今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

地中海@イタリア映画祭2016


有楽町マリオンの朝日ホールで開催されている「イタリア映画祭」


フランス映画祭は知ってたんだけど、イタリア映画祭は初めて。朝日ホールも半分ほどは埋まってるので、映画好きには知られた映画祭なのだと知りました(¯―¯٥)


前日に岩波ホールで観た「緑はよみがえる」もイタリア映画で昨年イタリア映画祭で上映され、この度日本で公開されたのだそうだ。


ということは、今回のイタリア映画祭の上映作品の中からまた来年あたり劇場で観られる映画が何本か出るのかな?


実際に過去の上映作品のタイトルがチラシに何本か載ってたけど、ミニシアターで話題になってた映画が多い。イタリア映画って凄いのね‼


さてさて、今回観たのは世界中の映画祭で上映されているという「地中海」。蒼く輝く地中海を舞台にしてるのに明るい映画って感じじゃなさそう(汗)


アフリカから夢や希望を抱いてイタリアに渡ってくる人々が最初に出会う関門のような存在が地中海。


主人公はブルキナファソから地中海をボートで渡ってくる。それこそ命がけだ。ヨーロッパの国への憧れと貧しさからの脱却。彼らの足を危険な海に向かわせる理由は移民問題をテーマにした映画に共通する。


たどり着いた町で、まず仕事が得られないことで彼らの希望など簡単に打ち砕かれていく。なんとしても生き抜くために盗みに手を染め、急場を凌ぐが、それだけでは海を渡った意味もない。


先にイタリアにやってきた友人を介して果樹園での収穫作業の仕事を得る主人公。単純作業ながらもそれ相当の給料が得られ、国に待つ家族に仕送りが出来る。


海を渡った彼の苦労も知らない家族は共にイタリアでの生活を望むのだが、そのためには職場で雇用契約書を作成してもらい、残留許可を得なければならない。


果樹園の経営者に熱心な仕事ぶりが認められ、主人公は有頂天になったのではないだろうが、経営者に雇用契約書の件を頼む。


経営者にしてみれば、季節ごとに必要な人手は変わり、その度に安く雇える彼ら移民はありがたい存在だ。しかし、個人で営む果樹園の経営者には彼らを常時雇い続ける余裕は無い。


改めて自分の希望が夢のまた夢だと知る主人公。ネットで繋がる故郷の娘たちの無邪気な笑顔に彼がこれまで保ち続けた心の糸が切れる。


地元の白人の若者との小競り合いに始まり、警官隊に取り囲まれるほどの暴動騒ぎとなった群衆の真っ只中に立つ主人公。


どうして、こうなってしまうのか。既に分かりきっていたとでも言うかのように全てを見通したような目をする主人公。一方で、自分の置かれた立場に呆然とする姿。


こうした彼らのような青年がヨーロッパやアメリカ社会に多く存在するのも確かなのだろう。移民を扱う映画を見る度にその根深い問題に触れ、なんとも後味の悪いを思いを抱く。