今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

ボヴァリー夫人とパン屋


アクション物でもないし、サスペンス風でもないけど、なぜか相方が予告編を観て以来、気になる映画の1本に数えてたので、シネスイッチまで行ってみる〜‼


EBISU GARDEN CINEMAの単館公開だと思い込んでた「チャップリンの贈り物」がシネスイッチで1日1回だけ上映すると知り、ハシゴ可能なスケジュールを組んでくださったシネスイッチ様に敬意を表し、「チャップリン…」の初日に。


かつて、都会でバリバリ働いてたお父さん。父親のパン屋を継ぐために田舎に戻ってくる。


都会暮らしでは味わえない田舎暮らしののどやかさ。


お父さんは、パン作りの傍ら、愛犬の散歩をし、大好きな読書に勤しみ、小説の世界にどっぷりハマっている。


そんなお父さんの家の向かいに、美術品修復を生業とする夫と若い妻が越してくる。


なんとその夫婦の名前は「ボヴァリー」。大傑作と信じる小説「ボヴァリー夫人」と同じ名前。


イギリス人の夫妻、夫はチャールズ、妻はジェマ。フランス語なら「シャルル」と「エマ」だ。


小説の「ボヴァリー夫人」と向かいに住む「ボヴァリー夫人」。


お父さんは、彼女を見る度、妄想に駆り立てられる。


やたらと肉感的なお向かいのボヴァリー夫人の姿はお父さんの妄想の中で、小説の夫人とだぶり、いつか夫を裏切り、抜き差しならない愛人との関係に身を滅ぼすのではないかと気が気でない(汗)


別に夫人に惚れちゃったわけでもなさそうだし、完全に小説の世界の夫人と混同しちゃってるみたいなお父さんの姿は、ちょっとブラックなコメディのようだ。


これをフランスではシャレてると言うのかな?


で、小説に登場する夫人の如く、現実のボヴァリー夫人も奔放な資質をいかんなく発揮し、若き財閥御曹司と遊興にふける。


彼と確かに抜き差しならない関係になっていくが、主人公のお父さんの心配をよそに小説の夫人のように命を絶つことなく、夫への愛に気づく。


そして、夫とやり直そうと真剣に思い立った時、不意に訪れる「その時」。


え〜〜〜っ(ОωО)


ボヴァリー夫人の「その時」をその場に居合わせた人々のそれぞれの目線で描き、ラストへ。


ボヴァリー夫人を巡る男たちが肩を落として歩く姿は、悲しい場面なのに笑っちゃう(汗)


何も起こらないけど、面白い、シャレてる映画。