今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

Mommy/マミー


ヒュートラ有楽町にて観賞。


ドラン監督(ファーストネームがどうしても覚えられない…汗)って、「私はロランス」や「トム・アット・ザ・ファーム」の監督さんなんだって‼


どちらも評判良かったよね?私はどっちも劇場どころか、DVDでも見てない(汗)


あとで、ちゃんと見なきゃ。


どの作品も彼独自の世界を持っているらしい。今回は本編上映前に10分くらいのドラン監督の作品の紹介映像が流れた。ヒュートラ有楽町では、4回の上映中2回、この短編映像が流されたようだ。


たまたま、シャンテの「あの日の声を探して」とのハシゴでこの時間をチョイスしたんだけど、ラッキーだった(*^-゚)v


さて、本編。情報番組などで散々紹介された1:1のスクリーン上映。いわゆる「Instagram」比率サイズ‼


このサイズでアップになると背景はかなり制限される。役者のアップになれば、それは役者の表情で全て語らなければならなくなる。だって、背景からの情報が全く無くなってしまうのだから。


その意味で、どうなんだろうと思って観てたけど、全然問題無かった。


むしろ、あの正方形の映像が当たり前のような…


ある架空の「カナダ」っぽい国。新たな法律が制定され、障害のある子供を育てている親が、経済的、身体的に養育が厳しくなった場合、申し出をして、その養育を放棄しても良いという法令。


この法令の影響を受ける母子が主人公。派手な服装に身を包む奔放な母と多動性障害の息子。1度キレると手に負えなくなる息子は、3年前に父親が病死したことをきっかけに施設に預けられていた。


映画の冒頭、彼は施設で自分を抑えられなくなり、友人と共に放火をし、施設に入所してる人に大怪我を負わせてしまう。


これは犯罪であり、彼の障害が無ければ、刑務所に送られている事象なのだと施設の担当者に告げられた母親は彼を引き取り、2人で再出発を計る。


2人の家の向かいには吃りが原因で休職中の女性がいた。彼女は、夫や娘と話す時でさえ言葉に詰まる。


息子の家庭教師を頼まれた彼女。吃りは簡単に治まらないけれど、母子といる時は、彼女の心が解放され、素晴らしい笑顔を見せる。


こうして、幸せに過ごした数ヶ月。


でも、時は止まらない。


息子は歯止めの効かないパニックを起こし、再び施設に。心の支えだったお向かいの女性は、家庭も放り出して母子の傍に寄り添ったが、最後は家庭を選択せざるを得なくなり、夫の転勤についていくことに。母親は1人なる。


どうにもならない息子の障害。誰が悪いわけでもない。少しずつ追い詰められていく母子が切ない。


同じ母親という立場にいる私。息子の状況は違うにしても、精一杯生きようとしてもどうにもならない現実がなんとも言えず、胸に迫る。


歌が効果的に使われ、1:1の映像も内容にマッチしている。


再び施設に息子を預けることになり、息子には旅行に行くとごまかし、車を出す。施設までの道すがら、母親は息子と唯一の友との未来を想う。


このシーンが1番好き。、念願だった試験に合格する息子。成長し、恋人を紹介する息子。母との穏やかな生活。そして、母と唯一の友に見守られて結婚する息子。


母の目に写る人や景色の輪郭がぼやけていき、息子に声をかけられて我に返る。


そして、厳しい現実に引き戻されるこのシーンがほんとに美しく、切なさが強まっていく。


できれば、ドラン監督の特別映像も合わせて観ると彼の撮影手法も知ることができ、映画の内容だけでなく、ドラン監督独特の手法による楽しみも増えて良いのではないかしら?