久しぶりに真保裕一さんの小説を読みました。
う〜ん…
とりあえず、もう当分こういう小説は読みたくない(´・д・`)ヤダ
以上‼なぁ〜んて。感想は以下に…
主人公は新米弁護士。
彼の勤め先は、中小企業を主な取引先とする事業再生を主に扱う弁護士事務所。だが、実際の仕事内容は、それだけにとどまらず、日頃つながりのある事業主からの依頼であれば、労働争議などの諍いも扱う。
依頼主たちから絶大なる信頼を得ているボスを頼りに持ち込まれたのは、殺人事件。
かつて、事業再生で縁のあった事業主を通じて持ち込まれた案件なのか、ボスは自らサポートするからと新米弁護士を担当につけた。
ここから、主人公の奮闘と大いなる誤解と暴走が始まる。
長年の経験を元に熟練した法廷技術を駆使するボスに抜擢された彼は、有頂天。
ところが、普段取り扱わない殺人事件となると、当然ながら、罪を犯した者、この場合は人の命を奪った者を弁護することになるわけで、彼としても全力を尽くすべしと思いつつ、依頼主をどうしても犯罪者として見下してしまう。
その迷いにつけ込んでくるのが、被害者である男の娘。
この娘が二十歳過ぎにもかかわらず、世間を舐めてるのか、知らないないのか、とんでもない女。
父親がなぜ殺されたのか。法廷で明らかにされる父親の悪行に我慢がならず、被害者なのになぜ貶められるのかと散々喚き散らす。
彼女はまわりの冷静な問いかけにも耳を貸さず、担当弁護士の主人公をネットで誹謗中傷し、友人に働きかけ痴漢の冤罪騒ぎまで起こす。
常軌を逸した彼女の行動に、父親が殺されたのだからと理解を示す主人公。
ところが、これが後々彼の命取りとなる。
結局、被害者の娘に要らぬ同情をし、明らかにせずとも良かった昔の「傷」を掘り返してしまう。
そして、なにより卑怯なのは、散々騒ぎ散らした被害者の娘。彼女は全てが明らかになった時、主人公の問いかけに答えず逃げたのだ。
自分の父親がただの被害者ではなかったことを白日の元に晒したのは、誰でもない彼女自身。
でも、その事で、より深い傷を晒すことになったのは、彼女の父親でも何でもない善意の第三者だった。
腹立つわぁ〜、この娘。
「名もなき毒」の「毒女」みたい。
法廷に持ち込まれる父親の悪行を事前に知り得た母親は裁判の傍聴を拒んだ。なぜ拒んだのか。それは、日頃の夫の姿を知っている妻として、聞くに耐えない話を耳にしなければならないことを十分知っていたからだ。
ところが、娘はそれを知りもせず、いや、知ろうともせず、傍聴席に乗り込み、被告人を罵った。そして、真実を明らかにしてやると様々な難癖をつけて、弁護士を妨害した。
同情すべきところなど一切ない。それなのに、主人公は彼女の行動力を凄いと評し、利用されてしまう。
まぁ、最後は全て反省し、丸く収まって、安っぽいサスペンス・ドラマみたいだった。
本当に真保裕一さんは、ストーカー体質の人物造形がお上手。熱血なのか、やりすぎなのか微妙なところの描き方もお上手。青臭い正義を振りかざす人の造形がほんとにお上手。
だけど、今回の主人公と彼を振り回した被害者の娘については、共感は出来ない。残念ながら。
ただの被害者でなかった父親のことをこの娘は一生背負っていかねばならないし、青臭い正義感で自分が振りかざした物の結果を真剣に受け止めねばならない。
大人たちが守ってくれたものを全て無にしたのは彼女自身なのだから。
でも、この娘は、難しそう。
自分の都合が悪くなったら、顔向けできないという言葉で言い繕って、逃げるのだから。
読み終わって、物凄〜く不愉快だ。
彼女が相応の仕打ちを受けないから。大人たちが理解を示し、歩みよろうとしているから。
まぁ、小説だからねぇ〜╮(╯-╰")╭