今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

ソウォン/願い


新宿シネマカリテにて鑑賞。これが単館ってどうなんでしょう…


8歳の娘と夫婦の3人家族。お父さんは工場で働き、お母さんは雑貨やさんを営んでいる。


どこにでもいそうな普通の家族。


たわいのない日常の先に家族を地獄に落とす不幸が…


同僚の子供がインフルエンザになり、その人の分まで仕事をするためにいつもより慌ただしく出かけていく父。


雨が降り出して、送っていこうかと迷いながらもそのまま送り出した母。雨だから、抜け道の泥道を通らず、大通りを行けと…


そして、言いつけ通り、大通りを行ったソウォンは過酷な運命に。


スクリーン上でソウォンがどういうめにあったのかは映らない。けれど、病院のベッドに横たわる彼女の姿で、観ている側にはどんなに辛い思いをしたかは十分に伝わってくる。


どこまでもリアルに表現しなくたって、十分に通じることはたくさんある。


ソウォン自身の辛さ、両親の絶望…


正直、スクリーンを直視出来なくなってくる。ソウォンの顔の傷や両親の涙を見るのが苦しくて…


重い重いテーマを、心と体に大きなダメージを受けたソウォンの視点から描いていく。


悪いおじさんを罰するために、小さな彼女は大きな勇気を持って証言する。こんな苦しい選択をさせた犯人は、泥酔状態だったのを言い訳に無罪を主張するようなろくでもない人間だ。


ソウォンが自分の身に降りかかった出来事を「恥ずかしい」と言えば、父親はその気持ちを少しでも和らげるために様々な気配りをする。


犯人に対する恐怖が、男性全てに向けられるようになり、父親は悩んだ末に彼女が大好きなココモンの着ぐるみを着て、遠くから見つめ、静かに支えていく。


そして、1番の友達ヨンソク。彼の両親はソウォンの両親とも仲が良く、家族ぐるみの付き合いだ。


雑学店の窓に欠席中のソウォンに伝言をする。そして、ソウォンが病院から帰った日、あの日一緒に登校しなかったことでソウォンが辛い目にあったのだとずっと苦しんでいた胸のうちをソウォンの父親に語り、号泣する。


多くの人の心を傷めつけたこの事件。どうしたって、許せるはずはないけれど…


両親を支えた工場長夫婦。家族の心のケアをしたカウンセラー。事件当初から家族の側で任務に就いた婦警さん。


彼らがどこまでも優しく、どこまでも暖かい。


そうした、まわりの人々の支えを得て、ソウォンは前に進もうとする。


小さな小さな少女がなんと強いのだろう。


号泣ポイントがいっぱいで、未だに思い出しては涙が止まらなくなる。


ソウォンの強さに感動するなんていう簡単なことじゃない。胸を締め付けられる。


なんとも救いようのない愚か者の犯人はどんなに憎んでも憎んでも足らないほど…


犯人の言い分も入れた判決後、傍聴席は怒りの言葉で溢れる。父親は不敵な表情の犯人に襲いかかろうとするが、ソウォンは必死に父親を止める。


これがソウォンの答え。彼女は前を向いていく。


そして、ソウォンに弟が生まれる。皆がその誕生を喜んで迎えるラスト。彼女の未来が希望に溢れたものなるようにと祈るばかりだ。


感想と言ったって、もう何が何だか…悔しいやら、悲しいやら…これから観る人は相当ヘビーだから、覚悟して観てください。以上‼