試写にて鑑賞。久しぶりの邦画です。
会場で貰ったチラシを見て学習したところ、既に舞台で発表されていた作品を映画化したそうだ。
葛城という男が犯した無差別殺人事件。彼と彼を生み出した家族に焦点を当てた映画。
冒頭は、既に殺人事件を起こし、判決を待つ裁判所のシーン。死刑を言い渡される犯人。彼にはこの事件への後悔も謝罪の念も無さそうだ。
彼には両親と結婚して独立した兄がいる。何事にも自分の意を押し通し、それが正義と思い込んでいる父親の価値観の元で葛城家の日常は動いている。
それに逆らうことなく、自分の芯を持たない兄。その兄の卑屈な姿を見て育ってきた弟。子育てに自分の意見など反映されない母親は次男を溺愛することで精神の均衡を保ってきた。
辛うじて形を為していた葛城家は、いつ弾けるともしれない不発弾のように火種を抱えたまま、行くところまで行ってしまった。そして、一気に爆発し崩れ落ちた。
バラバラになった家族。しかし、父親は自分が建てた「城」に固執する。殺人犯を生んだ家として、野次馬や嫌がらせが相次ぎ、近隣の人々はたいそう迷惑に思っていたのだが、彼は動かない。
とにかく登場人物たち全てに感情移入出来る部分がほとんどない。とにかく後味の悪い話にぴったりマッチした人達(汗)
なかでも、全く理解の範疇を飛び越えてたのは収監された次男と獄中結婚をすると言い出した若い女。
死刑制度に反対だと言う彼女の狙いが分からない。ただ獄中結婚したところで、何がどうなるものでもない。いったい何がしたいのか。次男に面会に行っても、とめどない話をするだけで、彼女の真意はどこにあるのか。
観てるうちに困ってしまった(汗)
うんと昔の回想なら、風景の違いや服装の違いで分かりやすいのだが、ごく最近の場面を行き来するので、その時間の並びに戸惑った。ちょこっと回想したり、過去のシーンが挿入されたり、行ったり来たりのなんでもあり。
そして、不協和音鳴り響く家族のやり取りにはもう閉口した。かみ合わない家族の会話と行動。この先に控えてる崩壊の様が見え隠れするこの辺り、まどろっこしくて寝落ち(汗)
でも、この辺がこの先の事件に結びつく大切なとこだったのかも(汗)そこを寝落ちとは私もダメだ╮(๑•́ ₃•̀)╭
刑の確定後あっさりとこの世を去った次男(微妙な心の変化があったのか、映画を見るかぎり私には分からなかった…汗)。心が壊れて、早々と家族の不始末の責任から手を引いた母親。自分を取り巻く環境がすっかり変わり、立ちすくむ兄。
そして、何にも振り回されことなく、いつまでも自分の考えにこだわり続ける父親。
後味が悪い…というか収拾がつかないというか。観る側に判断を委ねたような…
こういう映画を好きな人にはたまらないだろうな。私にはちょっと難しかった(涙)
最後に、三浦友和さんはやっぱり素晴らしい俳優さんだ。それを改めて感じた。