今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

君が生きた証


先行上映で、鑑賞料は自分で決めるというイベントが行われていた本作。


普通に公開初日に行ってきました。ヒューマン・トラスト・シネマ有楽町。


この映画、まんまと監督の術中にハマってしまいました(汗)


まんまと騙されてしまう前振り。映画って面白い。話の内容関係無しに、面白い。


そして、内容もまた良い。


大学生の息子を失った父親の喪失感。息子が残した多くの歌。その歌を歌うことで立ち直っていく父。


やっと踏み出した一歩。その時、息子と同じ年頃の青年と出会う。その青年は青年で、父親ほど年の離れた男との出会いによって、自分の夢に立ち向かうことになる。


人と人の繋がりの中でしか、傷ついた心は癒せないのだ。1人で部屋に籠っていても立ち上がる勇気を得ることは出来ないのだ。


お互いを支え合いながら、互いに新しい道へ踏み出すラストはなんと清々しい。


途中、息子の死の真相が分かるシーン。セリフは無くとも、スクリーンに映し出された映像で全てを理解する。


父親の苦悩の深さも初めて理解する。


上手い構成だ。


単に父親の再生の物語だと思って観ているとたくさんのヒントの欠片を見逃してしまう。


なんでこんなに騒ぐのか、なんでこんな言葉が出てくるのか、なんでこんなに追いつめられるのか…


そんな疑問に一気に解決がつくその場面。


そこに行くまでの1つ1つのシーンがなんと大きな意味を持っているのか。


ツライ人生を語る映画だけれど、全編音楽に溢れている。その時、その時の思いを正直に綴った音楽。


その積み重ねが、登場人物たちを清々しいラストに導いていく。


なんとも、不思議な映画だった。


普通なら、息子の死の真相に迫る物語になりそうなものだが、こういう形で、その死について結びを持ってくるとは…


辛い日常を描く映画だけれど、音楽に溢れ、様々な出来事に振り回されるのだが、静かな映画で…


ハシゴして観た「アメリカン・スナイパー」も心の葛藤を描く映画だった。


今やアメリカは、こういう映画を必要としているのか?