今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

Mr.ホームズ 名探偵最後の事件


公開1週間。スクリーンも少し小ぶりな方にチェンジしてた。そして、劇場へ行って、びっくり。


前列の方にちょこっと空席があるだけで、ほぼ満席。ベネディクト・カンバーバッチの「SHERLOCK」じゃないのに。


ホームズの人気の本質を見た思い。


お話は、すでにワトソンを送り、1人田舎に暮らすホームズの現在から始まる。一人息子を育てる家政婦さんに身の回りの世話を任せ、蜂蜜を作りながら、余生を送るホームズ。


既に90歳を越えた彼は、昔の記憶がおぼろげになっている。


それでも、最後に自分のことを書き留めようと必死に記憶の扉をこじ開けようとする。


そこで、彼が引退を決意した未解決の最後の事件に行き着くのだが、ワトソンが残した回想録にはその事件も無事に解決したことになっていた。


事実はいかに…


ホームズは、家政婦の息子で孫ほどに年が離れた少年を相棒に最後の事件の記憶を辿り始める。


そして、彼が封印した過去をつまびらかにしていく。彼がその真実を書き留めていく。


心に残っていたトゲのような最後の事件。事件関係者の女性の死を止めることが出来なかったホームズの自責の念が、事件の記憶を封じることになった経緯が分かってくる。


やっぱり、おじいさんになっても、ホームズはホームズなので、謎解きシーンは外せない。その日の服装で何をしてきたのか、そして、これからどうするのか…探偵の目利きの鋭さは相変わらず、面白い。


そんな名探偵の心残りを辿る旅が、彼を慕う少年の問いかけで始まる辺りもなかなかだ。


健康状態が不安定になってきた気難しい年老いた名探偵の世話に気を揉む毎日より、新しい生活に踏み出そうと考える家政婦の思いも十分に分かる。


それでも、彼らとの生活を願う名探偵。風変わりで、ワトソン以外心を開くことも無かったホームズ。しかし、彼と関わる人々が世を去り、今や彼と時間を共有するのは家政婦親子だけ。


ホームズに代わり、ミツバチの世話をしようとしてハチに刺されてしまった少年が病院に運ばれた時、彼は自ら心を開き、新しい一歩を踏み出す。


全ての心残りを解明した名探偵の事件とは無縁の日々が始まる。


孤高の名探偵の新しい姿をご覧あれ。