今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分


トム・ハーディ観たさに恵比寿まで行っきました。


初めてのEBISU GARDEN CINEMA。


リニューアルされ、運営母体も角川からユナイテッド・シネマに変わって、私としてはまぁポイントも付くし行ってみるかと(汗)


恵比寿って、我が家からは超遠いし、ガーデン・プレイス以外まるで知らないので、今回はパスしようと思ってたんだけど、前夜にちょっと嫌なこともあって、憂さ晴らしにちょっと遠出‼


お話は、移動する車の中で、トム・ハーディただ1人の会話劇だとは聞いていたけど、何の動きも目に見える劇的変化も無い狭い狭い車中での芝居にこれほど引き込まれるとは。


トム・ハーディ、お見事としか言いようがない。


オープニングはかなり巨大なビル建設現場らしいところから。終業になり、黄色のベストを来た作業員たちが次々と現場を離れていく。


そのうちの1人が帰路につくため、車に乗ったところから、物語はスタート。


車内に次々と電話が入る。


彼にはその晩のサッカーの試合を共に楽しむ家族がいる。


大掛かりな建設現場で、彼はコンクリートを打ち込むための現場主任として陣頭指揮をとる。


そして、彼には愛してはいないけれど(ここ、重要‼)、彼の子供を今まさに産もうとしている女性がいる。


次々とかかってくる電話で、彼の今ある立場が少しずつ見えてくる。


にっちもさっちも行かなくなった時、彼はバックミラー越しにある一点を見つめ、独り語りを始める。


その独り語りで、今度は彼の過去が見えてくる。


こんな独り芝居、スゴイ‼移動する車中で独り芝居が成り立つのは、携帯電話が為せる技。


でも、耳にジャック付けてなかったから、あれは自動車電話なのか?


まぁ、その辺はこの際どうでもよくて、そうした移動中の自動車の中にも電話がかけられる時代なればこその舞台。


主人公には、どうしても拭い去れない自分の父親の姿がある。


父の不在がもたらした彼の不幸。なんとしても、彼はその父親を乗り越えようと必死に生きてきた。


全てを放り、逃げ出した父と同じ人間になりたくないと、彼は「責任を全う」する道を選択する。


でも、彼は大いなる勘違いをしている。自分が父に顧みられることの無かった子供時代を恨みに思うあまり、生まれてくる子供への責任しか考えていない。


彼がその子供を選びとることで、子供時代の彼と同じ思いを今の妻子に与えるのだ。


家族には愛していると口で言いながら、愛していない女の子供に責任をとると言う彼。なんて、身勝手なんだ。


職場の上司と部下、仕事関連の人物との会話から彼がとても優秀で仕事の出来る男だということも分かる。


家族と子供を産む女との難しい状況を抱えながらも、自分の仕事には完璧に手を打つところなど、その能力の高さには恐れ入る。


そんな男がたまたま長期出張中、共に仕事をこなした女性と過ちを犯す。


たった1度だと言っても、その裏切りは人生を変えるに足る結果を生むことだってある。


また、誰も頼る人のいない孤独な女が妊娠を境に男の人生に踏みいってくる。年齢的にも妊娠はこれが最後だとの思いで、女は1人でも産むと決意したのだろう。


それなら、それで1人で産めば良い。でも、それまでの人生で孤独に生きてきた女にとって、「家族」を得られる最大のチャンスであることにかわりはない。


不幸の連鎖…


今の家庭には、突然の嵐が吹き荒れ、妻は現実を受け入れることが出来ない(当たり前‼)妻の強い拒絶は当然のことだ。


おそらく、主人公にはその辺の理解は出来てたんだろうなぁ。だから、現場からの帰路。道を変えたんだろう。


本来なら、いつも通り家に帰り、楽しみにしていたサッカーを家族と一緒に見て、そして、彼の過ちを告白するつもりだったのだろう。


でも、最初の信号待ちで彼は逆の道を選択する。それは、孤独を抱え、不安ばかりを訴える愛していない女が子供を産む病院へ向かう道。


でもさぁ、女との関係は事故みたいな感覚なんだろうけど、生まれてくる子だけは認知して自分の子として育てる、そういう方途を「責任をとる」と思ってるなら、大いなる勘違いだよねぇ╮(╯-╰")╭


仕事も家族も全て失った彼には、もう帰るところも無い。


孤独な女には願ったり叶ったりだ。


結局、妻のことだって、ホントに愛していたかどうか怪しいもんだ。彼の過去を拭い去るのに相応しい女性だったのではないか?


人も羨むような女性だったのではないか?


だから、美人でもない中年の孤独な女(私の個人的見解ではありません。劇中、主人公が妻に女のことを説明する際に用いた表現)との1度きりの関係なんて許されると思ったんじゃないのか?お前は良く出来た妻だ。だから、お前が相手にするような女じゃないんだよって感じでΣ(゚д゚lll)


この映画でも十分MADなトム・ハーディを観られます(汗)


公開時期の関係で、トム・ハーディ3連発で観られるこの時期、嬉しいなぁo(^o^)o


ちょうど、「バードマン」の監督が新作でレオナルド・ディカプリオトム・ハーディを起用するってニュースを聞いたばかり。


あぁ、楽しみ〜‼「インセプション」以来かな?


良く出来た映画だったけど、なんとも言えない主人公の身勝手さに呆れかえる。そして、そんな男を結局捕まえてしまう孤独な女の妙なズル賢さに引く。


でも、最後はこの男、この孤独な女とも上手くは行かないよね。愛してないんだもん。


男にとって過ちでしかないのに、女は「愛」を要求してくる。ラストで、最後まで「愛してる」と言わないとなじるなんて、なんて厚かましい女だと思った。主人公も勘違いしてるけど、相手の女も大いなる勘違いをしてる。


それでも、子供が生まれてくる…