今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

グッド・ライ いちばん優しい嘘


ちょっと良い評判を耳にしたので、シャンテに‼


オスカー女優リース・ウィザースプーンが明るく登場する予告編ばかりを観てきたけど、本編は彼女がほとんど脇を固める俳優としての立場で登場する。


アフリカの難民キャンプから「ロスト・ボーイズ」と呼ばれる若い難民達がアメリカに移住する政策の一環で、職業紹介所に勤める彼女は、直接彼らを担当することで、彼らが受けてきた苦難を知り、自身も支える側の人間として自分を立て直していく。


彼女が直面した難しさは、生活習慣の違いばかりではない。彼らの心に巣食った大きなトラウマだ。


映画は、内戦の続くスーダンのある村で武装勢力に襲撃され、目の前で両親を殺害された兄弟たちの過酷な闘いを描く。


大人が全て虐殺され、命からがら逃げ延びた子供たち。年長の少年をリーダーに、共に生きる「兄弟」として、かつて長老から耳にした生きるための逃避行を始める。


途中何度も、敵と遭遇し、何度も飢えに苦しみ、何人もの「兄弟」を失い、何百キロも歩き通して、やっと、ケニアの難民キャンプに辿り着く。


キャンプに着けば、新しい世界で幸せに生きていけると思っていた子供たち。


しかし、現実は厳しい。


13年待って、やっと、共に逃避行を続けた兄弟全員がアメリカへの切符を手にする。


アメリカに行ったからといって、簡単に幸せが手に入るわけではない。支援プログラムを受けたといっても、ひとまずはアメリカへの飛行機代を返済せねばならず、生活も大変だ。


それでも、途中で命を落とした兄弟や生き別れた兄弟、キャンプで出国を足止めされた兄弟の無念を思い、彼らの分まで精一杯生きようとする。


そんなアメリカとケニアのキャンプに離れ離れになった兄弟の大決断に、私たちは何が言えるだろう。


タイトルの「良い嘘」、そして、副題の「優しい嘘」


兄弟の中で、年長のリーダーが命をかけて守った弟はその後も生き別れた兄は殺されたものと思い込み、ずっと苦しみ抜いていた。


ところが、兄が生きているかもしれないと分かった時、彼は兄に救ってもらったその命をかけて、「良い嘘」をつく。


生半可な覚悟ではつけない「嘘」をついて、彼は兄の背中を押す。


過酷で苦しい現実の中を生き抜いた彼らだからこそ、その決断が出来たのだろう。


そして、互いを思いやる優しさに溢れた彼らの行動に涙が止まらない。


主な登場人物は、実際にスーダンから移住してきた青年たちが演じている。


これは凄いことね。


彼らはきっと現実を知ってもらうために出演したんだろう。


迎え入れるアメリカ側の人達も優しい人ばかりだけど、現実にはそう上手くは行かないのが事実だろうし、こんなことが起きているのだ知る意味でも、是非劇場へ‼