静かなヒットと言えるのかしら?評判が良いみたい。
渋谷のヒューマントラスト・シネマでは明日までの上映なので、「天国は本当にある」と迷ったんだけど、こちらを選択。
何の予備知識も無く、いきなり観たけど、うん、これは事前情報無い方が良いかな(汗)
お話としては既視感を抱くというか…
形を変えて、似たような話はある。
ネタバレしない程度に…とある児童養護施設が舞台。様々な理由で親と暮らせない子供たち。彼らの生活をサポートする施設の職員。
「ショート・ターム12」というその施設の名称がタイトルに。
ある日、新人の職員がやってくる。突然、奇声を発しながら施設を飛び出してきた少年を押さえるのが最初の仕事。
彼らは親でもないし、カウンセラーでもない。だから、やれることは彼らが施設でおとなしく生活するためのサポートだけ。
施設の外へ脱走してしまったら、子供には指1本触れることは出来ない。ただ、子供の後を歩いてついていくだけ…
そんな職員たちのジレンマ。職員たちの中には、自分も施設の子供たちと同じような暮らしの中で成長してきた者もいる。
最初は、子供たちの突飛な言動に戸惑っていた新人職員もいつしか彼らに寄り添うことを学んでいく。
体力のいる仕事だ。そして、希望を持ち続けないとやっていけない仕事だ。こうした現場の人々の努力があって、子供たちは今日も生きている。
けして、大人としての指導者的な態度ではなく、子供とともに笑い、子供とともに悩む職員たちの姿には好感が持てる。
家庭で上手くいかない子供たちが、こうした施設で職員や仲間たちから思わぬ愛情を受ける。それが彼らに生きる勇気を与えている。
そこをけして美談にして描いてないのが良い。
職員と子供たちの日常を静かに追っていく目線がとても良い。
主人公である女性職員は、自らの悲しい過去を封印して生きてきた。でも、自分と似た境遇の少女が入所してきて、彼女は悩み、苦しむ。
全力でぶち当たってくる彼女の姿勢はやり過ぎなのかもしれないけど、それで1人の少女が勇気を持った。
守られるだけでは解決しない。解決しようという本人の意思が無ければ、結局うまくいかなくなる。
その勇気を得るための大切な「時間」を過ごす場所。
ラストシーンが良かったなぁ。少し落ち着きを取り戻した少年。でも、彼はまた脱走を試みる。職員たちは全力で追いかける。
今日もにぎやかだけれど、静かな日常風景で終わる。
良い映画だった。