今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

プロミスト・ランド


TOHOシネマズシャンテにて鑑賞


ガス・ヴァン・サント×マット・デイモンという安定を期待できる作品(笑)


農業を主体に暮らす田舎の町。何代も引き継がれてきた土地は、親が残したものだからという理由だけで捨てきれない人とそれが理由に足枷になってることに困惑している人と…


地下資源と引換に潤うはずの町の未来を夢想する住民。それをきっかけに田舎の生活から抜け出したい住民も。


それに相対する住民の思い。その隙間を突くように、地下資源を目当てに乗り込んでくる大企業の社員。


彼はけして尊大にならず、低姿勢でさらに紳士的にまた地元の人々に親しまれるために服装まで地元仕様にして、地権者を訪ね、土地の使用権と引換に払われる代価で今の状態では望んでも叶わない地権者たちの未来を語って聞かせる。


それは驚くほどの輝かしい未来でもなんでもなく、手が届きそうで届きそうで届かない現実的な希望。


身近な希望に未来を託す住民たちも確かに存在する中で、警鐘を鳴らす住民もいる。


企業にしたら波風立てず、静かに地権者のサインをとりたい。しかし、善良な社員の対応のせいで住民投票に話が進んでしまう。


主人公は仕事に誇りをもって、住民たちを説得していたのだが、会社にとって、彼の行動は単に甘いだけ。


ニセの環境保護活動家を送り込み、投票を阻止させようと画策する会社の目論みに気づいた主人公は、あらためて自らの仕事について考えを巡らす。


彼は、当然ながら、クビになる。それまでの数々の実績なんて、なんの役にも立たない。


マット・デイモンが自分の仕事に誇りを持ちながらも、町の人々と触れ合う中で自分のやってきたことへの疑問を感じ始める真面目な男を好演。


彼はこういう役を演じたら、やっぱり上手い。こういう役こそ、マット・デイモンだなって思う。


もしかするとアクション映画への出演は、そんな自分への挑戦だったのかなぁ。


落ち着いて観られる映画。


そして、アメリカでは今日もこの映画と同じことが現実に起こっているんじゃないかと思った。


大都会と田園風景広がる田舎の町との暮らしぶりの違いは日本よりはるかに大きいと思うから、様々な思惑が入り込む隙はおおいにありそうだもの。


時々、場面転換の時に田園風景広がる町の俯瞰映像が差し込まれていた。この風景がどう変わっていくのか。


どうか、希望ある未来であってほしいと思った。でも、そこに住む人のそこに住む理由は様々だから、どこに向かうのかは全く分からないけど。


広大な農園を持ってるワケじゃないけど、様々な「これから」を自分に置き換えて考えてみるきっかけになる映画だ。