今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

ヒトラー暗殺、13分の誤算


上映終了まで2日って時になって、やっぱり観に行こ〜ってことになり、初回を鑑賞。


シャンテの地下の劇場で、20人に満たない客数の中でゆったりと観られた。人数少ないと、マナー違反も少ないし、集中して観られて嬉しい。


さてさて、この邦題はどうなの?確かに主人公の名前「エルザー」から来てる原題のまんまじゃ、日本ではダメだろうけどさっ。


そのまんまじゃんという邦題で、しかも冒頭でその誤算が発生するわけで。


いきなりの事件勃発で、ここからどんな風に進むのか、ある意味興味がわいてきたと言えないこともない(汗)


ヒトラーが演説をする予定の酒場。演台の後ろにある柱を爆破することで、演台に立つヒトラーを爆殺しようと画策した主人公。


やたらと手先が器用な家具職人の主人公。一時期、実家を離れ、スイスで働いていた彼はずいぶん精密な機械をいじってたけど、時計職人の修行でもしてたのか?私の思い違い?


まぁ、とにかく、田舎に置いとくのはもったいないほど、優秀で意思が強い青年。


彼は、自分の「仕事」の後、スイスとの国境を越えようとしていたところをドイツの兵士に見つかってしまい、捕らえられる。所持品の中に爆破された店の見取り図があったから…


てっきり、暗殺に成功したと思っていたが、その日に限って、13分早めに演説を切り上げ、立ち去ったヒトラー


総統ヒトラーの暗殺を企図したこと、たまたま居合わせた8人もの人を死なせたことで彼は地元の警察だけでなく、ゲシュタポの追求も受けることになる。


拷問や薬物投与による取り調べは過酷を極め、最初は自分の名前さえ口にしなかったエルザーだったが、愛する女性の逮捕を知り、全てを話し始める。


取り調べや独房での現在の姿の合い間にそこに至るまでの回想シーンが差し込まれる。回想シーンでは、冒頭で起こった暗殺未遂に至るまでの主人公の姿が映し出される。


計画的で被害も大きかった爆破現場。捜査側は組織立った犯罪だと判断するが、主人公に背後関係は出てこない。単独犯行とは思えないゲシュタポは拷問を繰り返して、追い詰めようとするが、彼は一向に怯まない。


普通に仕事に励み、普通に異性に興味を抱き、恋をし、挙句不倫の末に略奪愛。そこらに居そうな男がたった1人で、当時世界を牛耳っていた独裁者を暗殺しようと試みる。


彼がなぜそんなことをしたのか、厳しい取り調べにも怯まなかったのか、その辺はあまり語られない。


彼はなにより「自由」を求め、悪は悪と言い切るだけの強い思いがあったことだけは劇中の彼の発言で分かるのだが…


実際の主人公の思いを語る部分は少ない。それは、仕方ないのかな。残された記録は伝聞によるものだろうから…事実を知る人がどれだけ生きているのかも分からないし…


あの時代に実際あった事で、当時ナチスがひた隠しにしたというエピソード。事実を描いてるので、妙に盛り上げるようなドラマチックな展開は無い。この隠された事実を映画化したことが凄いことなんだと思う。


最近、第二次大戦時の映画が多く公開されている。広く知れ渡ったエピソードでなく、人知れず、歴史に埋もれていた事実を掘り起こしての映画化だ。


事実の持つ重みに胸を突かれる。