今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

マルティニークからの祈り


TOHOシネマズシャンテにて鑑賞


全編チョン・ドヨンに泣かされると聞いてはいたけど、それほどでもなかったな(^_^;)


確かに彼女が演じる主人公は彼女でなくては演じられないと思えるほど、役にハマっていたけれど…


まず、全編にわたって泣かされなかった最大の原因はあの娘役の子役の存在。


初めて観る子で、子役に人材の多い韓国では希に見る普通の子…


お顔は可愛いけれど、セリフは棒読みだし、言わされてる感満載だし、何より場を読めないホントに状況を分からない普通にいる頭の悪い子供…


もし演じてコレなら、末恐ろしいけれど、多分そうじゃないよね?普通のままの子供が与えられたセリフを言わされてって感じだよ。


ある意味、あの状況下で普通の子供はあぁなんだろ〜なぁと…


でもさぁ、いくら実話ベースとは言え、映画となればフィクションなんだから、もう少し演じられる子供をキャスティングしてほしかったなぁ。韓国にはいるはずだから。なんでも芦田愛菜の日本とは違うんだから…


だから、本編にしっかり入り込めたのは、あの娘が出てこなくなってから(汗)


海外での収監。言葉の問題。映画は限られた時間で語るので、サラッと通り過ぎたけど、実際はあんなもんじゃないだろう。


そんな中で2年以上も耐え忍んだ主人公。強靭な精神力で乗り切ったとかそんなことじゃないよね。ただひたすら耐え忍んだんだ。


それが分かるのが、途中刑務官にレイプされそうになり、森を駆け抜け必死に逃げた彼女の目の前に広大な青い海が広がった場面。


彼女はぱったりと足を止め、ただ海を見つめる。そこには絶望しかなかった。それまでの耐え忍んできた最後の堰が切れちゃって、懲罰房では起き上がることも出来なくなる。


このシーンは涙を誘うというより、私も一緒に絶望の淵に追い詰められたように苦い思いしかこみ上げてこなかった。


唯一、どうにも耐えられず涙が落ちたのは、裁判を待つ期間が規定を超えたので、一時保護観察処分になり、刑務所を出た後のシーン。


主人公が刑務所を訪れ、外から門扉の鉄格子越しに同房の女性の名を呼ぶ。刑務所からその女性が彼女の名を呼ぶ。互いに元気でいることをたどたどしい英語で確認し合う。


このシーンは心が締め付けられた。知らない土地で言葉も通じず、自分の置かれた立場も理解できず、何を拠り所にすれば良いのかも分からず…


そんな思いを抱えた者同士の心の繋がり。


主人公がやっとの思いで韓国に帰国するシーンも感動的だし、なにより裁判で帰国を勝ち取ったシーンは本当に感動したけれど、あの刑務所の壁を挟んで交わした2人のやりとりほど訴えかけるシーンは無かったなぁ。


この作品は、全編にわたって、チョン・ドヨンという女優の凄さを改めて痛感する映画であり、さらには韓国国民がいかにお役所を信頼していないのかを痛烈に感じさせる物だ。


先のセウォル号沈没事故の際の国の対応を思い出す。


そうそう、チョン・ドヨンに押され気味で影が薄かった気もするけど、夫役のコ・スが情けないダメ夫を好演してたと思う。イケメンはなかなか情けない役を演じるのが難しいから(笑)