゃんの家に行くのが怖かった。
腰が少〜し曲がってて、私たちが遊びに行っても、畑仕事の日課は欠かさない人で、自分からあんまり話しかけてもこないし…
お家も東京の箱型の一戸建てとは違うし、夜も鍵なんか締めないし、トイレは外だし…
母と帰省して泊まったおじいちゃんの家。私は単に里帰りだったから、我慢も出来たけど、新築の家に移り住むまで、あの得も言われぬ感覚は続いた。
だから、やたらとわがままを言い、おばあちゃんを困らせる孫の気持ちがよく分かった。
いけないと分かりつつ、おばあちゃんを責める孫だって、心の隅っこでは罪悪感を感じてるんだ。それは自分の経験上よく分かる。
最初はゲーム機で都会暮らしとの接点を保ったけれど、電池が無くなり、孫は決断をしなければならなくなる。
ここら辺りから、少しずつ少しずつ孫の目線が変わってくる。
電池を求めて歩き回り、でも、買えなくて、気がついたら、帰り道すら分からなくなって。それまで憎まれ口きいて一生懸命強がってた孫が普通の子供に戻って、わんわん泣いた。
このシーンを観て、次男を思いだした。下の子だから、普段から生意気で偉そうにしてたのに、自分が帰宅した時、たまたま私が留守で、家に入れなくて、家の前で1時間以上待ってたみたい。私が帰ると、それまで堪えていた涙がボロボロと…大号泣!!
どんなに生意気でイキガってみせても、あの時の姿は忘れられない。ホントに腹立たしくて、ぶっ飛ばしてやりたいほどの気持ちになることも度々ある我が家の問題児なんだけど、その度にあの涙を思い出して踏みとどまるんだよね。
なんか、映画とは全く違う自分の様々な思い出にいちいち行き当たる映画だった。
最終的には、誰の手も借りず、孫はおばあちゃんの大切さを実感し、照れながらも素敵な置き土産をしていく。
意外なほど泪を誘う映画で、少し外を歩きたくなった。
四谷三丁目駅を通過して、四谷駅まで歩く間、あったかぁ〜い気持ちを楽しむことが出来た。
DVDで出てたら、是非!!
おすすめ(^_-)-☆