試写にて観賞。
日中、新宿武蔵野館で観た映画の予告編の中にこの「共犯」もあった。
実は台湾映画で青春映画だということしか知らなくて、予告編を観るまであらすじさえも事前情報無しの状態だった。
それがかえって良かったのかも。
90分弱の尺でよくまとまっている思った。
監督は「光にふれる」の人。長編2作目だそうだ。注目の若手監督が次々輩出されてくる。邦画もそうなのだろうか?邦画はほとんど観ないから知らないけど。羨ましいなぁ。
ただ、一言いうならば、あれほど評判の良かった「光にふれる」だが、タイミングが悪く劇場観賞出来ず、後日DVDで見たが、普通に良かったけど、手放しで大絶賛というワケでも無かった。
会場でチラシを貰い、同じ監督と知って、正直あまり期待せずに観たのが良かったのかも。
どちらかと言えば、満足できる映画と思える。
いじめられっ子の高校生が主人公。オープンニングはその後の重要な場面から始まるが、ひとまずそれは置いといて…
朝の登校途中、とある路地に差し掛かったところで大きな物音に足を止める主人公。
ふと路地を覗くと、そこには同じ制服を着た少女が頭から血を流して倒れていた。
同じ時に偶然行きあった同じ高校の男子生徒が2人。彼ら3人は少女の自殺の発見者として警察から事情を聞かれ、学校ではカウンセリングを強いられる。
通り一遍の指導しかしないカウンセラー。彼女は死を選択することの愚かさを冷たく言い放つ。
そうすることで、若者の死への道を断ち切れると思ってでもいるのだろうか?
3人の少年は、同じ時間を共有したことで一気に近づいていく。新聞記事になった少女の死亡。自殺なのか事故なのか、記事には明確に書かれていない。
彼らは彼らなりに少女の人となりを聞き込んでくる。
そんな中で、少女の母が出張中の家に侵入し、彼女の秘密を見つける。
主人公が見つけ出したのはある少女の名前が記されたメモ。
そのメモを元に、死んだ少女を追い込んだイジメの首謀者と思われる彼女の同級生にいたずらを仕掛ける。
そのいたずらを仕掛けた森にある湖で3人は昔からの友人のように無邪気に水を掛け合っていた。ところが…
湖の藻に足をとられた1人の少年が溺れかけたことで事態は急変し、それまで物語を牽引してきた主人公が呆気なく死んでしまう。
ここからは、自殺した少女の真実を探る単純なサスペンス風だった話が一気に怪しくなってくる。
若者たちのネット社会の恐ろしさ。
1人は主人公の死を招いた殺人犯として、まわりの冷たい視線を浴び、もう1人は表立っては無関係ながらも、いつ自分の名前が出るのか戦々恐々とする。
少年たちの事故の真実を目撃した少女の話から、自殺した少女と溺死した少年の繋がりが判明してくる。
全ての話に解決が見い出せた時、残された少年たちはどうするのか…
映画はそこで終わっている。
ここの描き方が青春映画と言われる理由なのか?
若者のどこか不安定な危うい感触。大人とは隔絶した彼らの感性。
少年少女たちが何を思っているのか、この映画に登場する大人たちは誰1人分かっていない。
歩み寄ろうとしても、もう彼ら少年少女の目線で物を捉えることが出来なくなっている。だから、互いの声は届かない。
大人たちに自分の心を開かない少年少女たちとの距離は広がっていくばかりだ。
この映画も、「追憶と、踊りながら」同様「孤独」がテーマなんだな。
その孤独を解消するために主人公は嘘をついた。自分と同じように苦しんでいた少女の日記を使って。
そのために彼は死んだ。報いを受けたと言って良いのか?
それでも、彼は同じ時間を共に出来る相手がほしかったのだ。そこまで、彼の孤独感は深刻なものだったのだ。
なんだか、辛いなぁ。ジワジワ来る。
観た直後はなんだか中途半端な終わり方だなぁ、やっぱり高校生が主人公だからなのかなぁと思ってたけど。