今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

緑はよみがえる


 
 
エルマンノ・オルミ監督の映画を岩波ホールで鑑賞。この監督さんは「ポー川のひかり」の人です。
 
 
ポー川のひかり」はタイトルだけは知っている程度で未見。有名監督の作品だと言うので、楽しみに。
 
 
30分前に劇場に到着。岩波ホールが整理券番号順での入場になってしばらく経つけど、40番代の整理券を受け取ったのは初めて。
 
 
2回目目以降はそんなに混まないというほーむぺの混雑予想はハズレじゃんッて思ったけど、なんと、私たちの40番代がラストの入場で、場内も余裕の状態。
 
 
それじゃなくても窮屈な席だから、半分ほどの席がバラバラと埋まってる状態は1番理想的。そんな観る側には理想的な状態で鑑賞したけど、観終わって思ったのはもったいないということ。
 
 
良い映画だったから、ぎゅうぎゅうでも我慢するから、多くの人に観てもらいたいと思った。
 
 
物語の舞台は第一次大戦の真っ只中。雪に覆われたイタリアの山間部に作られた塹壕の中で敵と対峙しているイタリア軍の兵士達を描いたもの。
 
 
遠くに響く砲撃の音で、目と鼻の先に迫る敵を感じながらも塹壕の中で息を潜めて前哨地を守る兵士達が実際に武器を取って戦うシーンはほとんど無い。
 
 
緊張感漂う暗く窮屈な塹壕の中で、兵士達の唯一の楽しみは家族からの手紙を読むこと。映画の中で手紙を配るシーンは何度か登場する。
 
 
いつとは知れぬ戦いの日がすぐそこにあることを自覚しながらの日々が丁寧に描かれていく。兵士達の中にインフルエンザが流行し、多くの兵士が倒れていく。
 
 
そんな閉塞感の漂う前哨地に若い兵士がやってくる。気概に溢れた彼だったが、迫り来る砲撃の中で戦争の痛みを痛切に感じていく。
 
 
春になれば、緑で覆われる美しい山々。戦場となった今は雪に覆われている。その雪の下に戦争の記憶も覆い隠してしまうかのように。
 
 
暗い塹壕が主な舞台なので、最初はモノクロ映画なのかと思った。しかし、砲撃のシーンで火花が赤々と描かれ、実はカラー映画だったことが分かる。
 
 
反戦映画というわけではない。ただ、戦争のもたらす痛みを静かに描き出す。声高に何か訴えるわけではないこういう映画の方が、より心を揺さぶるものがある。
 
 
岩波ホールは上映期間が予め設定されている。今月中は上映されているので、是非‼