今年のアカデミー賞で、イニャリトゥ監督が2年連続監督賞を受賞し、主演のレオナルド・ディカプリオが念願叶って主演男優賞を得た作品。
TOHOシネマズ日劇は結構混雑していて、やっぱりアカデミー賞効果?
お話の舞台は西部開拓時代なのかな?先住民との争いがあちこちで起こっている。軍が先住民を追い出した土地にハンター達が入り込む。そうして、動物の皮を得ていく。
あちこちで争いから起こり、復讐が復讐を呼ぶ時代。
白人でありながら、先住民の女性との間に子供をもうけた主人公グラス。彼が身を寄せる集落が軍に襲撃され、自分と息子だけが辛うじて助かった。
グラスにはもう息子しかいない。息子と共に生きることだけが全てだった。
息子と共にガイド兼ハンターとして雇われ、白人たちのグループに同行する。その途中、熊に襲われ瀕死の重傷を負ったグラス。足手纏いとなる彼を亡きものにしようとする男が現れ、父をら助けようとした息子に手をかける。
自分の全てだった息子を殺されたグラス。彼は少しずつ回復していく過程で、復讐の思いを深くしていく。
雪原をひたすら歩き、息子を殺した男を探し続ける。
彼と同じ境遇で集落を襲われた先住民の男と出会い、復讐は時に任せるという思いを聞く。自分で手を下さなくても、必要な鉄槌は下されるという意味だ。
その言葉が大きな意味を持ってくるラスト。
全編通して、雪に覆われた山々や広大な雪原がポイント。厳しい自然を象徴する風景が続く。
確かにレオナルド・ディカプリオは熱演だ。今までになく、泥臭く、家族を愛する父親の姿で新しい面も見せていた。
でも。お話としては全然複雑でなくて、愛する家族を奪った者への復讐に生きる男の物語。瀕死の重傷を負いながらも執念で命を繋いでいく様子を追っていく。
伏線も捻りも何にも無い。至ってシンプルなお話だ。それで、2時間半の長尺なので、正直苦痛だ。
音楽は坂本龍一。広大な自然をバックに主人公が登場する場面で流れていた曲は、まさに教授の曲で、今までの彼の映画音楽の中にも似た曲を耳にしたことがある。
ハンス・ジマーもいろんな映画の音楽を担当してるけど、似てるって思う曲調が時々あるもんね。やっぱり、その作曲家の色が強く出るものなのね。
別に映画として、悪かったわけでもなんでもないんだけど…1番気になったのは…以前から広大な雪原を探していたら撮影が延びちゃったというエピソードを聞いていて、そこに凄く期待してて、でも、期待したほどの風景じゃなかったんだよねぇ。そこが1番気になった、というか不満。
クウェンティン・タランティーノ監督の「ヘイトフル・エイト」の雪原風景の方が圧倒されたんだけど。登場シーンとしては時間的にはそんなに長くはなかったんだけど、観る者に迫ってくる勢いがあった。
でも、この映画の雪原はペターッとした感じで、そこは残念だったな。
まぁ、話題の映画だし、観といて損はないかと。