今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

創造と神秘のサクラダ・ファミリア


映画館の雰囲気と椅子の素晴らしさでは群を抜いてるEBISU GARDEN CINEMA。久しぶりに行ってきました。


東京の東方面の人間からすると23区内で1番行きにくい劇場じゃないかと。でも、ここでしか上映が無いから、仕方ない(泣)


「前の座席を蹴らない」とマナー広告で流れても、まず蹴るなんて無い。だって、足を伸ばしたって前の席にぶつからない( ̄▽ ̄;)


ハイバックでしっかり頭の後ろまで背もたれがあるし、ゆったりと座れるのは少し幅広の椅子なのか?ただ、難点は座面が柔らか過ぎて、長時間では腰が痛くなる。


本作は微妙に腰が痛くなる直前で終わる長さ。


サグラダ・ファミリアの建築に携わる人々のインタビューを中心に構成されたドキュメンタリー。


建築開始から100年経っても未だ、道半ばの壮大な計画の過去と未来を端的に示して、ザクッと全体像が分かるように作られている。


それは建造物そのものでなく、建築に関わる歴史について。


美術館ものの映画と違い、作品を見せる訳では無いし、かと言って建築途中の建物を細かく見せる訳でも無い。となれば、現在取材できる範囲で、証言可能な範囲の人々に建築に関する思いを聞くというのがその歴史を追うのに有効なんだろう。


一時期、あまりに長期に渡る建設に対して、名のある建築家や彫刻家たちから建設反対署名が提出されたという。


反対署名した建築家や彫刻家もインタビューに答えているし、実際に彫刻を施した彫刻家のインタビューもある。様々な側面からのアプローチだ。


建築現場で働く人々がガウディの仕事に携わることを誇りとしている姿や街の人々がサグラダ・ファミリアを受け入れている姿を見るとガウディの最期はあまりに悲しい。


ボロボロになるまで、一身を捧げたからこそ、自分亡き後も志を継ぐ人々が現れたのだろうか。


内乱や戦争を経て、資料のデッサンや模型が悉く破壊された後、1つの破片から復元作業をしていく過程が紹介されていたが、もうこれは学問のようだ。


古墳発掘による復元作業みたい。「ガウディ」が1つの研究テーマとして成り立ってるみたい。


まだまだ完成までには時間がかかる。最大の難関が待ち構えているからだ。ガウディの計画図案では大きな広場が隣接していた入口の塔。


しかし、そこは反対運動をしていた人々が買い占めて宅地開発してしまった。今では大きな建物がびっしりと建っている。


過去の反対運動が思わぬ難題を吹っかけてきて、更には完成している塔の近くでは地下高速道の工事が始まっている。


私たちよそ者には世界で名の知れた観光名所であるサグラダ・ファミリアが実は多くの難題を抱えているという現実。


もう少し教会の中の建築仕様などを見たかったけれど、これはこれで面白かった。


私は真ん中辺りの列で鑑賞し、私より前に座っているのは数人だったが、終映後振り返ると後方の席には結構人が多かった。やっぱり、興味ある人が多いんだな、サグラダ・ファミリア